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終遠のヴィルシュ-EpiC:lycoris- Side End-Encore-マティスの物語 感想

ただいまアルペシェール!おかえりアルペシェール!ということでサイケデリカから帰還し次に選んだタイトルは終ヴィルFDです。
まずはEncoreから進めていきますが、順番は本編攻略順にするので1人目はマティスくんです。では、感想いってみましょーう!

↪︎以下ネタバレあり(前作も含む)


























アンコールに全力で応える終ヴィルくんの本気を見た

アンコールってそういうこと…?私は正直、FDだしもう少し本編の救済エンド寄りのベストエンドみたいなエンドも用意されてるかなと思ってた…このマティスくんencoreを見届けるまでは。まさか、こんな新たな絶望ももりもり盛った高カロリー高濃度の終ヴィルくんの本気を浴びるとは思わなかった。更に盛られているのは絶望だけじゃなく、ただただひたすらにお互いに向けられた愛も描かれていてクリアした今あまりの高カロリーさに休憩を挟んでいる。

このマティスくんencoreは本編の三章から始まります。三章というと、ブローが実は生きており再び復讐の心に火が点いてしまったマティスくんが屋敷を飛び出すところ。
この時、本編だと確かマティスくんが一度屋敷に帰って来た辺りで元の人格に戻ってたと思う(記憶が少し曖昧)んだけど、今回のencore、元とは別の人格でいる時間の方が長くてマティスくん√ を進めている実感があまりなかったのが正直なところ。
もっと本来のマティスくんと絆を深めていく姿も見たかったなあ…と思ってしまうのは我儘なんかな…

屋敷から出て行ってるためジャンによる記憶のダウンロードが行えず、人格も安定せず眠って目覚める度に様々な人格が表に出て来るんだよね。無気力だったり、粗暴だったり。
でも、一貫してブローへの復讐心だけは強く抱いており、これにはジャン…カミーユも忠実にし過ぎたみたいなことを言っていたので予想外の固執具合だったのかも。

そしてセレスちゃんは復讐の手伝いをするという名目で、情報をアドルフ達と共有し絶対に無茶はしないという約束でマティスくんと行動することを決意。決めたら譲らない、イヴくん曰く「頑固なところはアドルフ譲り」なセレスちゃんは今作でも健在の様です。

本編ではこの時点で配達人や複数人格の黒幕がジャンであることは隠されていたのでなかったジャン視点で、この場面の辺りでジャンが何を考えどう行動していたかが分かるのは新鮮だったな。
新鮮と言えば、今回はマティスくんの人格について限りなく正解に近い予測をリュカ先生が立てて皆と共有したお陰でセレスちゃん以外もすんなりと自分達が交流してきた「マティスクロード」と今のマティスくんは別人だということを把握している流れも本編とは違っていて心強かった!

とある日に表れた人格は、セレスちゃんが修繕した小説を夢中になって読み、続きを聞かせる様せがんでくる。人格が変わってもマティスクロードという人物の本質や芯の部分では変わらないものもあって、小説を好むのもそのひとつなんだろうなあ。

屋敷にて回収した小説の続きが書かれた原稿用紙。そこにはセレスちゃんも知らない、とある文が書き記されており、「こんな僕と一緒に居てくれてありがとう」といった感謝の言葉と「セレスさんがひとりの女性として好きです」という告白が。
ここでセレスちゃんが思わず涙を零した理由が嬉しいだけじゃなくて、直接言葉として彼の口から聞きたかったという想いからなのがセレスちゃんがマティスくんから紡がれる気持ちは勿論言葉も大切にしていることが感じられて切なくなっちゃった…

しかし、ここで【今】のマティスくん達もセレスちゃんに惹かれつつある様な描写が。
セレスちゃんはどんなマティスくんとも一緒に居たいと思ってるけど、マティスくんはかつての自分を取り戻したいから一緒に居てくれているのであってそれが叶えば自分は用済みであり、それは無性に寂しい…と。推測なんだけど、このマティスくんの人格は恋を知らないのかもしれない。でも、この用済みになることを寂しいと思ったり、「純粋に笑わせることもできやしない」と感じたりするのは無自覚だとしても、セレスちゃんを想う心がマティスくんの中で消えずにずっと灯ってるってことだよね。それにしても、このすれ違い、切ないぜ…

