【NAICレポート!】サーナイトデッキ解説&環境考察と注目デッキ!
■はじめに
こんにちは
はるです。普段は日本の友人や海外チームのLimitlessとポケモンカードをしています。もう最近はyoutubeで知っている人の方が多いかもしれません。
今回の記事ではNAICで使用したサーナイトの解説と、それに加えて全体的な環境考察をしていきたいなと思います。
■ICについて
Internationalと呼ばれるこの大会は、日本ではJCS規模の大会で、世界中から猛者たちが集まります。形式は予選からBO3,50分二本先取で、時間切れ後に追加ターンが3ターンあります。追加ターン以内に決着がつかなければ、2試合目の途中だった場合は1試合目の勝者が勝利。1-1で3試合目の途中だった場合は引き分けになります。
1日目からBO3で自然と対戦数が増え、引き分けも存在するため時間管理も重要になり、総合的なポケカ力が試される形式になっています。
勝ちは3ポイント,引き分けは1ポイントで、1日目は9回戦行って19ポイント(6勝1分)以上の成績を残せた選手が2日目に進出できます。2日目は1日目の成績を引き継ぎつつ追加で6試合行い、合計で36ポイント程度獲得した上位8名がTop cutと呼ばれるトーナメントに進出できます。
じっくり50分,2日通して40戦以上対戦できるのが大会の魅力です。
■対戦レポート
今回はJCSと同じ、サーナイトとロスト系統が強い環境です。やはり総合的にサーナイトが一番隙が少なく対応力が高いと考えて、サーナイトデッキを選択しました。
今回は大会の雰囲気を伝えるためにも、対戦レポートを載せたいと思います。
・Round 1 vs. Valerie Applegate [US] アルセウスギラティナ(0-0-0)
対戦相手はUSの女性プレイヤー。対戦前にお喋りしていると2年前にポケカを始めたみたいで、ミュウのプレイマットにミュウのコイン, 絶対ミュウだなあ…なんて試合前は思っていました。
Game1 Win
蓋を開けばアルセウススタートで震え上がりました。1ターン目に作業員を使うことになってやや不穏な展開ながらも、スタジアムを引くべきところで引いて勝ち。
Game2 Win
初手でサポがなくて大ピンチ…ながらも相手は2ターン目に攻撃できずに雪道を張ってパス。裏のポケモンをボスで捕まえると全然下がれないようで泥試合に。そのまま雪道を攻撃ターンまで維持し続けて勝ち。
2試合目の雪道を少し早く貼りすぎたプレー以外は順番含めて完璧で上手だった印象でしたが、最終結果も5-4となかなかのプレイヤーでした。
・Round 2 vs. Lucy Applegate [US] サーナイト (1-0-0)
対戦表を見ると2戦連続”Applegate”でびっくり。よくある苗字なんですかね。
Game1 Win
先攻2ターン目から順調に殴り始め、サイド差がついて相手が投了。時間としては15分程度が経過していました。
Game2 Win
シャッフル後残り時間30分で試合がスタート。3戦終わらせるには、2試合目の投了判断が重要になってきます。相手が先2で殴り出すも、盤面にキルリアが1体しかいないかつ、後攻2ターン目にこちらも殴り出せたのでこの試合で決めることを本線にしました。サイドが3-3のタイミングでサナexをザシアンで倒し、そのまま逆転して勝ち。
Ptcglでサーナイトがバグっていた影響もあり、相手は練習時間が取れなかったことを嘆いていました。海外プレイヤーのメインの練習手段はptcglなので、早く直って欲しいです。
・Round3 vs. Jeremy Wang [CA] アルセウスジュラルドン (2-0-0)
Game1 Win
相手が先2から殴り出すも、1ターン目にロストシティを貼り忘れる痛恨のミスをしてくれました。そのおかげでサーナイトラインが潤沢に確保でき、後半はサーナイトexで受け回して勝利。最後ナンジャモの2枚からカリンを引かれていたら負けていたのでラッキーでした。
Game2 Win
