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桃屋杯3位ピカゼク&桃屋cs2位ドラパルト

こんにちは、はる( https://twitter.com/haruN_poke )です。

3月21日の桃屋杯で3位を獲得したピカゼクと、桃屋チャンピオンシップスで2位(予選全勝)を獲得したドラパルトの記事です。前回の海外環境考察記事からの続きとして読んでいただければと思います。読み物として楽しんでいただけるように構築過程には特に重点を置いて書きました。
初めにピカゼクの解説から始めます。

ピカゼクの構築経緯までは無料で読めるので、ぜひお読みください。


・デッキコンセプト(ピカゼク)

 今回ご紹介するピカゼクは今までに環境に存在していたピカゼクとは大きく構築面で異なるデッキになっています。このデッキの最大の目標は後攻1ターン目にフルドライブを高い確率で打つことです。既存のピカゼクはミラーでも対3神ザシアンでも、ドラパルトに対しても、後攻を取った時にかなり勝率が落ちてしまうことがネックでした。後1フルドライブは最近でも先攻を取れなかった時の上振れという認識が強いと思いますが、このデッキは後攻になった場合でも安定してフルドライブを打つことができます。
 最近では、後1フルドライブを割り切って作ってあるデッキもあり、そういったデッキに対しては高い確率で勝利できます。また、既存のピカゼクと比べてプレイがとても簡単なので初心者の方にもおすすめです。
桃屋杯では試験的にすべて後攻を選択して3位にまでなることができたのでデッキパワーの高さが分かっていただけると思います。

・構築経緯(ピカゼク)