カプシーヌと支援者による余計な入れ知恵により、見事に配達人としての記憶をダウンロードされたマティスくんは配達人そのものと化してしまう。
「坊ちゃんが配達人だなんて絶対にありえない」そう言ってマティスくんを信じようとする態度を見せるジャンをどんな顔で見れば良いんだい、終ヴィルくんよ。さながら、名演技だろ、くらいのことは思ってそう。これで、自分が配達人だという真実に気付く人は居ないと、カミーユの計画通り…なんだけど、本編では救済エンドにしかなかった(と思う)ジャン…カミーユがマティスくんがロザリーと自分の息子だという思いから心を傾けている部分があるような様子が。カミーユにとってマティスくんは、実験体であるという意識が強いけど息子であるという気持ちも完全には捨てきれてない気がする。

マティスくんが元のマティスくんに戻ったけど、本編と同じく2人はカミーユの研究室へ。またしても自警団はジャンを疑わず。
本編と違うのはマティスくんにダウンロードされる記憶が配達人のもののみになり、次に眠りから覚めた時には完全に配達人となりマティスクロードとしての記憶は消えていること。
でも、マティスくんはセレスちゃんからの愛しているという言葉に、セレスちゃんの温もりを記憶に刻む様に身体を寄せる。

「記憶はなくなっても、あなたの温度だけは……脳じゃなく──心に刻んで忘れない」

Side End -Encore- マティスの物語 
第四章 記憶に刻むより

配達人になってもセレスちゃんの、1番大切な人の温もりだけは絶対に心が憶えている、と誓う。この誓いが、切なくて、でもどこかマティスくんらしさも感じられて、もしかして奇跡が起こるんじゃないかと思ってしまう。
これに対しセレスちゃんも、マティスくんがどんな人格になっても【恋】という物語を教えてくれたマティスクロードという大好きな人が居たことを忘れない、と答えて…マティスくんと紡いだ日々から生まれたんだってひしひしと伝わって来て涙が…😭
そして、マティスくんが告げるさようならと愛してる……こんな切ない展開、ある?この2人には穏やかな陽の光の下でこうした言葉を交わし合ってほしいよ…

ここからは、ひとつめのエンドの感想を。
配達人になったマティスくんからの狂った形の愛をひたすらに受け入れるセレスちゃん。
そのセレスちゃんの命が消えてしまう寸前、最期の最期に元のマティスくんの人格が戻り、最後の一振りは彼女と出会い共に物語を紡いだ彼から。しかも、セレスちゃんの最期は一緒に、という言葉により。こんな展開、ある?(2回目)「誰にも邪魔されない場所に連れて行ってくれるだけ」と言って微笑むセレスちゃん。これって、本心でもあるだろうけど、マティスくんの心に寄り添ったからこそ出た言葉でもある気がして、どんな時も優しさを忘れないのがセレスちゃんなんだよなあ。そしてお互いがお互いを誰にも邪魔されない場所へと誘う。
切な過ぎて、何も語れないよ………多分マティスくんもセレスちゃんも相手を愛するがゆえに狂ってたんだと思う。なのに、その愛だけは純粋で。切ないよ…幸せな2人は救済エンドでねってことか…後で救済後日談ちゃんと読むからね…😭
エンドロール後、蘇ったロザリーと暮らすカミーユの姿。マティスくんとセレスちゃんの愛を認める言葉を零す。もしも、こんな形でなければ、カミーユとロザリー、マティスくんとセレスちゃんが違う形で出会っていれば、4人で笑い合える様な未来もあったかもしれない、なんて思ったりもした。