1ゲーム目から学んで、今度は早い段階からサーナイトexにダメージを溜めることで、そもそもカリンを引くかどうかの試合にならない展開を目指しました。練習経験がないデッキ相手に、ゲームプランを修正するのはBo3の醍醐味ですね。試合の方はうまく作戦がはまって勝ち。
・Round4 vs. Nelson Barros [BR] 連撃インテレオン (3-0-0)
ブラジル人プレイヤーと対戦。対戦前にブラジルの神様Gustavoが声をかけてくれて、威嚇で相手の攻撃力がダウンしました。
Game1 Win
相手が先2から爆回りしてキルリアがどんどん倒れていく厳しい展開に。普通に戦っても勝てないサイド差だったので、ボスでオクタンをとり、ナンジャモを使うとピタリと止まってくれました。そのまま奇跡的に押し切って勝ち。
時間は残り25分。2試合目はさすがに決着がつきそうなので、難しい時間です。
Game2 Lose
またもや先攻2ターン目からインテレオンVmaxがぞろぞろと進化し、ヨガループから攻撃に入られます。これは無理だと判断し、サクッと投了して次へ。
Game3 Draw
時間がないので勝ちを目指してとにかく高速でプレイ。
最終的に残りサイド3-2、こちらの盤面が[前サナex, ベンチ キルリア, サナ]で試合時間が終了し追加3ターンに。
ここで博士の研究+リファイン4枚でキルリアが進化できれば、相手はヨガループができずにこちらに最終ターンが回ってくるのですが、まさかの何も引けずに殴ってパス。相手がヨガループから追加ターンの2,3ターン目を消費し、最後ボスを引けば勝ちの場面で引けずになんとかTieに。
実はこの試合、それまでナンジャモがセルフシャッフルだったのに勝負所で突然、「お前勝手に手札戻したよな???」と言われ大ピンチに陥りました。話し合ってなんとか切り抜けましたが、ネイマールの相手をするディフェンダーの気持ちがちょっとわかった気がします。
・Round5 vs. Konsta Kallama [FI] ミュウ (3-0-1)
フィンランド人のプレイヤーと対戦。何度か経験はありますが、北欧プレイヤーは今まで全員優しかった。
Game1 Win
2枚サイドを先攻されるも、そこから3-1-2でサイドを取って勝ち。雪道が2枚入っていたので、スタジアムの枚数はかなり気にする必要があるなと感じていました。
Game2 Lose
ミュウでボールがヒットせず、ロストシティから刈り取られる展開に。残り時間は20分ほどで、タラタラやってもこの試合は決着がついてTieになりそうなので次へ。
Game3 Win
サイドを2-3で取り、最後1枚を取ればいい場面。釣竿でザシアンを返し、アルカナシャインで封印石を引いて作業員から勝ち。勝率的には五分五分くらいの試合を取れたので、今日は全体的についているなと感じていました。
・Round6 vs. Vance Kelley [US] ミュウ(4-0-1)
Game1 Win
お互いに大事故をかまし、相手が先にミュウVmaxでバトル場のザシアンを倒して動き出しました。その返しに博士を引いて、奇跡的にリバエネサーナイトでVmaxを倒して大沼バトルを制します。
Game2 Win
この試合も事故るものの、相手もロボが一生裏でボスは使われず、リソースだけがトラッシュに落ちていく展開に。ダブレットが切れたことで、サナexが倒されなくなり、受け回してぎりぎり勝ち。
・Round7 vs. PJ Witusik [US] アルジュラブラッキー (5-0-1)
Game1 Win
先攻1ターン目に手張りされず、そのまま押し切って勝ち。隣で米国の強豪プレイヤーIan robbが同様のデッキにかがやくフーディンを入れていて、そういえばケアしなきゃなと。
Game2 Win
またまた先攻1ターン目で手張りされず、そのまま押し切って勝ち。運が良すぎました。
これで19pt溜まってDay1通過が確定しました。結果は明日に持ち越しなので、ポイントを積み上げたいところです。
・Round8 vs. Kevin Ajolt Nguyen [US] パオジアン (6-0-1)
Game1 Win