OCIC前まで、ピカゼクはかなり低く評価していました。理由は簡単で、ピカゼクは古くから存在するデッキだからです。ピカゼクが発売されたのは2018年12月で、現在では既に1年以上が経過しています。コケコvやパルスワンvなど一部新カードが採用されるものの、デッキパワーの根源となっているのはピカゼク、コケコ♦など昔からあるカードです。ここまで息が長いことはカードパワーの高さを証明しているのは確かです。その一方で、もし仮に現在の環境における最強デッキがピカゼクであるとすれば、この1年間の新カード、新ポケモンたちは意味のないカードになってしまいます。それは非常に違和感のあることです。そのような中、ザシアンvなど一目でわかるインフレカードが出たことでピカゼクは完全に時代遅れなデッキであると考えていました。安定感に関しては最高クラスであるものの、環境のベストデッキではないと考えたのです。もし環境のベストデッキという結論にたどり着いても、それは新カードの研究不足だと考えていました。以上のような理由で私たち調整チームはあまりピカゼクの研究が進んでいませんでした。
そんな中、OCICでうおんさんに練習して頂いたピカゼクは非常に強力に感じました。そして少なくとも、他のチームより私たちのピカゼクの研究がかなり遅れているのは明らかでした。そして強いピカゼクを作る、というのが帰国後のテーマになりました。
ピカゼクの研究をスタートする時、日本では反逆クラッシュが発売されました。リスト公開と同時に最も騒がれたのはスピード雷エネルギーとドラパルトvmaxでした。しかし私たちには回収ネットのほうが魅力的に映りました。ポケモンカードにおいて強力なグッズはいつも環境を加速させます。グッズは何回でも使えるからです。バトルコンプレッサーやトレーナーズポスト、少し古い例を出せばジャンクアームなどがその例です。回収ネットはどうでしょうか。ジラーチと使えばトレーナーズポストに変身します。しかもいれかえ効果付きです。ミュウツーと使えばバトルサーチャーです。ジグザグマと使えばフラッシュバイツ+ポケターンになります。他にも様々な使い方があり、回収ネットの話だけで1つの記事が書けるほどです。気が付いたら私たちは既存のデッキのほとんどに回収ネットを入れていました。世間ではボスの指令が出たことでジラーチの評価が高まり、その対策としてアブソルを推す記事が多く見かけられましたが、私たちのデッキのジラーチは逃げるがたとえ4でも関係ないリストになっていたので環境の最先端をいっている自信を持てました。
Malmö regionalsのデッキを見た時に、limitlessはスーパーポケモン回収、tordはダート自転車を採用しているのを見て、グッズを多く採用した3神ザシアンが戦えることは知っていました。そんな中四天王のけいと( https://twitter.com/sokesokesoke200?s=20 )が、後手1でオルタージェネシスに特化したデッキを持ってきました。初めはネタデッキに思えたものの、回してみると意外と勝率がよく強いのではないか、と感じました。しかしその認識は間違いであることが分かります。100回以上テストプレイをした結果、後手1オルタージェネシスorブレイブキャリバーが決まる確率は良くて6割程度でした。そして決まった試合はほとんど一方的に試合に勝てます。シュウトやタクト( https://twitter.com/taku_pcg?s=20 )など、どれだけ強いプレイヤーに対しても6割程度の確率で勝てるのはとても強く思えます。しかし忘れてはならないのが残りの4割です。わざわざ後手を取ってたくさんのリソースを使い、決まらなかったらどんな相手にでも負けてしまいます。Clに持ち込んだら納得のいかない形で3敗してしまうのは明白だったので没になりました。そんな中けいとが諦めず持ってきたのが後手1ピカゼクデッキでした。元々エネルギーつけかえ4型も多かったことや、ピカゼクは後手1に特化させればかなりの確率でフルドライブを打てると思ったことがこのデッキを作り始めた理由だったようです。テストプレイをすると3神ザシアンよりはるかに後手1の成功率が高いことが分かりました。第一印象では1ターン目に比重を寄せすぎて2ターン目以降の動きが既存のピカゼクより弱くなる印象を受けます。しかし実際にプレイすると答えは真逆でした。2ターン目以降も非常に強く立ち回れるサポ構築にたどり着けたことで、ずっと続いていたピカゼクのサポ問題に私たちの中で結論を出すことができたからです。2ターン目には山札の全てのエレキパワーを集めて試合を決めきれるようになりました。詳しいサポについての議論は後述します。また、あるカードを採用してコケコ♦がサイド落ちしてしまっても後手1でフルドライブを使えるようにすることでデッキを完成させることができました。
そして強いピカゼクを作るというOCIC以降のテーマが達成できたか確認するため、桃屋杯に持ち込んで3位と一定の結果を残すこともできました。
これより下ではデッキ解説をしていきます。
有料部分には、2日目の桃屋杯で2位となったドラパルトvmaxについても解説を載せています。様々な形のドラパルトvmaxが存在する中でもかなり自信の持てるリストになっていると思います。ここでは簡素な形になっていますが、ピカゼクと同じ分量で構築経緯からデッキリスト解説まで行っています。
今後の公式大会は中止になってしまったものの、現在の環境を正しく把握しておくことは次の環境で他のプレイヤーに差をつけることができます。強いデッキリストを知りたい方、今後に向けて差をつけたい方、読み物として楽しみたい方向けの記事となっています。

ここまでお読みいただきありがとうございました。また、桃屋の皆さまにはとても良くしていただいて本当に楽しい体験となりました。改めて感謝申し上げます。ありがとうございました。

・デッキレシピと採用カード解説

無題


初めにドローサポートが博士の研究4枚のみである解説をしていこうと思います。
理由は単純で先3or後2までに研究を2回打つだけで、山札のほとんどのカードが引ききることができ、他のサポートはそれと比べて貧弱だからです。
まず、他カードとの比較からしていきます。
ピカゼクのデッキに入る候補として挙がるのは、デンジとグズマハラです。

無題


デンジは基本的にサポート権を使ってほしいグッズ+エネが持ってこられるのは強力ですが、山が削れないこと、博士の研究とジラーチで山を削っていれば欲しいグッズは引けるので使いたいサポートではありませんでした。
また、グズマハラはサンダーマウンテンとスピード雷とエスケープボードを持ってこられるので2ターン目に安定して打つことに貢献していますが、1ターン目に打つことにはほとんど貢献せず、サンダーマウンテンはあってもなくてもカプ・コケコとつけかえがあれば成立してしまうので不採用となりました。
その他、マリィに関してはドローサポートとしての採用ではなく終盤に妨害カードとしての採用は考えられます。

