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お母さんの誕生日と、両親の幸せを願った翌日。

こんにちは。晴季です。

現在、執筆中の童話がまだ進まないので、
昔、書いた短編を改訂して載せてみました。

幻想的な愛の寓話をお楽しみください。


さて、

先日の8月8日は、我が家の入籍日でした。

と同時に、わたしのお母さんの誕生日でもありました。

8並びの誕生日って、めちゃ縁起がいいなと
思っていて、
スピ的にもライオンズゲートという
大きな節目であるらしく、
夏に入籍するってなった時に
絶対この日と思ったんですよね。

当日は、急遽思いついて
(平日だったから、特に考えてなかった)
スーパーのお寿司とミルクレープ買って
冷凍のとんかつでお祝いしようとしたら、
夫も不二家でケーキ買ってきたので
ミルクレープは次の日に回して
お祝いしたところ、
お腹いっぱいになって母に電話しそびれました。

当日にはちょうどお母さんが
メロンを送ってくれたというのに。
(と言っても、たまたま人からもらったメロンだけど)

と、これ以上遅れないように
翌日の会社帰りに電話しました。


お互いの近況を軽く話してお礼を言おうと思ってたところ、
車を手放したとの衝撃告白で
メロンのお礼も、80歳のお祝いの言葉も吹っ飛びました。


パパ(うちは母はお母さん、父はパパと呼んでおります)は85歳だし、
(お母さんは運転できない)
年齢的には免許の返戻は
ごく自然な流れなんですけど、

両親の住んでいる場所は、
車がなければどこも行けないような
超絶不便な場所にあるんです。

最寄りの駅まで車で30分以上かかるし、
一日1本しかなかったバスも廃線になったし、
車なしで行けるところといったら、
ミニストップとセブンイレブンのみ。

ちょっとお茶しにとか、
ちょっとイオンモールぶらぶらするとかも、
車があるからできる楽しみなわけです。


車を手放したと聞いた瞬間、
両親がものすごく不憫に思えてしまいました。

うちのお母さん、出歩くのがすごく好きだったんですよ。
静かな田舎より、賑やかな都会で遊びたい人だったんですよ。

そんな人が気軽に出歩けなくなるつて
どれだけ辛い環境なんだって思うじゃないですか。

そして、
そんな両親に何もしてあげられない自分が
ものすごく不甲斐なく感じました。

わたしが運転して両親をいろんな所へ
連れて行ってあげたいのに、
ペーパードライバーな上に
離れたところに住んでいるせいでできないし、

娘を頻繁に見せてあげたいのに、
仕事や経済的理由で
年に数回しか会いに行けないし。

そんなことを考えちゃってたんですけど、
当のお母さんは、
これからは行政や一般のタクシー、
病院のマイクロバスを使って移動して、
買い物は週一の移動スーパー、生協を使うこと、
便利さより、身体を労わる暮らし方をすることを
淡々と、ごく自然な様子で話してて。

不幸な様子は
微塵もなかったんです。


それでわたしも落ち着いて、

そうか、そうだよね。
うん。お母さんたちがそう思うんなら、
それが一番だよと言うことができました。

それから電話を切って、
帰りの電車の中で
改めてお母さんとの会話を思い返していると、

お母さんの様子は、全然暗くなかった。
むしろ、前向きに感じられた。
きっとお母さんとパパは、
車を手放したことを後ろ向きな理由ではなく、
前向きな選択肢として選んだんだ。

そう思えました。

体力も落ちてきたみたいだし、
(80歳だし)
今は前ほど出歩くことに
楽しみを感じていないのかもしれない。

今の土地は気候がいいと言っていたし、
うちや近所でのんびりするほうがいいのかもしれないな。

うん。

そうか。

お母さんの今の幸せの形と、
昔の幸せの形は変わったんだ。

身体も変わり、
環境も変われば
そりゃ感じる幸せも変わるよな。

そんな当たり前の事に
やっとこさ気づけました。

むしろ、
かつての幸せに固執するほうが
自分を苦しめることになるから

お母さんは、パパは
柔軟に幸せの形を変えて
どれだけ素晴らしいんだ。

わがまま親ながらすごすぎる。

それなのに、
わたしは危うく
両親を不幸扱いするところだった。

両親は、ちゃんと自分たちを幸せにできる力があるのに、
人生の大先輩を
わたしが幸せにしなくちゃいけないなんて、
どんだけ上から目線なんだよ。

そんな風にセルフツッコミしてから、
改めて、お母さんに電話をしました。

言い忘れたおめでとうを言うために。

お母さんは
「忘れてたわ」
と笑い、
「そんなこといいのに」
と謙遜し、
「ありがとう」
と言ってくれました。

それから、今の私ができることとして、
定期的に娘のフォトブックを
送ることにしました。
(お母さんはらいもテレビ電話もできないので)

あとは適時対応で。


今思うのは、

お母さんもパパも
よくぞ生まれてきてくれた。

よくぞ、わたしを生んでくれた。


ありがとう。
ホントにありがとう。


今のわたし、今の幸せがあるのは
あなたたちのおかげです。


あなたたちを選んで
生まれてきてよかったよ。


わたしはなかなかにポンコツだから
出来ることは少ないけど、

出来ることはするし、
出来ないことはしないけど、
傍にいる時も
傍にいない時も

あなたたちの幸せを
いつも願っているのだよ。


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