ミュウvsパオジアンexスタートだったので、相手に倒されにくいようにゲッコウガに入れ替えてパス。相手は狙い通り逃げてポータルを切ってくれたので、ベンチのセビエを後2で取ってエネを削って勝ち。上手く作戦がはまりました。
Game2 Lose
こちらが少しだけ出遅れ、ゲーム後半にスイッチャーコロン手裏剣を揃えられて負け。早々に投げてもよかったのですが、パオジアン側に上振れられると残り時間が僅かでも試合を決められる可能性があるので安全にTie狙いにしました。
Game3 –
残り時間が1分で試合が始まり、合意の元Tieになりました。先攻では有利なのは間違いないので、2試合目を早めに投了して勝負をしてもよかったなと、全体を通してここが唯一後悔が残りました。
・Round9 vs. Orlando Karam [US] サーナイト (6-0-2)
Game1 Win
先攻で順調に展開し、サイドを取る展開に。エネの量的にはいつでも相手のサナexを倒せたのですが、なぜかボスが引けず。そして相手もなぜかボスが引けず。いつの間にか残りサイドが1-1までボスが一度も使われない不思議な試合に。最後の最後までお互いボスを使えなかったので先後の差で勝てました。
Game2 –
Game1でMaxターンプレイしたこともあり、残り10分で試合が始まります。そのまま決着がつかず勝利。サーナイトミラーは実質Bo1になりがちなので、投了判断やプレイ速度はとても重要です。
7-0-2 23pt 全体9位でDay1を通過しました。作戦がはまった試合がありつつも、やはり全体を通して運がとてもよかったので、明日も継続を願って眠りにつきます。
・Day2
Top cutに残るには、36ptが必要だったので、4-1-1が最低ライン。今回の目標はTop cutだけなので、Day2は引き分けよりも全力で勝ちを目指すことになります。
・Round 10 vs. Vance Kelley [US] ミュウ (7-0-2)
昨日のRound7の相手と再戦。この試合が今日の命運を分けます。
Game1 Win
昨日の復習のように、サイド6-4まではしっかりと盤面を整えて、それ以降順調に相手を倒して勝利。
Game2 Lose
試合開始時点で残り時間が10分。手札を見るとエネ5枚にクレセリア、ヒスイボールでした。相手はメロエッタに手張りパス。ポケモンが並べばまず間違いなく勝ちの場面で、何も引けず1分で吹き飛ばされてしまいました。
Game3 Lose
お互い引き分けの価値が低い状況なので、全速力でプレイして勝ちに行きます。最終的に山札25枚程度で、博士+リファイン6枚でリバエネor基本エネ2枚+ザシアンが引けず、Vmaxを倒せずに負け。
ここで最大の下振れを引いてしまったのが今回のトーナメントの全てでした。ただGame3は超全速力でプレイする中でもっといいプレイがあった可能性もあるので、まだまだ実力不足を実感した試合でもありました。
・Round11 vs. Jonathan Ramirez [US] ロストボックス (7-1-2)
マンチェスターユナイテッドのユニフォームを着たおじさんと対戦。気さくに話してくれて前回の負けから気分転換できました。
Game1 Win
相手はポケストップからアクロマが2枚落ちる痛恨の展開。ごめんねと言いながらナンジャモを使うともちろん相手は止まって勝利。
Game2 Lose
ポケモンが十分に並ばずに、先2ロストマインで盤面が崩壊して負け。ここでドラピオンVが見えました。
Game3 Lose
マナフィとクレセリアがサイド落ちのヤバい展開で相手はウッウスタート。1ターン目にヒスイのヘビーボールが引けたので、長考に入ります。
後手1手裏剣は確率が低そう,ラルトスは3体並んでいるので最悪試合ができる、アメ、ハイパーなど全て山の中、相手にドラピオンVが入っているので2ターン目のアタッカーに困る、など多くの要素でクレセリアを選択。
結果的にはそれが裏目に出て、2ターン目にアメ進化できず、手裏剣から盤面が崩壊して負けてしまいました。
ここの選択は後から振り返っても、2ターン目のアタッカーに困りそうなのでクレセリアを取る気がするのですがどうでしょう?
