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藝大楽理科に1ヶ月半で合格した話

どうも皆さんこんにちは、東京藝術大学音楽学部楽理科1年のはるにゃです。趣味はおしゃべり、電話、Twitterの絶望的暇人です。
去年の今頃藝大受験のために必死こいて勉強してたのを思い出してこの記事を書く気になりました。

私が楽理科受験を決めてから何より不安になったのが、藝大受験に関する情報量の圧倒的少なさです。
私は地方出身なので藝大専門塾みたいなのもなかったし、模試で明確に自分の立ち位置も分からなければ、過去問も著作権の関係で半分くらい見れないとかいうふざけぶり。
そんな過去を思い出し、少しでも誰かの不安解消に役立てたらなと思って1年前の記憶を掘り起こしてみます。

まあ私の合格体験記が参考になる人とか多分10年に1人もいないですけどね。



2020年12月まで(高3)

そもそも私の志望校は東京大学理科一類でした。
高2の頃全国模試で2位取ったり、東大模試でA判出したりと比較的成績が良かったタイプなので、まあ自分は東大行くんだろうなぁと特に疑いもなく志望校が決定していました。

1月(共通テスト直前)

共通テストまで残り1週間くらいの頃、突然思ったんです。

「私、このまま東大受けていいのかな?」
「子供の頃からやってきたピアノ、本当はもっとやりたかったな」
「音楽が学びたい……!」

ただ、受験期の1年間ほとんどピアノを触ってなかった私がここからピアノ科受験をするのは絶望的でした。
そこで音楽史でもやろうかな?と思った私は

音楽史 学べる 大学 【検索】

とGoogle先生になんとなく聞いて出てきたのが「東京藝術大学 音楽学部 楽理科」でした。

えっここ面白そう、受けよう

という強い衝動に駆られた私は共通テスト1週間前にして東大受験を放棄し、藝大楽理科を受けることを決意しました。今思うと頭おかしいよ。

1月下旬(共通テスト後)

志望校を藝大に変更したところでとりあえず共通テストを受けなければいけないことは変わらなかったので、共通テストまではいつも通り勉強してました。

ここで楽理科の入試科目について簡単に説明すると
・共通テスト(国・英・任意1科目) 500点
・英語(記述式) 300点
・国語(記述式) 300点
______ここで一次合格発表______

・小論文/面接 300点
・和声 200点
・聴音 100点
・楽典 100点
・副科ピアノ(もしくは任意の楽器) 100点
・新曲視唱 50点
・リズム課題 50点

の計2000点満点のうち上位から合格していくシステムです。
この二次試験の音楽科目たちが曲者で、東大受験を目指してた私には目新しい科目が突然大量になだれ込んできました。

幸いなことに幼い頃から音楽をやっていた私にはほとんどの科目は特になんの対策もなく突破できるとすぐ分かったのですが、ここで問題になったのが「小論文/面接」と「和声」です。

まず小論文。これは毎年音楽学に関係するようなテーマが与えられ、それに対して800文字で見解を述べます。そしてここで書いた小論文に対し二次試験最終日に楽理科の教授陣から口頭試問を受けるという形になります。
小論文を書いた経験はそれなりにありましたが、音楽学という専門性の高いテーマについてとなるとかなり苦労しました。私はこれの対策のために小論文の通信添削と、楽理科専門塾の先生のレッスンを利用しました。具体的なサービス名は直接お聞きしていただければ答えます。

次に「和声」ですが、これが大変苦労しました。
この和声という科目に私は今まで全く触れたことがなく、例えるならあと1ヶ月で算数しかやったことない人が数1Aをマスターしなければいけないみたいな状況です。しかも答えがひとつではなく正誤判定が初心者には難しいため、独学がかなり困難。
私は昔から習ってたピアノの先生に作曲家の先生を紹介していただき、そちらで和声を習いました。

1ヶ月で和声をなんとかしたいと最初言った時は呆れられましたね……。私は藝大和声と呼ばれる教科書を使ったのですが、その第一巻を習得するのには通常1年かかること、藝大受験には第二巻の途中までやらなければいけないことなどを説明され、今年の藝大受験を諦めるよう小一時間説得されました。
「落ちてもいいからやりたいです!」って折れなかったらそこからレッスンつけてもらえました。1回3時間を週2回でめっちゃキツかったです。1年かかるって先生が言ってた教科書を1回で終わらせられてビビりました。

2月(個別試験まで)

元々東大志望のため学力があり、幼い頃からの音楽経験でほとんどの科目が元からできた私はただひたすら和声と小論文の訓練をし続けました。楽理科受験の大変さのひとつに受験科目の多さがあるらしいのですが、それを完全無効化して実質2科目受験みたいになってましたね。音楽やらせてくれた親に感謝するしかないです。

