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はじまりの日

2018年2月

車の外は雪景色・・・

よくこんな時期に来たね〜
今が一年で一番寒い時期だよ。
あれだね、はるちゃん、この寒い時期を乗り越えればもう大丈夫だよ!
頑張ってね!

後部座席から、これからトロントでお世話になる祖母の知り合いの千歳さんからの励ましの言葉が飛んできた。

ありがとうございます。そうですね、頑張ります!
私は、ありきたりの言葉を返すので精一杯だった。

高速を降りて一般道に入り、車は目的地近くを走行。
私の胸のドキドキがピークに達しようとしていた。
どんな人?え、どんな人なんだろう、怖い人だったらどうしよう・・。何話そう、自己紹介?一応用意していた簡単な自己紹介のフレーズが出てこない・・。もうはるちゃん、パニックです;;

Hey there!
玄関のドアが開き、先ず千歳さんがこれからお世話になるホストマザーに挨拶した。
え、「へイ、ゼア」って・・・何?と私は思った。
「Hello」とか「Hi」ならわかるけど、「Hey there」って何?

こわいこわい、私は早速英語パンチを食らった思いである。
しかし、なんだか千歳さんがかっこよく見えた。

私もいつか「Hey there!」って言いたい!
あの力の抜けた自然な感じで「Hey there!」って言いたい!


Hi, Nice to meet you. 
私は目を泳がせながらホストマザーに挨拶をした。

ホームステイ先まで送ってくれた千歳さんと旦那さんのアンディーさんとはここで一旦お別れです。

二人が帰った後、私はホストマザーと二人きりになった。
彼女の名前はティナ。
声はやたらと大きく体も大きい。そして赤い髪がチャームポイントのイタリア系カナダ人である。

私はティナに洗濯物のルールや食事に関する事などの説明を受けたが、ほとんど頭に入ってこなかった。

とにかく私は一度部屋にこもって一人になりたかった。
おそらく、不安と緊張で疲れがどっと来てしまったのであろう。

そしてその日の夜、ベッドに横になりながらこれからのトロントでの生活に思いを馳せた。

部屋の外からはティナのやたらと大きい声と、隣の部屋からはなんだかよくわからないサウンドが途切れる事なく聞こえてきた。。。

こうしてはじまりの日が、騒音と共に終わりを迎えようとしている。
大丈夫かな・・。
この環境に馴染めるかな・・。
私は不安な気持ちを抱えて眠りについた。




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