算数
人が一人生きるのにかかる予算があって、それを捻出するために犠牲にしなければならない時間がある。
予算>時間 となったら、その人は「人生」という商品を購入することができない。
お財布にお金がないのなら欲しいものを買ってはいけない。
しかし残酷なことに私たちがこの世に生を受けるのは自分の意志ではない。生まれた以上、私たちは「人生を購入しなければならない」
愛のしるしとして、もしくはステレオタイプな家族像に毒されて、私たちは生まれてくる。
望まれない命なんてない、というのはその通りだと思う。それは自分自身の命に対してさえ言えることだということも。
人生を購入するつもりで生まれてくる人なんていない。
人生とは100年の借金返済レースである。
債務者をふやすことにすくなくとも生物学的以上の意味は見出すことができない。
そのなかで、自己実現の機会を得られたり、思わぬ幸運に巡り合ったりする。
新しい好きに出会えたり、思いがけず美しい景色に遭遇したり。
それは自分の意図に拠らない借金を抱えて生まれてしまった私たちに対しての神様からのささやかなプレゼントなのかもしれない。
それを糧に明日もまた労働するのだから神は残酷である
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