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大工という生き方  vol.4


vol.3で完結したはずのこのシリーズ。

こんなにも早くvol.4があるとは思わなかった。

それもnoteに書き終えたタイミングで。

vol.3までを読んでもらえれば
感情により寄っていただけるかと…笑

https://note.com/haruga45/n/n421d439552ea



足踏みの日々




いろんな親方と仕事をして
幅広い仕事をしてる今。

これは効率が良いのだろうし経験値もあがる
時代が変わる中、業界がどうなっても潰しは効く

けれど、もっと大事な何かを
今しか得られない何かが過ぎ去っていくのを見て見ぬ振りしている感覚。

仲間がいつまでも変わらず輝いてる姿を見る自分の眼差しがすこし濁っているアレ。
胸がォエグッとするアレ。

生き急いでいなくたって今は過ぎていく。

そんな、仕事をバリバリに楽しみながらも
ちょっと煮え切らない日々。

あれ、大工になりたくてなったんじゃなくて
好きなことしてたら大工になってたんだよね

順風さと居心地の良さ
怠けても蜜を吸える環境であぐら。
自分で築いた環境だけれど、ちょっと違う

何が違う?足掻く場所が違う
海のある暮らしがしたいのに、山にいる
せめて成れたのが湖の蛙

楽しい毎日だけど、ドキドキは控えめ。
ジャンクで奥行きのない味わい。




それは1本の電話から





この流れでの電話の主は1人しかいない。

そう、あの親方の息子から電話が来た。

3年前の謝罪からはじまり、近況報告。

そして3年待った言葉。

電話越しの声で聴こえたのが先か
着信音と共にiPhoneの画面に表示されたその名前を見た瞬間に頭の中でボヤいたのが先か

そんなタイミングで

「もう一度、一からやろうと思う。一緒にやってほしい」
「四宮とやりたい」

心の中では2つ返事。
「はい、喜んで。この日のために…」

いや、ちょっと違うな…

あの3年、この3年を噛み締める。
3年後を好き勝手想い描いたときの風景。
ぁあ、一致する。

とは言っても、いろいろ引っ掛かるところはあるのでその場での返答は控えた。

後日「気持ちに応えたいが、聞きたいことがある」と電話をかける。

そしたら彼は

「あの日急に解散して、今になって都合が良いのはわかっている」 #ひたすらの謝罪
「今より給料は高くする」
「正社員で雇う」
「時間や休日も現代の会社らしくする」
etc…

…そんなことじゃないっ!

どうやら勘違いしているようなので顔をみにいった。

(あの日、志半ばの状態だった工場は移転がほぼ完了していた)

懐かしい建物。懐かしい道具。
ぁあ、ここを建てた時○○は元気だったなぁ
ぁあ、この道具懐かしい、そのまんだ
ぁぁ、丸太の乱雑具合、こんなんだったなぁ

いやいや、エモってる場合じゃない
心を鬼にして。

あの時なんでぁあなったかわかりましたか
あの頃と何が違って、何を継ぐのですか
どんな家を建てたいのですか
どんな想いでもう一度やるんですか
お客さんに胸はれますか
嘘はつかないですか
あの日からの3年間、必死に人脈を広げ、たくさんの方にお世話になった。その方たちを悲しませたくはない。
そして、自分の仕事は続けたい。


話したらわかった。

本当にやり直したくてここへ戻ってきたんだ

怪しいところはたくさんある。
#たくさんあるどころか 、経営とかにおいてはもう前方視界不良どころか盲目

でももう気持ちがいっちゃったから仕方ない
だ。




もう一度懸けてみたい義理がある


フリーの今、無限にある仕事。
何年先も仕事のあるであろう取引先が多い。

いやいやまてまて、優先順位を振り返ろう
そうだ、死に損なうまでは、楽しい方へ。

転職ごときで大袈裟だなぁも思うでしょう
経済的なリスクより失ったら怖いものがたくさんある

田舎のネットワークは舐められない
地域の仕事に密着したいのなら尚更そこは
#干されたら引っ越そう  

ゼロからの話じゃない超マイナスからのスタート。

モノも信頼も、取り戻すところから。

失うものがないって、もう夢を追うだけじゃん

たくさんの職人を敵にまわすだろう
そこらめったら踏み倒された業者がある。

話をしたら馬鹿だなぁとみんなに言われた

なんなら、後ろ指刺されて馬鹿にされるだけじゃない、恨まれる。

そんな、スタートだ。

もう一度、懸けてみたい。

#何度でも懸けてみるくせに

3年前のことや、条件面でこんな話を断る人でいたくない。

受けたアダより受けた恩だけを見ていたい。
そしたらほら、恩の塊。

冷静になると悩む余地がない
だって2択。「やる」か「やらないか」

でもその2つとも
未来がどうなるかはまだ決まっていないので悩む材料がない。

なら、楽しそうな方へ。

ほら、いつの日か書いた恩師は言ってたじゃない「道に迷ったら、難しい方を選んでごらん、本気で歩けばそこが頂上だから」

いつも通り、後から正解だったって答えにこじつけるのよ

#やばい厨二mixiから発言が成長していない


ここら辺で、

「amazarashi」の「ひろ」流してくれませんか♪




肝の座った妻



高校生の頃、将来が不安だった時も
船乗り目指すの辞めて大工になった時も

好きなことをやっていてと言ってくれた妻

3年前の
給料がもらえなかった時も文句ひとつ言わなかった
#なんなら倒産祝いとか言って寿司食いに行った  

お金にならない仕事してたって
見守ってくれた

たくさん迷惑かけたし、なんせ腹には第4子
どう思ってるか聞いてみた

「もしまた倒産しても、新しいことはじめるチャンスじゃない?普通に今のままならチャレンジする敷敷居は高いけど、逃げ場なくなればなんかいい方向にって頑張るじゃん」

#おいおい嫁も嫁だなぁ
#子どもたちよ同情するよ



あとがき


旅に出たあの日から
出逢う大人はみんなキラキラしている。

自分にとってキラキラしてるってのは「夢・希望・功績」みたいなんじゃなくて、今を味わって生きていること

大人になっても、親父になっても、爺ちゃんになっても、いつまでもチャレンジしている

そしていつまでも最高に楽しんでいる。

だから、この記事のコメントに
「若いから〜」「怖いものみたことないから」を付ける大人になりたくないので

いつまでも、楽しい方へ歩いていきたいな

今日みたいに。

たくさんの後ろ指と
たくさんの仲間の後押しで


タイミングは重なるもので、
親方の奥さんが亡くなった。

あまりに急で、あまりに儚い。
いつも優しくて、あたたかかった。
#奥さんなしには親方といられなかった笑

奥さんの漬物を超える味にいつか出逢えますように。

ありがとうございました。



恥ずかしくて、言いづらいこと
馬鹿にされそうで、言いづらいこと
自分が変わった時の周りの声が怖くて、言いづらいこと
ずっと言ってられる大人になりたいなぁ
#厨二の真髄  


さて、報告に、珈琲のみにいかないとねっ♪

#もはや珈琲屋のくだりは5ヶ月前笑

最初の電話から2週間も経っていないが
来月からはじまる、新章。

ちょっと刃物全部とがないとなぁ
新調するものは新調しよう
記念に鑿でも買っちゃおうか

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