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『目撃者 闇の中の瞳』:人の心が生む闇、恐怖・・・


映画『目撃者 闇の中の瞳』
(目撃者/WHO KILLED COCK ROBIN)(2017年 台湾)

あらすじを目にして、ミステリー作品好きとしては無性に気になり、観に行ってきた作品。新宿シネマカリテにて。この映画館独特のこじんまりした雰囲気がとても好み。


STORY (公式サイトより引用)
2007年。新聞社で実習生として働くワン・イーチー、通称シャオチーは、ある嵐の夜、台北郊外の新店の山道で車同士の当て逃げ事故を目撃する。被害者の車は無残に潰れ、運転席の男性は死亡、助手席の女性も瀕死の状態に見えた。シャオチーはとっさに現場から逃走する車の写真を撮影し、大学院時代の恩師でもある上司のチウ編集局長に見せるが、ナンバープレートの数字が判読不可能であったため記事にはならず、また犯人が捕まることもなかった。

時は過ぎ、9年後。スクープを連発する敏腕記者となったシャオチーは、国会議員の不倫疑惑現場を目撃した帰り道、1ヶ月前に中古で買ったばかりの愛車をぶつけてしまう。破損した車を馴染みの自動車修理工ジーに見せると、その車は過去にも事故に遭っていることが判明。さらに警察で車両番号を照会したところ、なんと以前の持ち主は9年前の当て逃げ事故の被害者だった。

時を同じくして、順風満帆だったシャオチーのキャリアに危機が訪れる。シャオチーがその不倫疑惑を報じた国会議員カップルが実は夫婦であり、名誉毀損で新聞社を訴えると言い出したのだ。解雇されたシャオチーは、先輩記者マギーの協力を得て独自に9年前の事故の真相を調べ始める。家族との縁も断ち切り世間から身を隠して暮らす被害者女性シュー・アイティン、彼女につきまとう影、同じ日に起きていた富豪の娘の誘拐事件、そして逃走車の所有者として浮かび上がる意外な人物……。関係者たちの事故に関する証言がことごとく食い違う中、シャオチーはある結論を導き出す。それは永久に続く悪夢の始まりだった──。


____9年前の死亡事故。当事者は9人。事件の真相は、誰も知らない______________

____すべてが悪夢!事故車とは知らずに購入した高級車が、悪夢の連鎖を引き起こす。___________


映画のあおり文句。
確かに、悪夢だった。そして登場人物の思惑がうごめき、真っ白な人はいなかった。


映画は終始、青みがかった映像で、ちょっと荒々しい感じがする。なんだか、ビデオカメラで誰かが盗み撮りしている映像を見ている感覚。そうして見ている自分も、実は誰か見られているかもしれない・・・そんな不気味さを味わった。


真実と虚構の映像が織り交ぜられていて、それがとても面白い。

ああ、真実はこうだったのか。
お前、実はこんなことしてたのかよ。
だから、あいつは彼女を探していたのか。


映画のラスト。
静かに対峙するシャオチーとマギー。

不気味な静けさで、映画は幕を下ろす。
この終わりの感じ、何かの映画に近しいなぁ、と思っていたのだけれど『鑑定士と顔のない依頼人』を観たときの感覚に近いのかもしれない。

『鑑定士と顔のない依頼人』、とても好きな映画。
あの絶望感が、たまらないから。


PG12ってこういうことか・・・
と思ったりもしたけれど(ぞっとしすぎて思わず手で顔を覆ってしまった。ミステリーは好きだけれど、血は苦手)人の思惑が交錯する作品は大好きだ。



以下の文章は、公式サイトにあったメッセージ。
単に監督やディレクターのプロフィールだけでなく、こういった作品への想いが掲載されているのっていいなぁ。___

DIRECTOR'S MESSAGE
最後に台湾の犯罪映画を見たのはいつですか?
台湾映画の主流は、感動的な人間模様や、若者の姿を描いた作品です。それらに比べるとスリラー映画や犯罪映画は数が多くありません。しかし台湾の2大人気ジャンル映画にも犯罪映画にも共通して言えるのは、少ない予算で作られるにもかかわらず、とてもエンターテインメント性が高いということです。ゆえに犯罪映画は若手監督にとって扱いやすいジャンルであるだけでなく、ストーリーテリングの腕を見せられる最高のチャンスを与えてくれるものとなっています。こうしたジャンルからは、思いもかけない素晴らしい才能がマーケットに出やすく、台湾映画の幅が広がると私は確信しています。

今、魅力的な筋書きにサスペンスとアクションがたっぷり織り込まれ、台湾ならではの特色を兼ね備えたジャンル映画が求められています。さらに大切なのは、台湾の普通の人々の生活や経験に近いものであるべきだということです。より大きな視点で言えば、台湾映画に元気と多様性をもたらすような、決定的に「存在感」のある映画が必要なのです。


そこで私は、これまでにない台湾犯罪スリラー映画を作り、既存の作品とは全く違った狙いを形にしたいと思いました。本作ではアメリカのスリラー映画のようにゆっくりとしたペースではなく、速いテンポをベースとすることで作品の雰囲気を明確にしました。全編、手持ちカメラで撮影してリアルさを出し、観客に自分も目撃者であるかのように感じてもらえるようにしました。手法と内容がぴたりとマッチしていれば幸いです。




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