次に、ドローサポート4枚で引けるのかという議論です。ここはけいとが担当してくれました。
最初の7枚+1枚で、デデンネ2博士の研究4クイックボール4電磁レーダー2ジラーチ4の16枚のうち1枚でも引ければければいいと考えると大体93%で、ダートじてんしゃが引ける確率を合わせると96%、さらにそのダートじてんしゃで必要カードが引ける確率が50%(意外と高い)で大体92~3%に落ち着くと思います。(ジラーチ1回で初手に必要なカードが引ける確率が2/3程度なのを考慮した結果。スピード雷やねがいぼしで引けるダートじてんしゃ、回収ネットによるジラーチの使いまわしを考慮していないため、初動に関してはもう少し高い確率で動けると思います)
参考)
このように、初動に関して言えば他のサポートを入れなくとも動くのです。
初動で動けば、回収ネットでジラーチを使いまわしボールの類から博士の研究、エネルギーつけかえなど後1フルドライブに必要なパーツを集めていくことができます。純粋に考えても、初手8枚博士7枚デデンネ6枚でこれだけで山札は30枚程度になり、途中で打つボール、ダートじてんしゃ、スピード雷によりさらに圧縮され、その途中や後半にねがいぼしをすることで、欲しいカードを高い確率で得ることができます。
2ターン目には20枚ほどの山の中から、博士の研究を使ってねがいぼしを再び使いまわすことで山札のほとんどのカードを引ききることが可能です。既存のピカゼクと比べてエレキパワーなど必要なカードを揃えやすいことは数回テストプレイをするだけでも実感できると思います。


ポケモン
ジラーチ 4
スタートするか否かで成功率に大きく差が出るので必ず4枚採用です。複数枚あっても回収ネットと合わせて使えるので腐りません。回収ネットで使い回すことで後1フルドライブに必要なカードを集めます。
パルスワンV 1
サブアタッカーであり、そうでんもできるため保険にもなります。後手1でそうでんを打って前のパルスワンが生き残った場合、場に3枚エネルギーが残るので付け替えが2枚あれば6エネタッグボルトも狙えます。
カプ・コケコV 1
最近ではパルスワンが2枚、コケコが0枚のリストも見ますがあまり賛同できません。フルドライブを打った後のピカゼクが倒されてしまうとパルスワンでは打点が出ないからです。コケコvは3エネで200ダメージ出せるのでエレキパワーを使えばピカゼクを倒したザシアンやタッグチームを一撃で倒せます。
レックウザGX 1
カプ・コケコがサイドに落ちた際、サンダーマウンテンと合わせてフルドライブを打つことができます。そのためだけに採用することはかなり怪しいですが、他にも様々な使い方があります。最も分かりやすいのはパルスワンの打点アップですね。それ以上に重要な使い方は、試合後半でのエネ加速や、3エネついた2体目のピカゼクに手張り+レック付け替え+サンダーマウンテンでタッグボルトを使用できることです。勝ち筋が大きく広がる良いカードであるとわかりました。
ワタシラガV 1
デデンネや博士の研究でボスの指令が落ちてしまうことが多いので採用しました。初めは回収ネットとの相性の良さもありミュウツー+ヤレユータンを入れていましたが、クイックボールはコケコ♦を持ってくることに使うことや、ベンチのスペースが無いことで1枚で解決できるワタシラガを採用しました。

グッズ
エネルギーつけかえ 4
カプ・コケコプリズムスターの特性せんじんのまいの後に使うとそれだけでフルドライブを打てます。また、フルドライブでベンチポケモンにつけた後に前のピカチュウ&ゼクロムが倒れなかった時につけかえ+αでタッグボルト(追加効果あり)を打つこともできてとても便利です。