2月26日(個別試験一次)

ワクワクドキドキしながら上野公園を歩き、藝大に到着しました。あんまりにも楽しみすぎてスキップしてましたね。
まず5-109という大講義室に音楽学部の受験生は集められ、そこから学科ごとに呼ばれて個別試験会場に連れていかれます。
声楽科が美声を響かせながら点呼を終えたあと、楽理科がちっちゃい声で呼ばれたので試験官についていくと五線譜になってるホワイトボードとピアノが置いてある教室に着きました。そこで国語と英語の試験を受けます。
特に何事も起こりませんでした。普通の大学と一緒ですね。昼休みに食べようとしたコンビニおにぎりが崩壊して悲しかったです。

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後日一次合格発表があり、まあ普通に受かってました。共通テストリサーチ1位だったしここは特に心配してませんでしたね。

3月6日(個別試験二次1日目)

また東京に来て試験を受ける羽目になりました。この二次試験、なんと3日間もあるので地方勢としてはめんどくさいことこの上ない。この年は日曜を挟んだので3泊4日ホテル生活。コロナのせいで外食も控えてたので毎日マック食べてましたよ。
さてこの1日目は小論文と和声の試験でした。
小論文のテーマは「不快な音楽とはなにか」みたいな感じでした。私のTwitterのどっかに再現答案が転がってますので興味あれば。比較的この年のテーマは書きやすかったのでラッキーでした。
さて、1ヶ月ちょいで詰め込んだ和声。とりあえず解けはしたけど合ってたかは全然分かんないです。下書き用紙にはサラサラと解答を書けたものの、本番用紙に写す時に間違いを大量発見して真っ青になりましたね。適当に直しました。

私はホテルを御徒町寄りに取ってしまったので、緊急事態宣言下でも元気に飲んでる治安悪めのアメ横らへんを通らなきゃいけなくて結構怖い思いをしました。今となっては慣れたけど、藝大受験生はアメ横近くのホテルは避けた方が治安はいいかも。あの辺しか徒歩圏内のホテル無いけどな。

3月7日(休憩日)

この日は試験期間に日曜が挟まってしまったため試験はなく暇でした。暇だったので前記事でも登場したヴァネロピさん( https://twitter.com/vane11ope )と浅草観光してました。スカイツリー楽しかった。

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次の日からも試験があるのは分かってましたけど、今更足掻いてどうするのかという気持ちが強かったので多少楽典の過去問を見直す以外は何もしませんでした。お夕飯に買ったマックのてりたまバーガー美味しかったな。

3月8日(個別試験二次2日目)

この日はソルフェージュ系の科目がたくさんあります。器楽科とか他の科の人もこの試験は共通です。視唱とか運が悪いとめちゃくちゃ待たされるので暇を潰せる道具は必須ですよ。私は3時間待たされたので新しいゲームをインストールして遊んでました。
正直この日のことは3時間待たされたこと以外何も覚えてないです。例年は副科ピアノもあるんですが、この年はコロナ対策の関係でなくなってました。ピアノ弾きたかったな。

3月9日(個別試験二次3日目)

この日は通称「洗礼」と呼ばれる、1日目に書いた小論文についての口頭試問の日です。面接自体は10分程度なんですが、教授陣に自分の未熟な文章について問い詰められるのは割と精神にきます。まあ黙り込むとかよっぽど酷いことしない限りそんなに合否に関係ない気がするので気楽にやりました。
結局直前で焦ったところで実力は変わんないからメンタル強くいくしかないですよね。ちなみにこの口頭試問、メインで質問してくる先生は1人なので顔を覚えておくと入学してから「誰がメインの質問だった?」って話題で盛り上がれます。覚えておきましょう。

3月13日

合格発表の日です。
まあ結論から言うと受かってました。
後期の京都市立芸術大学の入試がもう始まってたので京都の桂のイオンで合格発表見て嬉しすぎて座り込んでました。
ネットでの合格発表は鯖落ちするんで、予定時間通りには結果は見れないと思ってのんびり待ちましょう。
なんか入学手続きの前にアンケートとか答えた記憶がありますがもう忘れました。結構手続きってめんどくさいので受かった人はここから本番ですよ。頑張ってください。

まとめ

ということで共通テスト直前になってノリで藝大受験を決めたら受かっちゃった話でした。
大抵の人は高2とかから受験対策してるらしいので受かるか不安でしたが、まあ受かる人は受かるってことがわかりました。
私は色々特殊すぎてなんの参考にもならなかったかと思いますが、もしも楽理科を真剣に受験したいという方がいらっしゃればなんでも相談には乗るのでお気軽にどうぞ。他の科でも知り合いとかはいるのでもしかしたらアドバイスできるかもしれません。

それでは皆さんに最後アドバイスです。

志望校は早めに決めましょう。

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