【恋愛小説】 恋しい彼の忘れ方⑦
「恋しい彼の忘れ方」 第7話 -自愛-
桜舞う4月。
私は朝6時に、殴り書くように必死にペンを走らせていた。忘れないうちに、夢で聴いた声──これを書き留めて置かなければならない気がしたからだ。
「見よ、この広大な海を。民の声を。そなたとは大きな話ができるとワクワクしていたぞ。────わたしはそなたを愛している──」
ここまで書いて、手が止まった──。
「──愛している──?私を?」
夢の中の設定では、そこは、爽やかな風が吹き抜ける、大海原。それを目の前にした高台に、