回収ネット 4
これでジラーチを使いまわしていき。パーツを集めます。回収ネットは他の対応ポケモンも一緒に入れてあることが多いものの、ジラーチのみでも十分強力です。特にピカゼクでは、2ターン目以降にねがいぼしを使いまわすことで山札にあるエレキパワーを全て集めることができます。
ダートじてんしゃ 3
山を掘れるカードの数を増やすために採用しました。最初は4枚採用だったものの、エネルギースピナーに枠を譲り3枚に。
電磁レーダー 2
デデンネの接続率を上げつつ、ピカチュウ&ゼクロムもとれる優れものです。
ピカチュウ&ゼクロムは基本的にこれで持ってきて、クイックボールは他のポケモン(カプ・コケコプリズムスターやジラーチ)に使います。
エレキチャージャー 1
デデチェンジや博士の研究で大量に固まったエレキパワーをトラッシュした試合が気になったので採用しました。2ターン目以降の火力向上につながる1枚で、お守り対策でツールスクラッパーを入れるくらいなら最大打点を上げたほうが強いです。前述の通り2ターン目には山札のほとんどのカードに触れることができるため、条件が整えばドラパルトvmaxも320ダメージで倒すことができます。
エネルギースピナー 1
ジラーチでエネルギーに接続するカードを1枚は欲しいので採用しました。複数枚持ってきてトラッシュにエネを送る動きも強力です。
エスケープボード 1
ジラーチが4枚のデッキはエスケープボードは2枚であることがポピュラーだったと思います。初めは2枚採用していたものの、テストプレイを重ねていくと回収ネットと相性が悪いことに気が付きました。前のジラーチは逃げずに回収するからです。入れ替えと回収ネットで合計8枚逃げる手段があるため1枚採用で十分でした。
サポート
博士の研究 4
ドローサポートの中で最強です。博士の研究を後手1、後手2で使うことで山札のほとんどのカードを引ききることができるのでデンジやグズマハラなど他のサポートを打つ理由が見当たりません。また、サポートで後ろを呼ぶカードであるボスの指令が出たことで、サポート権の価値はとても高くなりました。その中で山札から数枚しかカードをもってこれないデンジやグズマハラは非常に貧弱です。
ボスの指令 3
このデッキはカードを捨てることが多いので、1回打つだけでも3枚は欲しいです。特に打てるのが2ターン目以降なので、捨てる枚数は必然的に多くなってしまいます。
エネルギー
スピード雷 2
強いが基本エネルギーを2枚トラッシュに落とせないとせんじんのまいが使えないので、控えめに2枚採用。

・候補カード解説

マリィ
桃屋杯が終わって、やはり相手への妨害カードは必須に感じました。エレキチャージャーを抜いてマリィにするのがより良いと思います。マリィはリセットスタンプと違ってトラッシュに落ちてもワタシラガvによって拾うことができます。
グレートキャッチャー
ボスの3枚目をグレートキャッチャーに変更することはドラパルトが少ない環境なら考えられます。リセットスタンプと同様にトラッシュに落ちるとどうしようもないこと、2ターン目以降は盤面が完成していてサポート権をボスに使う余裕があることが理由で今回は採用しませんでした。

・立ち回りとマッチアップ相性


後手を取っても非常に強力ですが、じゃんけんに勝ってしまったら基本的に先行を選びます。現在環境に存在するデッキはどれも後手だと弱いからです。後手1フルドライブが高い確率で打てるので、先2フルドライブはほぼ確実に使えます。ジラーチと回収ネットを使い回すことで必要なパーツを揃えていきます。注意すべきは博士の研究とデデンネの打つ順番です。デデンネは数を絞っているので、サイド落ちが確認できない場合はデデンネを選択するのが良いと思います。また、最悪の場合ボールでワタシラガを持ってくればトラッシュに落とした博士の研究が使えるのでやはり迷ったときはデデンネかと思います。
また、フルドライブが打てた際、絶対に倒されることがない場合以外は、後ろにつけた方が安定します。一般的なピカゼクもそうだとは思いますが、このデッキは特にそうで、たおされなかったらつけかえ+手張り+サンダーマウンテンでタッグボルトが打てるからです。ミュウを出された場合でも、4枚エネルギー付け替えが入っているので後ろにエネルギーを移すことができます。

3神ザシアン 有利
ピカゼクが鋼抵抗でオルタージェネシスを打たれない限り倒されないため、フルドライブでは前にエネルギーをつけます。相手のgx技より先に打つことが重要です。相手の前がジラーチの場合は、ジラーチを倒し、次にエレキパワーを3枚揃えてタッグボルトで前の3神を倒すことを狙います。相手の前がザシアンや3神だった場合は、フルドライブで乗せて次のターンには後ろをボスで読んでタッグボルトでまとめて倒します。

