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カレーと小麦粉

日本で一般に食べられているカレーライスは、英国の食品メーカーが独自に開発した調味料に由来している。
カレーに小麦粉を加えるのも英国風であり、シチューやソースと同じ感覚で食感を楽しめる西欧風の発想であろう。

しかし、この英国風のとろとろとしたカレーとは別に、インド風のカレーを日本で最初に出したのが新宿中村屋である。
中村屋の創業者はインド独立運動で活躍した「ラス・ビハリ・ボース」の支持者であり、英国から追われていた彼を匿ったと言われている。

ボースは後に中村屋の婿養子となり、日本で初めてインド風カレーのレストランを開業したのである。

彼は小麦粉を入れた英国風のカレーを強烈に批判し、本物のインドの味を日本に広めることに従事したと言われている。

さて、はるカレーは小麦粉を使っていない。
特にインド風にこだわった訳ではなく、いつの間にか使わなくなったのである。

「カレーと小麦粉」は当たり前の組み合わせであると思っていたが、歴史を紐解いてみると実に面白いのである。
インド風には、英国に対する彼らのプライドをひしひしと感じる。
また、両国の良い所を貪欲に取り入れる日本人達により、あまたのオリジナルカレーが世の人の腹を満たしてきたのも事実である。

そして今日もこちらの厨房では、手ぬぐいを頭に巻き、しみる目をしばたたせた白髪の日本人が、新たな味の追求に没頭しているのである。

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