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100万回掃除したねこ
100万回も、掃除したねこがいました。
100万人の人がそのねこにお世話になり、100万人の人が、そのねこを必要としていました。
立派なおかんねこでした。
あるときねこは、赤ちゃんのオムツを替えるねこでした。
ねこは、オムツ替えなんか嫌いでした。
シーはまだマシで、シーだと思ったらウンだった時のあの狼狽の様や、
ウンだと思って万全の装備で臨んだら、シーだった時の肩透かし感にやられるのでした。
あるときねこは、猫のゲロを拭くねこでした。
「毛玉、吐かない」のエサは、もうちっともあてにならないのでした。
ねこは毛玉なんか大嫌いでした。
あるときねこは、だれのねこでもありませんでした。
おかん卒業ねこだったのです。
ねこは はじめて自由でした。ねこは自分がだいすきでした。
なにしろりっぱなおかんねこだったので、りっぱなおかん卒業ねこになりました。
ねこは言いました。
「あたしは100万回も掃除したんだぜ。いまさらおっかしくって!」
たった1匹、ねこに見向きもしない白い美しいねこがいました。
次の日も、次の日も、ねこは白いねこのところへいって、言いました。
「きみはまだ、1回も掃除してないんだろ。」
白いねこは、「そう。」と言ったきりでした。
ある日、ねこはクルクルと3回ちゅうがえりをしていいました。
「あたしが掃除を教えてあげてもいいぜ!床にぶちまけられた味噌汁を拭いて、オネショされた布団を洗って、ダンゴムシが入ったままのズボンを洗濯機で洗ったこともあるんだぜ!」
白いねこは、かわいい子猫をたくさん産みました。
ねこはもう「あたしは100万回も。。。」とは決していいませんでした。
ねこは自分の白いねこと、たくさんの子ねこを、自分よりもすきなくらいでした。
そしてねこはやっぱり、子どもと孫のために、掃除をするのでした。
おしまい。
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