ピカゼクミラー やや有利
先にフルドライブを打つほうが大きく有利なマッチアップです。こちらは後手でもフルドライブが打てる確率が高い分相手より有利です。先にフルドライブを打ったらエネは後ろの2体目のピカゼクに貼ります。1体目のピカゼクが相手にフルドライブ+エレキパワー3で倒された場合には、相手は次のピカゼクを倒すことが困難だからです。返しにレックウザとサンダーマウンテンで6エネタッグボルトを使えるのがベストです。もし仮にこのタイプのピカゼクが広まったら後手が有利に変わる可能性があります。

ドラパルト 五分~やや不利
とても難しいマッチアップで、ドラパルト側が完璧にプレイしない限りピカゼクが有利です。相手がミュウを採用しているかも肝になります。先行を取った場合は積極的にデデチェンジして場を整え、2ターン目に後ろのエネルギーのついたドラパルトを倒すことを目指します。基本的には前のピカゼクにエネルギーをつけます。エレキパワーとエレキチャージャーを使ってパルスワンで320以上出すことを狙うのも大切です。

ピカゼクは相性票だけ見ると5分のマッチアップが多いものの、安定感が高いことが最も評価できる点です。何度も一人回しをしていると簡単に回せるようになるのでぜひ使ってみてください。

次にドラパルトの解説に入ります。

・構築経緯(ドラパルト)


反逆クラッシュが発売されて、回収ネットを様々なデッキに入れながら一通りのデッキを試しました。まず初めに、スピード雷エネルギーが出たことでピカゼクがtier1であることは明らかでした。しかし私たちは冒頭部分の通りピカゼクが最強デッキと認めることはできなかったので研究をつづけました。その中でもドラパルトvmaxは先行を取った時の大ファントムの制圧力がとても魅力的でした。調整チームの中でもシュウトが一番熱心に使っていました。唯一ネックだったことは、ドラパルトは発売当初から騒がれていてミラーマッチが多発しそうなことです。カルゴloの時にも書いた通り、私たちはミラーマッチは極力避けて環境を破壊する完全な新デッキを作るのが好きなので、初めはあまり好ましいデッキタイプではありませんでした。しかしミラーマッチをしていく中で、ドラパルトは3神ザシアンやピカゼクと異なりミラーマッチではかなりの割合でプレイングが勝敗に関わることが分かりました。ガブレンミラーやゾロアークミラーなどプレイングで制することができるミラーマッチが大好きな私たちには、一変してドラパルトは最も好ましいデッキの一つになりました。ドラパルトはピカゼクや3神と異なり、何と組み合わせていいのか分からなくて初めは非常に困惑しました。しかし構築力もプレイングも試されるとても挑戦的なカードだとわかったので、私たちは一つずつドラパルトの形を試すことにしました。
初めに試したのはカラマネロ型です。作る前から薄々分かっていた通り、ドラパルトは2エネルギーで技が使えて耐久力もあるためカラマネロは相性が悪く没になりました。次にブルー型を検討しました。しかしこれは初めから私たちの好きなデッキタイプではありませんでした。回収ネットを入れられないからです!ブルー型はジラーチを使えずサポートでデッキを回さなければならないことで、ボスの指令が使いづらいこともネックでした。幅広く対応できることが売りのドラパルトで小回りが利かないことは致命的に思えたので没になりました。次に試したのが回復型のドラパルトです。イエッサンvやマオスイレンを採用してドラパルトを長く生き残らせるデッキです。マオスイレンは非常に強力だったものの、イエッサンは次第にいらないカードに思えてきました。ジラーチを取られた場合にイエッサンが倒されるとサイドを1-2-3で取られてしまい非常に効率が悪いからです。20ダメージ回復があまり試合に影響を及ぼさないこともありイエッサンは不採用にしました。一方でマオスイレンは一度決まればピカゼクやミラーで大きく優位を取れるため非常に感触の良いカードでした。回復ドラパルトに、大好きな回収ネットパーツを組み込むことでドラパルトvmaxが完成しました。同時期に行われた銀座slでとーしん選手やヨネタク選手ら世界でもトッププレイヤーのお二人と、エネルギーなどの部分まで似たデッキタイプにたどり着けたことは研究結果が間違っていなかったのだと自信につながるものでした。

