haru

2001/作詞/小説/エッセイ/物書き/北区/せんべろ

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最近の記事

算数

人が一人生きるのにかかる予算があって、それを捻出するために犠牲にしなければならない時間がある。 予算>時間 となったら、その人は「人生」という商品を購入することができない。 お財布にお金がないのなら欲しいものを買ってはいけない。 しかし残酷なことに私たちがこの世に生を受けるのは自分の意志ではない。生まれた以上、私たちは「人生を購入しなければならない」 愛のしるしとして、もしくはステレオタイプな家族像に毒されて、私たちは生まれてくる。 望まれない命なんてない、というのは

    • 鏡と花

       カネは一向に貯まる気配を見せない。親に一部負担してもらっているとはいえ、東京の家賃はワンルームでも決して安いものではない。その点、時間を貯めるのは実に簡単だ。何もせず放っておくだけで勝手に貯まってくれるのだから。9年も付き合っていれば、マンネリという言葉がちぐはぐに感じられるくらい彼女は俺にとって当たり前の存在になっている。そのままの距離感を心地よく感じる俺とは対照的に、彼女は10年の節目を跨いでしまう前に二人の関係に決定的な変化を持たせたいらしかった。それでも、カネは一向