・Round12 vs. Samuel Liggett [US] 雪道ミュウ (7-2-2)
相手はNFLのユニフォームを着ていて漫画に出てきそうなパワー系で、ダイスを何度振っても力が強すぎてテーブルに収まらず、ジャッジに注意を喰らっていました。ここまで一体どうやって対戦してきたんだ…
Game1 Lose
サイドが残り1-4まで有利に展開を進め、ベンチにザシアンを用意。これでボスor作業員を引けば勝ちの盤面を作ります。しかしナンジャモ後リファイン6枚で何も引かず,を3ターンくらい繰り返して勝てず。雪道が張った状態ででスイーパーが4枚切れていたので、サナexを前にしてナンジャモを使うも、上からボスを引かれて負け。
What a cloce game! ってグータッチされた時は涙ちょちょぎれてました
Game2 Lose
サイドが残り1-3まで有利に展開を進め、ベンチにザシアンを用意。残り山札10枚の中に、当たりのカードが4枚あったので、大量の手札を捨てて博士の研究を使って勝ち確を作りに行きます。ところがここであたりを全部引いてしまいます。その後最大まで圧縮してナンジャモ後に50%で勝ちまで盤面を作るも、引けず負け。
計算したら6%くらいでした。悔しい。。
・Round13 vs. Jerrick Gumila [US] サーナイト (7-3-2)
ここで完全にTop cutの可能性がなくなってしまったので、しばらくは気力のバトルです
Game1 Win
作業員後に封印石で博士の研究を取る痛恨のうっかりミス!でも気合が相手より優って勝ち。
Game2 Win
相手がサナexを2体立てて大怪獣バトルを挑んできました。こちらはリバエネをつけたサーナイトで倒すと、何故かそれがスルーされて連続ボスで勝ち。
・Round14 vs. Anthony Bruno [US] アルジュラブラッキー (8-3-2)
Game1 Win
出遅れてかなりサイド差がつき、負け確の盤面ができます。しかしなぜか相手はアルセウスVstarを逃げて裏のブラッキーで攻撃。これでエネが足りなくなりナンジャモ後にバグって勝ち。
Game 2 Win
後手1でナンジャモを使うと、相手の手札がレベルボール×3, たねポケモン×3の芸術的な手札になり勝ち。
世界中どこでも目無しの下位卓はカオスなようです。
・Round15 vs. Caleb Rogerson [US] ロストボックス (9-3-2)
アメリカの強豪プレイヤーで、何度もオンラインの上位卓では対戦した顔見知りでした。ここで勝てばTop32で賞金とボックスが貰えるので気合を入れ直します。
Game1 Lose
後手1で手裏剣を決められるも、気合でアメ進化して返します。その後残りサイド3-3,ロスト側は入れ替えが8枚使い切っており、1枚ヤミラミがロストの状態でナンジャモを3連続で使うも、3連続でロストマインを決められて負け。最後はナンジャモ1からツツジを引かれて、今日はなんだか呪われている気分でした。
Game2 Lose
2ターン目にウッウの返しにサナexで攻撃すると、キュワワー1体の盤面からドラピオンが飛んできて負け。
あっけなく2試合終わってしまったものの、オンラインで対戦したプレイヤーと実際に賞金をかけて対戦するのは感慨深いものがありました。
結果的に9-4-2 81位でした。
2日通して極端な天国と地獄でしたが、これは縦引きデッキの宿命かもしれません。今回は知り合いの強豪プレイヤーの多くがサーナイトを使いましたが結果は芳しくなく、サーナイトで”狙って勝つ”のはかなり厳しいと感じました。
それを踏まえてサーナイトのデッキ解説と、NAIC後のおすすめデッキ解説に移ります
■デッキリスト
■採用カード解説
・キルリアの採用枚数 ~3つの選択肢~
・リファインキルリア4
ここはかなり悩んだ点で、3つの選択肢がありました。
1. リファインのキルリアを4枚採用する
2. ミラージュステップのキルリアを採用する
3. キルリアを3枚にする
まずミラージュステップの採用可否についてですが、ミラージュステップが有効なのはパオジアンやアルセウス、ミュウなどいわゆるTier2以下のデッキです。
逆にTier1のサーナイトやロストには、ミラージュステップをするよりも2ターン目に攻撃したり、終盤にリファインを欠かない盤面を作れるリファイン4枚目の方が価値が高いです。今回は後述するヒスイのヘビーボールでラルトスのサイド落ちをある程度ケアできたこともあり、リファインを4枚採用して少しでもトッププレイヤー同士の対戦に強い形にしました。