・デッキレシピと採用カード解説

画像4


ポケモン
ドラパルト4-3
4枚目のドラパルトvmaxが欲しい場面は何度もありました。でもどうしても枠の関係で採用できなかったので、初ターンのミステリートレジャーは2体目のドラパルトvではなくドラパルトvmaxを取る約束をすることでカバーしました。
ジラーチ3
初めは4枚だったものの、4枚目はヤレユータンに枠を譲りました。デデチェンジを打つデッキではないのでジラーチで必要なカードを取ってくるのがとても大切です。試合後半には回収ネットで手札に返して相手にサイドを与えません。
ヤレユータン1
ドラパルトは相手のマリィですぐに止まりやすいこともあり、ヤレユータンはとても重要なカードです。必ず毎ターンサポートを上に置くことが大切です。また、デデンネやグレーとキャッチャーなど替えが利かないカードを山札に残して研究を打てるので後半に勝ち筋を残せます。
ミュウツー1
相手のリセットスタンプに対してミステリートレジャーや回収ネットが当たり札になるのがとても心強いです。勿論回収ネットと相性抜群です。研究で捨ててしまいそうなときはプレイして後半に回収ネットで再利用します。
ジグザグマ1
ギラティナ(やぶれたとびら)との選択になります。前にダメージを残せるジグザグマが欲しい場面が多かったのでジグザグマを採用しました。
ミュウ1
対ピカゼク専用です。6エネタッグボルトを止めるすべが他にないので必須です。
デデンネ1
初めは入っていないカードでした。イエッサン同様にサイドを2枚取られるうえ、グレートキャッチャーの対象になってしまうからです。しかしデデンネがデッキに入っているか否かで、勝負所で見ることができる山札の枚数が大きく変わります。そしてリセットスタンプや相手のマリィへの耐性も変わります。スタートの危険性を考えなければ2枚採用したいほど、最終的には重要なカードでした。やはり今の環境ではデデンネは最低でも1枚はデッキに必要だと学べました。
サポート
シロナ2、マリィ2
初めはマリィが4枚入っていました。マリィが好きなシュウトと嫌いな僕で争った結果今の枚数になりました。マリィで妨害できるのは非常に強いものの、毎ターンエネルギーを貼ったり、次のターンのサポートを確保することが綱渡りであるドラパルトデッキではマリィはとても不安に感じました。終盤に強力なリセットスタンプを2枚採用することでマリィを少し減らして、安定感を高めるシロナを採用しました。
マオスイレン2
初めは3枚採用されていたものの、ミュウツーで再利用できるため2枚になりました。ピカゼク戦などでは必須級のカードのため、さるぢえなどで大切に扱うこともあります。
ボスの指令2
初めは3枚入っていたものの、1枚はタクトのアイデアでグレートキャッチャーになりました。相手のデデンネを最後に取る試合がとても多いので最後に研究から勝ちを拾える試合が増えました。
グッズ
回収ネット4
いつも通り4枚採用です。終盤にサイドプランの関係でジラーチやヤレユータンをすべて回収することもあるので常に枚数確認はしておくことが大切です。
いれかえ3、エスケープボード1
いれかえは4枚ほしかったものの、枠の関係で3になりました。それでも回収ネットと合わせて8枚ジラーチをいれかえるカードが入っているので十分だと思います。
リセットスタンプ2
ドラパルトvmaxは耐久値が高く、リセットスタンプで試合を拾える場面は多いので2枚採用です。OCICでは結果を残した多くのデッキが2枚採用だったこともあり、自信をもって採用することができました。
エネルギースピナー2
とても重要なカードで、シュウトは今でも3枚目が欲しいと言っています。先行1ターン目にドラパルトvを置いてエネルギーをつけることは何回かテストプレイをして思ったよりうまくいかないことが分かりました。ねがいぼしでアクセスできるスピナーのほうがエネルギーより優秀と考え徐々に増えて2枚です。
ツールスクラッパー1
相手のお守りを剥がしたい場面が多かったので採用しました。一番自由枠のカードになると思います。しかしclなどの大型大会では、不意のお守りで勝ちを逃したくはないため採用する気がします。
うねり1
マーシャドーとの選択になると思います。私たちのテストプレイでは、即座にスタジアムを割りたい場面よりも、後半にリセットスタンプと組み合わせて相手にスタジアムを張らせない動きのほうが強く感じたのでうねりを選択しました。
大きなお守り1
マオスイレンと組み合わせることで相手の要求値を大きく上げることができます。桃屋杯ではリザードンvmaxが使える環境だったので何度かテストプレイした結果、お守りが無いとリザードンに一撃でドラパルトが倒される可能性があったので採用しました。
エネルギー
基本エネルギー5
スピナーと合わせて最低枚数に感じます。1枚減らしてスピナー3も検討しましたが、最後にエネルギーが足りなくなる試合もあったので今の枚数です。

