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西成路上カフェ(2024新年)ー話しかけたら勝ちー



 西成の新年の餅つき大会がおこなわれる三角公園の横で、毎年知り合いと集まり路上で交流イベントみたいなものをやっている。毎年1月2日でわたしたちの集まりは今回が3回目だ。今回は、わたしがファンからもらったコーヒーとお茶を持ってきて路上カフェをした。

 路上など不特定多数さまざまな人が行き交う公共空間で集まったり交流すると思わぬ出会いやイベントがおこる。そこから学びもある。路上に来れない人にも楽しめるようにも書いてみたい。ポイントは以下の3点。

①話しかけたら勝ち
②交流が経済になる
③循環を意識する


①話しかけたら勝ち


 路上にいて人に話しかけていくとどんどんモノがもらえる。今回の初期費用はほとんど0円。わたしは京都のおっちゃんからもらったインスタントコーヒーとお茶をもってきてそれを路上で提供していただけである。お菓子は路上カフェをやりながら色んな人からもらい、立派なティータイムができる状態に。人が人を呼ぶ形でさらにいろいろもらえる。ただ居るだけで贈与が膨れ上がる。居場所や交流の場に費用はいらない。むしろやることで食べ物も必要なものも手に入る。

 知らない人とどう話すキッカケをつくるか。話す話題は何でもよいのだ。わたしは路上に自分の絵やポストカードを置いて、「絵をほめてください」と言ったり、「ちょっと見て」とか話しかけたら、振り向いて絵を見てくれて投げ銭をくれてる人もいる。そこから、コーヒータイムで交流してくれる人もいた。話しかけたら勝ちである。路上を通りがかる人に話しかけて、ポストカードと引き換えに300円くらい投げ銭してもらってお金をためていく。

 西成に住んでいる人もいれば、イベント時は外部から来た人とも知り合える。

 京都から越冬闘争のライブを見に来ていた人たちが路上を通ったので話しかけみたら、コーヒータイムを共にした。西成に来たけど知り合いもいないため、こうやって話せる人ができて嬉しいと言ってもらった。ポストカードを買ってもらいお菓子ももらった。人類学の研究や芸術関係に従事してるそうだ。京都でまた何かする時は呼んでくださいとのことで交流が続けばよい。


三角公園の横で路上カフェ。ここにいたら色んな人と再会できる。通りがかった人にも話しかけやすい。
使わない寝袋や防寒具などを格安で売った。着物は友人が持ってきたもの。何でも置いておけば欲しい人が投げ銭を入れてもらっていった。


②交流は経済になる


 同じ場所に繰り返し居ることで、再会する人がいたり自分が認知されやすくもなる。

 通りがかった人に話しかけてポストカードを買ってもらいコーヒーを一緒に飲んでいたら、以前もここでわたしと会ったという。今回、また会ったことで打ち解けてもらいしばし会話を楽しんだ。ポストカードも買ってもらった。

 毎年、越冬闘争に来て公園横にいる私たちと交流してくれる人もいる。引きこもりやうまく社会参加できない人が路上で社会と触れる場を切り開いていることに心打たれるそうだ。今回もお年玉もらっちゃった

 何回も同じ場所でやることで、徐々に知り合いができる。束の間でも安心して話せる場や交流の場を提供するとお礼にといろいろもらえたりもする。つながりが積み重なればまた贈与が生まれる。交流は経済を生む。

 路上などでわらしべをすると、なぜいいものが手に入るのか。それは、人に対して自分から働きかけ交流をつくっているからである。話しかけて働きかけ交流する時点で相手に何かを与えてしまっている。

 友人が頭痛になって、通行人に「ロキソニンもってませんか?」と話しかけると、薬局まで行って頭痛薬を買って来てくれる人もいた。必要なものはもらえることが多い。

路上で話した人からお菓子をどんどんもらった。この写真の3倍はもらった


お年玉ももらっちゃった。へっへっへ


③循環を意識する



 自分が何かをすると、それを楽しんだり後方支援してくれる人が現れる。わたしは最近、路上で知り合ったおっちゃんからよく飯を奢られ、余り物のコーヒーやお茶をもらう。このコーヒーやお茶を今回つかって路上でカフェを開いた。すると、人と話したり交流するキッカケをうみ、さらに人のつながりをつくり、お金や色んなものも流れ込んできた。何もなくても、あるものを使ったりもらうことを繰り返すと経済となる。

 着物を着る友人は、着物を着るようになってから知人から着物をもらったり、街の人からも話しかけられて着物をもらうこともあるという。これは、着物を楽しんでる人に着物を渡すと、着物をいいように活用してくれるという思いが湧くからだ。このように、何かを楽しんでやっていると、それに対して加勢してくれる人は必ず出てくる。大事なのは自分でまず曲がりなりにでもやってみることである。自分が楽しむと他の人も楽しんでそこに連鎖や循環ができるはずだ。

循環が大事である


おわりに


 今回、秋に会ったビッグイシューのお兄さんにまた来てもらってお菓子をもらったり、芸大の知人が遊びに来るなど、徐々に自分の居場所に来てくれるメンバーが増えてきた。

 一番よかったことは。数年前に三角公園で寝泊まりしてたおっちゃんに久しぶりに再会できたことだ。公園の野宿生活から生活保護になり、今は平穏に暮らしているという。以前は服もボロボロで肌の状態もよくなかった。三角公園で見なくなってから、もしかして亡くなったのかなとぼんやり思っていた。今回、再会できて肌には艶があり元気な姿を見た。冬の寒さにはこたえた。今は部屋は狭いが寒さをしのげて快適だという。

 わたし自身、過去に西成の路上で何度も人と話してきたことで、地域に知り合いもできた。西成に来てもひとりにならない。これまで西成で交流を続けてきたことで、西成はわたしを居場所として迎えてくれる。

越冬闘争中の三角公園にはドラム缶焚き火で暖をとれる。夜は炎が眩しい。

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