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カラオケボックスで参与観察を行った話

 カラオケ屋の部屋で大きな歌声が響いている。そしてその横で、その曲をよく理解している者たちが、その曲を共に歌っており、非常に盛り上がっている。歌っている時にやらかしたネタであったり、謎の歌い方であったりは、あとで爆笑の対象となる。さらに、採点の結果を見て、ケチをつけたり、品評を行ったりしていた。

 その一方で、全くと言っていいほど歌える曲がないことが露見すると、「なぜ歌をここまで知らないのか」と不思議がられる。ここまで文化に染まっていないのは初めてである、と物珍しそうな顔をしていた。そして、カラオケボックスの価値が歌うことにあるかのように思い、「歌わず帰るのは勿体無い」と発言していた。

 横ではレポートを書く音がする。図版を作成したり、文章にあたったりしているものの、カラオケの曲自体には関心はあるので、サビの部分に参加していた。

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