・候補カード、不採用カード解説


ギラティナ

画像3


特殊エネルギーを破壊できることはとても優秀に思えました。しかし一番使いそうなミラーマッチではお互いドラパルトを2パン出来ないため1枚壊しても間に合ってしまうことから不採用です。ミラーでは相手のギラティナを警戒して基本エネルギーから貼るのが重要です。
呪いのお札
効果自体はとても強いものの、超バレットと違ってドラパルトは1回しか気絶しない(2体目のドラパルトが倒されたときには負けている)ため、相性がいいカードには思えませんでした。

エネルギー付け替え
エネルギーのテンポが間に合わなかった時にマオスイレンと合わせて使うことで試合に復帰できます。便利なカードではあるものの使える場面が限定的だったため不採用に。

・立ち回りとマッチアップ相性


先行を取ってドラパルトvにエネルギーをつけることを最優先にします。ドラパルトが後手1でダメージを受けるのは好ましくないため、回収ネットがあって、ミュウやジグザグマが居ればそちらでスタートして回収ネットで戻すことも選択肢になります。後半に試合が捲れることも多いので、スタンプやグレートキャッチャーなどは大切にプレイしましょう。

3神ザシアン 五分
先行でダイファントムを使えると大きく有利になります。マオスイレンを使ってもブレイブキャリバーが2回耐えられないのはかなり辛いです。相手がデデンネを出せば、ジラーチ、デデンネ3神を取ればいいので楽ですが、相手が出さない場合はホラー超を組み合わせてザシアンに17点乗せることを意識するのが重要です。また、オルターを打たれるとサイドを2-4で取られる恐れがあるので、なるべく余計なポケモンは置かずに回収ネットで戻して4-4で取らせられると強いです。

ピカゼク やや有利
一度マオスイレンを決めるだけで大きく有利になります。5点をコケコvやパルスワンに置くと、ホラー超と合わせて大ファントムで倒せます。ピカゼクに13点乗せたら、ジグザグマ1回とダイファントム追加効果2回で倒せるので、ジグザグマは積極的に使います。

ドラパルトミラー 五分
マオスイレンをどこかで1回通すことを意識してプレイします。ホラー超がついていない場合には、ジグザグマを相手のvmaxに使うとダイファントム2回+追加効果で倒せます。サイドレースに関係なくても相手のジラーチを倒すことで、相手はデデンネを置けなくなることは覚えておくべきことです。

相性表だけではドラパルトは極端に有利なマッチアップがあるとは言えません。それでもプレイでカバーすることで勝率を上げていけるのがドラパルトの強みであり、使っていて楽しい部分です。

・対戦レポート(ドラパルト)


ドラパルトに関しては使用感が伝わりづらいと思うので対戦レポートを掲載します。
桃屋cs
1戦目 〇ドラパルト(みやししさん)
先行を取られて先にダイファントムを打たれる厳しい展開でした。後2でダイファントムを打つことで打ち合いに。マリィで止まると困るのでお互いさるぢえでサポートを上にセットする手堅い試合でした。逆転のきっかけになったのはマオスイレンで、相手のダイファントム1回分を回復することでこちらが有利になって勝利。したっぱと比べて試合中盤でも有効に働くマオスイレンの良さが出た試合になりました。初戦ではあるもののこの日で一番頭を使った試合でした。

2戦目 〇3神ザシアン(まほうじんさん)
先行を取って2ターン目からダイファントムでジラーチ、3神と順調にサイドを取って勝利しました。オルターの次のアルティメットレイで2-4とサイドを取られないようにジラーチを回収したことで余裕をもって勝てました。

