マガジンのカバー画像

消費期限2日のひとかけらたち

46
日記とエッセイのハーフ。2日もすれば記憶のメモリからこぼれ落ちてしまう景色を、文字にして残していきたい。肩の力抜きがち。2021.12.23~
運営しているクリエイター

#深夜

月が見える部屋

私の部屋からは、月が見えたらしい。 らしい、というのも、ここに住み始めてもうすぐ2年が経つのに、たった今初めてそれに気付いたのだ。びっくり。綺麗な満月。深夜2時。 そりゃあ月が見える方角と言ってもこの時間帯だから、気付かなかったのも無理はない。それにいつもはカーテンを閉めている。うちは駅の目の前。駅には常に光が灯っているから、家の周りに暗闇が訪れたことがない。少なくともこの2年は。暗闇が訪れたことがないって、いいな。いいのか? いいなと思うよ、今は。 低気圧完全敗北。今日

動かない秒針が時間を教えた

時計が壊れた。 入社祝いでばあちゃんに買ってもらった、紺色の文字盤がかわいいお気に入りの腕時計。今朝いつものように玄関でそれを付けようとしたら、11時を指していた。寝坊したわけではない。 すぐに思ったのは、「買ってもらったばっかりなのに、なんで!?」だった。ガサツな性格ゆえ知らないうちにまた何かやらかしたのか。落とした? 金曜日までは普通に使っていた。水没はさせていない。なんで? そんなすぐ壊れる?? ……と、考えたところで気付く。買ってもらった入社時から、すでに2年以

深夜2時、どん兵衛、擬似恋愛。

午前2時13分。 この時間に食べるどん兵衛からしか得られない何かがある。その何かは「余分なカロリー」であり、「深夜に胃を起こす爆弾」でもある。そして、「無駄を享受する贅沢」だったりもする。インスタントならラーメンよりも焼きそばよりも、うどんが好き。きっと出汁の味が好きなのだと思う。 少し前に買った間接照明がほの暗く部屋を灯す。窓の外からは虫の声。足音や話し声はおろか、もう車さえ通っていない。日本の南では台風が猛威を奮っているようだけど、そんなことを感じさせない穏やかでしんと