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ムイビエンのアンチテーゼ

2022年11月23日 代々木第二体育館大会

ムイビエンは素晴らしいムイビエンな戦いを私たちファンに見せてくれました!
それは単なる勝敗だけでなく、ムイビエンのプロレス観を体現するような戦いでした。

ムイビエンのプロレス
それは『線のプロレス』です。
最近では自らの出自であるドラゴンゲートとの邂逅や、近藤修司選手とのタッグを入門時のエピソードを紹介することによって見事に”過去”のムイビエンと”今”のムイビエンをつなげ、点でしかない他団体とのコラボを線にまで昇華させています。
対戦だけでなくタッグを組む、ユニットでコラボする、そんなところまで理由を提示し、意味付けを行い物語りとして線にして、ファンの感情移入をしやすくしてくれます。
原田選手や小峠選手と組んだときも丁寧にタッグ結成の理由を語っていましたし、Eita選手との対戦もそうです。
ファンは単なる勝ち負けでないドラマをそこに見出すのです。

それでは、代々木大会でのムイビエンはどこがそんなにムイビエンだったのでしょう?

私はプロレスは全日本プロレス~NOAHという感じで応援を続けています。
なので、最近のNOAHの某老舗団体出身のレジェンドにはナノ単位でも思い入れや興味はありません。
それどころか、『それまでの攻防をまったく無かったことにする一撃必殺の技』に辟易しています。
それまでどんなに緻密で手に汗握る攻防を繰り広げていても、シャイニングウィザードやラリアット一発でそれまでの攻防が無かったことになってしまいます。
なんだかなぁって感じです。

そこで代々木のムイビエンです!
近藤先輩からパスを受けたムイビエンですが、私を含めほとんどの観客は『いけーーーー!ここでムイビエンだ!!』と思ったはずです。
ところがです。
ところがですよ。
ムイビエンはムイビエンに行かないで、得意の腰攻めを挟みます。
これすごくないですか?
それまでに相手の腰にダメージを与えていない状態なので、ムイビエンを繰り出しても技に説得力が出ないからです。
対戦相手の腰に一定のダメージを与えることにより、ムイビエンの威力や説得力をアピールしたのです。
それは観客へのアピールもありますが、ムイビエンがムイビエンという技を大事に使ってる証拠でもあります。
腰攻めを挟むとこにより、技であるムイビエンにも物語を作っているます!
ひとつの試合の一つの技にも『線のプロレス』言い換えればファンに対して必然性の提示を行ってるのです。

某老舗団体のレジェンドのような一撃必殺もいいと思います、でも私はやっぱり線で物語を動かすムイビエンのプロレスが大好きです。

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