冒頭のモノローグ曰くこの物語は勝利の物語であり、これは愛を勝ち取ったマティスくんとセレスちゃんを表してると思うんだけど、囚われの章エンドに関しては愛する人との再会を勝ち取ったジャンのことも表してるんじゃないかなとエンドを見届けた後にふと思った。
このマティスくんencoreにおいてジャンってヒール役に当たると思うんだよね。でも、根っからの上から下まで悪なんじゃなくて、マティスくんへの情がほんの少し見えたり、マティスくんとセレスちゃんの愛を(頑なに俺とロザリーの次って言ってたけど)美しいと認める様なことを言ったり、どこか2人から影響を受けたり、心を傾けたりする様子が見えて、カミーユクロードの大切にしたかった想いも本編から更に伝わって来た様な気がする。

次は配達人エンド。
暴走するマティスくん。それを止めるためカミーユと取引をし、外の世界へ久々に繰り出すセレスちゃん。
見つけたマティスくんからの歪んで狂ってしまった愛をこの√ でも受け入れながらも、彼から名前を呼ばれるまでは死ねないと、名前を呼んでほしいと言葉を紡ぐ…何度も挫けそうになりながもマティスくんを止めるためにここに居る、と気を持ち直すセレスちゃんは、マティスくんに恋をして、彼を愛して、こんなにも強い女性に変わったんだと、その逞しくも凛々しい変化と2人にしか分からない狂愛とも呼べる感情のやり取りを息を飲みながら見守る。

見守ってたら、アンクゥ〜〜!!!!😭😭😭😭アンクゥの抜群の安心感と信頼感よ。
アンクゥがセレスちゃんが死ぬ前にマティスくんを止めてくれて。マティスくんは元の人格を取り戻し配達人である自分に自ら終止符を打つ。
この後、アンクゥはカミーユの研究室までも付いて来てくれたんだね…ありがとう…!
そしてカミーユよ、ロザリーと姿を消すもマティスクロードの人格のデータとダウンロードの方法はセレスちゃんに分かるようにちゃんと残していくところがさ、そういうところが、マティスくんとセレスちゃんのことを心の底では認めてる気持ちの証の様に思えて、この人もロザリーを失わなければ愛する人と平穏に生きていく良いお兄さんだったんだよな…とやっぱり考えてしまう。
マティスくんのペンとなり、彼の紡ぐ物語を文字にして広めていくことが生きる理由となったセレスちゃん。マティスくんは「間違ってもあなたを幸せにするなんて言えないけど」と言うけれど、セレスちゃんはきっとマティスくんの物語を共に紡げることに幸せを感じていると思うよ。

これにてマティスくんのEncoreはクリアとなります。
なんかさ、ほんとに、予想を悠々と越えて凄かった…
マティスくんが配達人になって人を手に掛けた時点で、もう幸せな未来は本編の救済エンドのみのつもりなんだろうなと勘付き始めてはいたんだけど、架空の人格とはいえ配達人のセレスちゃんへの愛もめちゃめちゃ大きかったのは、人格が変わってもマティスくんはマティスくんだったからなのかな?セレスちゃんも、マティスくんの中のひとりとして変わりなく彼のことも愛していて、その愛の形が狂気であると分かっていても独占したいとすら感じる様になっていて。歪で狂っているまさしく狂愛でも、その愛情だけはいつだって澱みなく純粋で、狂愛と純愛、相反した想いのどちらもぴたっと当てはまる、そんな2人の生き様をしっかりと見届けました。

カミーユも、どうしてもセレスちゃんやマティスくんに心を傾けつつあるところを見ると憎みきれないんだよね……ただただロザリーを愛していて、彼女にまた会いたくて、それだけのために生きているから、他のことなんて自分には必要ないと思い込もうとしてるみたいだったけど、人を愛する気持ちを知っている彼がマティスくんとセレスちゃんを見て心に響かない訳がないんだよな〜〜!

人格が変わっても一貫して全てのマティスくんを愛していたセレスちゃん。
物語の後半では「僕達を愛してくれてありがとう」と自分の中のどの人格も愛され、そして彼女をひとつの身体で何人分も愛していたマティスくん。切なさの特盛だったけど、これにてクリアです〜!

次はリュカ先生のencoreです😊