●キルリア3枚採用について
ふしぎなアメを3枚採用した場合、進化ラインが余分になることもあり、キルリアを3枚にする案も有力でした。特に今のリストではボタンが入っていないので、デッキの中で唯一無理矢理枠を作るならここかふしぎなアメでした。
・70ラルトスと60ラルトス
60ラルトスを採用するかどうかはかなり意見が分かれるところでした。60ラルトスを採用すると、ミラーでクレセリアに簡単に倒されてしまう点や、ロストマインでミュウとセットで取られてしまう点など、ミラージュステップのキルリア同様Tier1のデッキ相手に不利をとってしまいます。しかしこれらのデメリットは、60ラルトスをさっさとサナexに進化してある程度回避可能なので、アルセウス系のデッキに強いというメリットの方が大きいと判断して採用に。結果的にはアルセウスが大量発生していて大正解でした。
・ボール配分
ヒスイのヘビーボールを採用するためにレベルボールを1枚削った以外は普通の配分です。ヒスイのヘビーボールは優秀で、クレセリアやマナフィなど、多くのキーカードを拾ってくれます。サーナイトミラーにおいては、ラルトスの枚数が勝敗に直結することも多く、ヒスイのヘビーボールは必須級に感じました。
・サポート配分
ネオラントを採用するかどうかで、最後までTordと意見が別れたところでした。実際にかなりの試合で序盤にサポートが手札になく苦しい展開になったものの、同時にマリガンも多数発生したので、ネオラントスタートしていたかも…という場面も多くありました。
また、採用する場合は基本的にナンジャモを1枚削ることになるのですが、4枚フルに使う試合が多いので、ここはナンジャモ4枚の方が優れていると考えています。
また、作業員と手帳の枠をボスの3枚目とスタジアムにする案もありました。(Wadaはそれで出場しています。)
この場合はボスが3枚になってパワフルになるものの、スタジアムを割るカードの総数が減ってしまうのは嫌だったので手帳入りに落ち着きました。加えて手帳は最後にナンジャモの妨害に対して勝ち確の盤面を作れるのも優秀です。
・スタジアム枠
崩れたスタジアムはエネを捨てるなどトリッキーな動きもできて超優秀なので確定枠。ボウルタウンもボールの代わりになって次点で優秀です。
3枚目のスタジアムとしてシンオウ神殿が一般的ですが、極めて限定的な場面でしか有効的に使えず、明らかに他の59枚のカードたちに比べて見劣りするので今回は不採用に。
・森の封印石
4枚目のアメや、リバーサルエネ、序盤のサポなど、全てのカードを+0.7くらいしてくれる神カードです。縦引きデッキの中で確定サーチがあることで、デッキ全体の分散を小さくできるので勝率を安定させることができます。
・エネルギー配分
エネルギー配分も3つの選択肢があり、
1. 基本超11-リバエネ1
2. 基本超10-リバエネ2
3. 基本超11-リバエネ2
デッキの枠があれば3が理想ですが、他のカードが優先的で必然的に1か2に。基本超が10枚だと、ザシアンでVmaxや310のexを倒す際に余分なエネルギーが1枚しかないので、倒したい時に倒せないことが多く、超エネが11枚に軍配が上がりました。特に現在のリストでは、森の封印石が実質的にリバーサルエネルギーになるので、リバエネ1でも気にならない範囲でした。
■採用候補カード達
デッキスペースがほとんどないので、採用候補のカードは数枚しかありません。
・ネオラントV
ハイパーボールがサポートになるカード。採用する場合はボタンとセットでデッキに入れたいです。終盤ロストマインを連打してくるロスト相手に、ネオラントがあると「ネオラント→ボタン+崩れたスタジアム」でミュウやマナフィを消してかなり盤面を整理する動きが強力。ロストへの勝率は改善します。
ただし枠的にどうしてもサポートを1枚削る必要があり、ネオラントを置かなければいけない試合や、スタート率も気になるため不採用に。
・ボタン
クチート対策カードその1。ベンチが狭いサーナイトでは、ポケモンを回収できる動きが強力で、普段使いしても強いカードです。ただやはり他のサポートを使う方が強いターンが大半で、使うのは3試合に1回程度。デッキの他のカードは毎試合使うことを考えると、見劣りしてしまって不採用に。
