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ジェーン・エア 観劇

ジェーン・エア観劇。
友人のおかげで、まさかの最前列。役者さんの表情と仕草がとてもよく見えてお芝居に没入……
舞台の高さの関係もあって、こんな至近距離で観るのははじめて。すごい時間だった。


信仰と哲学の話だと解釈している。

頑なな萌音ちゃんジェーンの表情が後半に向かい、柔らかなものになっていくのが近くで見られてよかった。
芳雄さんロチェスターの半生の苦しみを思う……考えれば考えるほど哀しいひと。ジェーンが初対面であんなふうに自由に生きられたらと憧れる姿の真実は、家族(父と兄、気の毒にも気の触れた妻も含むかも)と酷い女(アデールの母)の犠牲になったやさしいひと。そしてジェーンに向かって「君のようにいいひとにはなれない」と零した痛ましさ。この場合のいいひとはキリスト教の意味においての良き人なのだろうな……だから哀しい。
確かに重婚は罪なのだけれど、「前のヒロイン」こと気の触れてしまった妻にベッドを燃やされるあのシーンの後のロチェスターに苦しみが満ちているようで見ている側も哀しい。持参金に目が眩んだ父と兄に結婚させられて、4年たっぷり彼女の狂気と付き合い、その後も命の危険もありながら捨てなかったんだよなロチェスターさん……確か当時は離婚も罪に数えられるからかもしれないけれど、終盤の火事の一件を考えるとたぶん彼は彼女を見捨てられなかったのだと思う。人間として冷たくはなりきれない、どちらかといえば善良なひと。

芳雄さんロチェスターがジェーンを「無二の友」「俺のジェーン」と呼ばう声が切実だった。嫉妬して欲しかった、も。
萌音ちゃんジェーンの後半に向けての慈愛とおばさんとの対面シーンの聡明さ。



全体にシリアスなトーンのお芝居ながら、ジプシー女の占いのシーンがとっても好き。
ロチェスターは難しいひとだと思うけれど、お屋敷のひとはきっと彼を好いていたのだろうなと思っている。お手伝いさんたちみんなグルになってジプシー占いに協力してるので。そのことがちょっと個人的に嬉しかった。そしてあのシーンの芳雄さんの歌声も仕草も楽しそうでよかった。


ジェーンと冒頭で呼びかけていたロチェスターの声が後半でもう一度同じように呼びかけること、セイレーンの歌詞の喩えが一幕二幕で反転することに、は〜〜〜〜とため息をついてしまった。ジョン・ケアード演出だいすき……
オンステージシートはどんな風にお芝居が見えていたのだろう?客席からは教会の椅子に座っている人たちのようにも見えた。
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ところでひとつどうしても笑っちゃったのが井上芳雄ロチェスターを醜い男・ハンサムではないとするのは無理があるな……って。だって歌声最高で顔もいいし脚が長い……ほんとに長い!
ハンサムでした芳雄さんロチェスター(ファンなので許して)

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