3戦目 〇エースバーン(うおんさん)
相手が先行ヒードランスタートで前にダメージを与えられたくないので後ろのドラパルトにエネを貼って番を返しました。しかし事故っていたようですぐに番が帰ってきたものの、こちらも前のドラパルトが逃げられず2ターンお互い動けませんでした。先にこちらが3ターン目にダイファントムを打ち、ヒードランを処理することに成功したので、ドラパルトvmaxが一撃で倒されることはなくなり勝利。

4戦目 〇小ズガ(はるとくん)
先行ドラパルトスタートで番を返します。相手はフル展開するもぎりぎりエネを5枚引けず3エネ小ズガが前で番が帰ってきました。7エネ+溶接工3エネをそろえるのは難しいと考え前の小ズガを倒すものの、返しでフル展開してvmaxが倒されてしましました。バーストgxまで考えるとサイドを1枚しか上げられない状態だったのでヤレユータンを前に出して番を返します。相手はここでヤレユータンを3枚捨てて倒すと7枚+溶接工3枚のエネルギーを供給できないようでブレイザーで番が帰ってきました。そこでプランをloに切り替えて回収ネットを絡ませながら耐えしのいでlo勝ちして勝利。この対戦で裏を呼ぶカードが無いことが分かりました。

5戦目 〇レッパ(しゅんさん)
後手で完全に事故った状態で番を返しました。相手はレシリザの技を使って前のドラパルトを気絶させます。トップでクイックボールが引けたのでデデチェンジから展開してリセットスタンプ+ジグザグマ+ダイファントムで前のmmを気絶させます。相手は止まったのでそのまま押しきて勝利。ギラティナと比べてジグザグマの良いところが出た試合でした。
決勝トーナメント
ベスト8 〇3神ザシアン(おかぴ―)
配信録画( https://youtu.be/2CpLnA_t9wM )相手は事故気味だったので後手2からダイファントムでジラーチと3神を気絶させます。相手は手札が乏しく、すぐにザシアンを用意できそうにはなかったので前のドラパルトvmaxを2回マオスイレンで回復させて安全に勝利。

ベスト4 〇ピカゼク(よもぎさん)
手札が事故っていて数ターン止まったものの、相手も自己ってくれたおかげで何とか手遅れになる前にダイファントムを打つことに成功。ダメージを後ろのパルスワンに集めて5+ホラー超+ダイファントムで倒します。返しに相手はグレートキャッチャーを引けなかったのでピカゼクとデデンネを倒して勝利。

決勝 ×(はるとくん)
配信録画( https://youtu.be/vbesvTJC7bE )事故っていて序盤に流れをつかめなかったので、サイドを2-2-3で取らせるプランを選択しました。予選と同じようにエネ切れを誘うしかなくなったので最後はボスの指令を連打して相手のポケモン入れ替えを枯らすプランを取りました。相手はlo対策でワタシラガで攻撃してきましたが、ミュウツー+回収ネットでボスの指令を使い続ければ勝てる場面でした。最後にジグザグマが草弱点であることが抜けていてサイドを取られてしまい、試合を落としてしまいました。練習不足が招いたものなのでもう反省です。はると君はシニアプレイヤーですがとてもプレイがしっかりしていてミスも少なく、内容面では完敗でした。

・おわりに


桃屋杯で結果を出せたことは、Cl京都が中止になった中でも皆でカードを続けてきたことのご褒美だったと思います。今回は外部のデッキが全く分からない中での研究だったので不安は多かったですが、その中でも結果を出せたことはこれからの自信になることでした。
ピカゼクはデッキパワーを押し付けるデッキ、ドラパルトはプレイングで綺麗に捲るデッキで両者は対照的です。どちらもとても面白いデッキなのでぜひ使ってみてください。

有料部分までお読みいただきありがとうございました。今回は情報の即効性が求められる状況でもないため、読み物として楽しんでいただけるように構築過程やカード評価を重視して書いてみました。今回の記事や、これからの記事でのご要望などありましたら、Twitter( https://twitter.com/haruN_poke )のほうで受け付けております。

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