今環境のクチートは完全にサーナイトピンポイント感が強く、そこまで数が多くないだろうと考えていましたが、当日も運良く回避できました。
・ネジキ
クチート対策カードその2。釣竿0.3枚分くらいになり、ラルトスラインを再利用できたりとボタンよりハマった際の動きは強力です。配信などでも試しましたが、イマイチ上手く使えないことが多く不採用に。
・災いの荒野
スタジアム候補3。個人的にはシンオウ神殿より評価が高いです。ある程度練度が上がると運ゲーになりやすいミラーマッチの勝率を改善してくれます。最終盤にゲッコウガをボスで縛ってクレセリアで攻撃すると、相手がスタジアム切れの場合逃げれずに詰ますことができます。
不採用の理由は他のカード同様、これもミラー限定に近いカードだからです。サーナイトデッキは安定感がギリギリなこともあり、できる限り汎用性の高いカードで60枚仕上げたいところ。
その他クレセリアの2枚目など、多くのカードをテストしましたが、どれも有効とは考えられず、今のノーマルなリストに落ち着きました。
■他のサーナイトの形
・フワンテサーナイト
フワンテとチャンピオンフェスティバルを採用し、VstarやVmaxなどを倒しやすくした形。ミラーで構築単位で差をつけたいと思い試しましたが、ロストに勝率が低く没に。
・ミュウツーV-unionサーナイト(リバサナ)
上手く回った時は強力なものの、デッキの動きとしてミラージュステップが前提であり、キルリアのサイド落ちが痛すぎるので安定感が足りませんでした。また、ミラーマッチでも練度が高いと、崩れたスタジアムを活用して最後に2枚とられないようにすることで、超サーナイトが有利な点も踏まえて、今回は使用を断念。
■サーナイトTips
・ラルトスの進化先
サーナイトミラーやロスト戦では、60ラルトスを簡単に取られて嫌な思いをしたことは誰しも一度はあると思います。
それを回避するには、先攻1ターン目は60ラルトスを優先して置き、それをアメ進化でexにしてしまいましょう。サナexは勝負所までほぼやられないので、「釣竿で返したラルトスが60で倒された…」なんてことにはほぼなりません。
一方アルセウスロコンなど60ラルトスが大活躍する試合では、基本的にサーナイトは3体で戦って、60ラルトスは温存しましょう。相手側はロストシティを張って60ラルトスのついたサーナイトをロストしてくるので、最終盤まで温存してナンジャモと合わせて60ラルトスを縛るのが強力です。
・ミュウは逃げろ
初手にVIPパスもサポもあって絶好調、ベンチがフル展開できた、そんな時でもミュウをバトル場に出してふしぎな尻尾を使っていませんか?ミュウは脳死で使わずに、少し先の展開も考えてみましょう。例えばアルセウスが相手の時。2ターン目には雪道+ジャッジマンがとんできて厳しい手札になることが予想されます。そんな時は、ベンチにミュウを温存して、2ターン目からふしぎな尻尾を使って展開していきましょう。
・クレセリアのエネ散らばり問題
ミラーマッチなど、クレセリアのムーンライトリバースを多用する試合では、エネが盤面に散らばって終盤にザシアンが起動できない…ことはあるあるです。クレセリアのエネのつけ先として、exにつけるか、ミュウにつけるか、それとも…と迷った時は、崩れたスタジアムがデッキに残っている時はクレセリアにエネを3,4…と貯めていくのがおすすめ。クレセリアにエネを貯めると、終盤崩れたスタジアムで一気にエネをトラッシュして、ザシアンを起動できることが多いです。お試しあれ。
■環境デッキの評価と、サーナイトの戦い方
・サーナイトミラー
サーナイトミラーは複雑なので差がつくポイントをまとめます。
1. 先攻2ターン目に限りミュウを倒す
サーナイトで先攻2ターン目に攻撃できる場合、理想的な動きは40乗せたサナexでミュウを倒すことです。ミュウを先2で撃破すると、後攻側のサーナイトは攻撃が難しくなるのでサイド差つけることができます。また、2ターン目にサナexで攻撃することで、クレセリアのエネを温存でき、終盤にザシアンを起動しやすくなるのもgood。このプレイのおかげでミラーの先後は明確に先攻有利です。試してみてください。
2. アルカナサーナイトに進化する
ミラーではキルリアはクレセリアに倒されてしまいますが、サーナイトは倒されません。リファインをぎりぎりまで引っ張って、不要札を捨てる動きは強力ですが、なるべく早くサーナイトに進化して、クレセリアの攻撃から守ってあげましょう。
