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「経営戦略の実践1‐3」三品和広(@東洋経済新報社)を夏休みの間に、通しで、読んでみました!

「経営戦略の実践1‐3」三品和広(@東洋経済新報社)を夏休みの間に、通しで、読んでみました!

現在通っている社会人大学院では履修科目毎に教科書や参考書が記載されています。私が秋から履修しようとしている「マーケティング戦略」という科目があるのですが、その指定教科書の中に本書の3冊シリーズがありました。実際に大学の図書館でこの本を借りておられる方のを見て、むっちゃ厚いやんか!とその分量に驚きました。
 まるでプルーストの「失われた時を求めて」を読まはりました?みたいな…。ちなみにプルーストのは、集英社文庫で13冊セットになっていました。私は、これは、読んでませんけど。(笑)

これを見て、これ授業始まってから読んだら絶対に無理やわと直感しました。8月から9月にかけての夏休み時期に読んでおこうと思って購入して読み始めました!
実は本書のシリーズは三分冊になっていて「1」が2015年に、「3」が2018年に、そして「2」が2022年に発売されたばかりのものです!
特に「2」は1965年から50年間の2015年までの50年間の企業の変遷を追ったことが詳細に記述されています。これだけの分量の厚さのものを数年に1冊出し続けた、神戸大学の三品和広先生の仕事に感動を覚えます。そして、三品先生はこの膨大な1000に近い企業の事例を基にそこから、さらに帰納的に出て来たものを抽象化して、これから、さらに新たな経営戦略の教科書にしようとされています!
戦後の1964年の東京オリンピックの直後から2020年(実際は2021年やった)のTOKYO OLYMPICまであたりの50年間の日本企業の経営戦略の事例がここから見えて来ます。

本書は論文形式ではなく、まるで事典のようになっているところが特徴です!三品先生は前書きの中で本書は実はゆっくりゆっくり読んだ方がええよ!と書かれておられました。1日1事例をゆっくりと考えながら読む。そして、その会社の経営者はどんなことを考えたのか?ということを共に考えることや!と書かれていました。

今回は、とにかく夏休み中に読み終えるという自分の中の小さな目標に向けて格闘しました。実は8月8日にコロナに感染して熱が38.9℃。その後、ゾコーバ投薬などを経たのですが、後遺症か何か分からないのですが、8月25日に呼吸器内科の先生のところで気管支喘息の診断をされました。誰かに会うなどというプライベートな予定はすべてキャンセル。仲間たちと奈良県の吉野村への旅も泣く泣く断念しました!
そうして8月中旬から読み始めて、「3」を読了したのが9月20日のことでした!結局、ほぼ1カ月かけて何とか読み終えましたが、完全に理解できているとは思えません。

特に、各企業の事例などを分類している分類の方法、そしてそこから見えてくる一般的な事象のこと。事例から見えてくる事象を抽象化して、どの企業にも応用できるようにと三品先生はお書きになってくれているのです。しかし、その抽象化のレベルが具体的事例から大きくかけ離れて書かれているので理解に時間がかかります!一般的なビジネス書や小説なら1日200ページは普通に読めるのですが、本書は頑張って読んでも150ページが限界でした。だいたい1日100ページで、仕事や用事がある日は50ページとかの時もありました。

これまで61年、生きて来た私の持論として、大量のインプットの後に優れたアウトプットがあると思っています!多くの仕事を経験すると、いろんな突発事象に対応することが出来るようになる、というようなことです!それは仕事もですが、私の場合、こうした書籍や、映画、演劇、ドラマやアニメ、音楽などなどでも同じやないかと思うのです。ある分量を見たり聞いたりすると、ある種の閾値というのでしょうか?を超える時が来ます!そうなるといろんなものが見えて来て、さらに面白いものが増えるということになっていきます。ただ、そのためには、ある時期、ある種の大量のインプットが必要だと。本書においても、こうした大量の経営戦略の事例は実際の仕事を通してだと数量の限界があります!なので、こうした形で多くの間接経験を本書を通じて行うということは有効な手段なのではないでしょうか?

本書の中で面白いな!と思ったのが「鬼手」という言葉。

経営判断としての「鬼手」に関して書かれていること。これはデータだけで分析した合理的な判断を超えたところの何かです!そこに経営の何かアート的なものがあるのではないか?そんな三品先生の仮説なのでしょうか?敢えて「2」では各企業の行った「鬼手」について各事例で取り上げられています。

また、三品先生は本書で「旗手」(キーになった経営者)についても語られています。これは「1」-「3」にかけて共通。人物が企業を経営しており変化を起こしているんや!という確信みたいなものが三品先生の中にあるのでしょう!そして、それを取り上げないわけにはいかないという気持ちがこうした構成に反映されているのだと思います!

また、おもろいのが、三品先生が個人的にこう思うみたいなことが随所に挿入されており、興味深いです。例えば、自分の良く知っている業界などの話で「おおおおお!こう感じておられるのか?」とか「こう解釈されているのか?」みたいな場所があって印象に残っています。

これから各社の経営戦略の事例を研究するために事前にこうした書籍があるというのはとてもすごいことやと思います。海外にもこんな書籍があるんやろか?

また「立地」や「構え」などという独自の言葉を使って三品先生は語られています。そこになじむまで少し時間がかかりますが、それを過ぎると自社のことなどに置きかえて考えたりするようになっていきました。

また紹介されている企業の会社四季報の情報やホームページなどを見て、いろんなことを考えたりすることなどもいい経験になりました。コロナの後遺症(?)で引きこもっていた夏の記録です。


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