サーナイトミラーは一つ一つのプレイの難易度は高くないですが、手数が多すぎてどこかでケアレスミスが発生しがちです。ぜひ練習パートナーと、中盤以降は一手一手盤面を止めて検証してみてください。
・ギラティナ
微不利
環境デッキに幅広く戦えるのが強みで、雪道からの捲り性能が高いです。日本ではサーナイトに次いで人気なのに対して、海外では後述するロストボックスが人気で、ほとんど見かけません。
個人的な評価としては、現環境のギラティナはややパワー不足かなと感じています。雪道+ツツジでどこからでも捲れる一方、対戦相手のレベルが上がるとゲームの大半がビハインドの試合になるので、どうしても相手が引くか、引かないかのゲームになりがち。試合数を重ねると勝ったり負けたりを繰り返してしまう印象があり、好んで使いたいと今は思いません。
〈サーナイト側の戦い方〉
序盤はクレセリアで攻撃、この時にサーナイトにエネを溜めるのがポイントです。ギラティナを撃破する際に、サイコエンブレイズで乗るダメージを極力減らすことで、返しのロストマインによる被害を最小限にすることができます。
しかしギラティナ側が上手だと、ロストマインによってかなりコントロールされてしまうため、このマッチは微不利と評価しています。
・ロストボックス
不利
海外ではギラティナより圧倒的にこちら人気、特にアメリカのトッププレイヤーの間で好まれています。カイオーガ入りと、ドラピオンVやボスなどを入れたビート型があり、現環境はドラピオンV入りが優勢です。森の封印石から後手1手裏剣や先2ロストマインで序盤から勢いよく攻めるのが基本戦術。
ただし序盤の手札に左右されがちで、ギラティナと比較すると手札の分散は大きく、大会結果はピンキリなイメージです。また、アルセウス系統や連撃デッキなど、一部明確に不利をとるマッチもあり、大会に持っていくには勇気も必要だなと思います。
サーナイトは1ターン目に複数体のラルトスとマナフィを並べる必要があり、この要求値がかなり高いので相性に設定しました。
〈サーナイト側の戦い方〉
基本の戦い方は、クレセリアを2ターン目から動かして裏を取る動き。後半にかけてナンジャモやボスで相手を妨害して止まってくれることを願います。ベンチのキルリアはなるべく早くサーナイトに進化しましょう。少しでもロストマインの的を減らすことが勝ちにつながります。また、サナexで攻撃すると、上手なロストはカイリューVやライコウVで攻撃してくるので、それらが突撃してきても返せるような盤面を作れると理想です。
・アルセウスギラティナ
微有利
初心者でも勝てる!というイメージがあるこのデッキ。現環境では立派なガチデッキの一つです。パニックマスクや災いの箱を採用してサーナイトへの勝率を上げた形が増えています。ビーダルによって後半のナンジャモに耐性があるのが強みで、雪道+ジャッジマンで大半のデッキを破壊できます。
相手の動き依存なこともあり、個人的にはこのデッキは大会に持っていきたいとは思えませんが、やはりプレイ難易度は相対的に低く、誰にでもお勧めできる強さを持っています。
NAICの上位リストにジェットエネルギーが採用されていて、賢いなと思ったので紹介。
〈サーナイト側の戦い方〉
サーナイト側の戦い方としては、相手のサイドが残り4枚になるまではひたすら盤面を作り、そこから2-2-2でサイドを取っていきます。
ポイントは二つ
1. ミュウはベンチに温存すること
雪道+ジャッジマンがほぼ確定で2ターン目に飛んでくるので、それの返しにミュウでレベルボールを探したいです。そのためにもミュウはできれば1ターン目はベンチで待機するのがこの試合のコツ。
2. キルリアにエネ手張り
サーナイトで相手のVstarを倒すには、エネルギーが8枚必要で、サイコエンブレイズ+手張りではちょうど1枚エネが足りません。そこで手張りが余ったターンには積極的にキルリアに手張りして準備しておくようにしましょう。
・ミュウ
微有利
ミカルゲが出てきた程度では一流のミュウ使いは止まりません。コオリッポを入れた形が主流で、1ターン目からロストシティを貼ってラルトスを削ってきます。
ただし対戦していても、自分で使っていても、3試合に1回程度は手札が詰まって事故ることが多く、ミュウへの評価はかなり低いです。NAICでも結果を残しておらず、おすすめはできません。相手に使われると嫌なデッキ、というイメージです。
〈サーナイト側の戦い方〉
サーナイト側の戦い方はアルセウス戦に似ていて、残りサイドが4枚まではひたすら盤面を作って、そこから攻撃してサイドを取っていきます。ミラージュステップがないと不利、と良く言われますが、個人的にはサーナイトが適切にプレイすれば、キルリアはリファイン4枚でも十分に微有利はついていると思います。ボールが余っていれば、マナフィを出してコオリッポ対策をしておきましょう。
・パオジアン
微有利
キャンセルコロン+手裏剣が気持ちいいこのデッキ。海外では数が多い一方日本ではあまり見かけません。正直NAIC前は過小評価していたなと、上手なパオジアン使いと対戦して感じました。やはりポケモンの進化ラインが多く、安定したデッキではないのでお勧めまではできませんが、日本で考えられているよりは強力なデッキです。
〈サーナイト側の戦い方〉
序盤のコロン+手裏剣はもう仕方がないので諦めるにしても、後半にはキルリアをサーナイトに進化して、手裏剣を耐えられる盤面を作ってしまいましょう。
ポイントはクレセリアによるベンチ狙撃です。相手にエネが足りてなさそうならセビエを倒し、エネが間に合ってしまっている場合はビーダルを倒します。デッキのシステムポケモンを倒してナンジャモを使うと、パオジアン側は止まってしまうことが多いので活用してみてください。
■環境考察
ここまで環境デッキをある程度みてきた中で、まずTier表を簡単に。
Tier1 サーナイト ロスト
Tier2 ギラティナ アルセウス
Tier3 ミュウ ルギア パオジアン
ギラティナとロストに関しては国内と国外で位置が逆転すると思います。
NAICの上位入賞プレイヤーやデッキを見ても分かるように、現環境でTier1とされるサーナイトやロストは引きの要素がかなり強く、分散が激しいことが読み取れます。結果として、アルセウス系統や連撃デッキなど、ある程度序盤の動きがシンプルで後半まで戦えるデッキが上位にいることがわかります。
特に現環境最強と言われるサーナイトに関しては、これまでのTier1, つまりパルキアVstarやルギアVstarと比べると、パワーが見劣りしています。パルキアやルギアは、それらのデッキに勝つためだけにデッキを組んでも、もはや有利を取れない…というレベルのパワーがありました。一方サーナイトは、ロストにも微不利、アルセウスやミュウにもたまに負けるなど、Tier1ではありながらも絶対的なパワーを持ったデッキとは言えません。
そこでサーナイトエンジンやロストエンジンと比べた時に、圧倒的に安定感があるのはアルセウスエンジンです。序盤にサイドを2枚程度先行できるのが保証されており、後半もビーダルである程度安定して動くことができます。実際にアルセウスデッキがNAICでアメリカのトッププレイヤーの間で共有されて持ち込まれ、優れた成績を残したのもそれが理由です。
アルセウスデッキは現環境では、雪道ジャッジマンでお祈りするという印象とは裏腹に、”狙って勝つ”のに適したデッキと言えるかもしれません。
■おすすめデッキ
ここまでを踏まえたお勧めデッキを紹介。NAICのマスターではアルセウス+ジュラルドン+ブラッキーの形が主流でしたが、相手をした感想としてはサーナイトと五分くらいだなという印象でした。
それよりもジュニア部門で結果を残した アルセウス+レジドラゴVstarがイチオシです。
日本風に組み替えると、
実はこのデッキ、NAIC出国前日にptcglのライブ配信をした際に対戦していて、その時点で持ち込みを検討したのですが、さすがに時間が足りませんでした。それが大会でも結果を残していて、やはり、、といったところ。
オンバーンexの技をコピーすることで、サーナイトに作業員を要求させることができ、アルセウスギラティナの頃よりさらにサーナイト対策が増しています。さらにヒスイヌメルゴンのアイアンローリングを主軸に戦えば、環境の多くのデッキに有利を取ることができます。
こだわりベルトはイチオシカードで、ギラティナでミュウVmaxを取れるようになる上、アイアンローリングで220のVラインを倒せるようになるのは魅力的です。
世界大会のDay2なら今年はこれをメインに検討していたと思います。是非試してみてください。
■おわりに
NAICの結果からも、サーナイトが本当に最強デッキなのか?という疑問を投げられたかのような大会でした。国内外共に、まだまだサーナイトは一線級なので、これから環境がどのように動くか注目です。