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紅茶王子



7月、花屋は閑散期に入る。
暑さでお花もすぐへばる。
冬は1週間以上頑張ってくれる花も、
早ければ3日、長くて5日で
元気がなくなってしまう。
頻繁なメンテナンスと水替えが大切になってくる。

花屋にとって、お盆以外、
夏の商戦はかなり厳しい。
まだ花の仕事をはじめて
半年しか経っていないけれど、
花に関わる仕事をしている人達がこぞって
夏の集客の難しさを挙げている。

でも、実は初夏から夏にかけての花の美しさは半端ではない。
他に並ぶ輝きなど存在しないのでは?
なんというか、生命力がすごい。
切花にすると、
たちまち失われてしまう命の煌めきを
短い中でも燃やし尽くそうと、
一瞬の油断も許さない真剣さと貪欲さで
厳しい暑さを謳歌している。


仕事として花と関わるようになって、
本当に沢山の花に触れられるようになった。
たった週に一日か二日の時間なのだけど、
花に触れられない生活にはもう戻れない気がしている。




話はいきなり変わるけど(笑)

私はいい歳こいて
息抜きに漫画を読むのが好きで、
お気に入りの漫画をあげたら
本当にキリがない。

花を仕事にするようになって、
花と触れるようになって、
よく思い出すのが
山田南平先生のこちらの作品↓


いわゆる少女漫画で、
紅茶の国の王子様、王女様(全員美男美女)が
人間界の人々の願い事を3つ叶えて
自分の国に帰っていく、
その過程での恋や成長を描いたお話。

ずいぶん昔に無印版が連載されてて、
そちらも大人になってから読んだ。
(桜の花の…はその続編にあたる。)


女の子同士の濃いめの友情あり、
ファンタジー要素もかなり強くて、
ハリー・ポッターとか児童書の世界に
無条件で入り込める方には勧められるけど、
そういう非現実...受け付けない...
という方はスルーで!
笑。


満月の夜
白磁のカップに銀の匙
紅茶に映った月の影を
そっと 崩して
ひとくち飲めば...

桜の花の紅茶王子©️山田南平 



このおまじないをしていた人の元に
飲んでいた銘柄の紅茶王子(王女)が現れて、
もれなく3つの願い事を叶えてくれる。

ただし、お願いはささやかなものに限られる。
誰の人生をも左右しない、
午後の一杯の紅茶のような、小さな願い事でなければならない。

(他人の気持ちをコントロールする、
殺人や復讐の代行、
金銭が絡む依頼などなど、
そういった大それたものは軒なみNG)

つまり、自分の力でぎりぎり叶えられそうな範囲のお願いしか出来ないってこと。

©️山田南平

誰の人生も左右しない、
午後の一杯の紅茶のような
ささやかなお願い事

桜の花の紅茶王子©️山田南平



臨床心理をかじって、思い知ったのは
メンタル問題を抱えた人と向き合うのは
かなり難しく、根性がいるってことだった。

私を持て余した母の根性たるや、
凄まじいものがあったと思う。

あと、語弊があるかもしれないけど、
精神疾患のある方は難しい。
治る意志のある方もいれば、ない方もいる。
家族や恋人以外の依存先を求めているだけの人も少なくない。

大切な人や家族なら向き合えるけど、
多くの人の心の闇に触れて、
私はそれに耐えられるのかな?

うーーーん。。

無理!
(ギブアップ早っ)




勉強の過程で指摘されたのだけど、
私は他人に強く影響を与えることに
どこか抵抗があるタイプの人間らしい。

他人の人生を左右したくない。
そして、他人に左右されたくない。

そういう気持ちが強いのだと思う。

人と人との関わりの中で
完全に影響し合わないなんて
無理な話なんだけど、
私はそれをなるべく少なくしたい、
あったとしても、
それが出来るだけ相手にとって
プラスのものでないと嫌なのだ。

それについては、
実は今もときどき悩んでいて、
答えが出ていない。

ジョルジと奈緒 ©️山田南平


花の好きなところの一つが、
枯れてくれること。
儚いところ。

枯れてくれるから心置きなく、
いつか捨てることができる。

慰めが欲しい時に拠り所になってくれて、
喜びには彩りを添えてくれる。

そして要らなくなったら
そっと枯れてゆく。

依存せず、
依存させず、
無言で寄り添い、
いつのまにか消える。

こんな完璧な存在がこの世にあるなんて。
神様はすごい。


私はいつか花を販売したり、
教えたりしながら、
午後の一杯の紅茶の時間だけでも
相手の幸せや悲しみに
寄り添えたらいいなぁと思っている。

誰の人生も左右しない、
午後のティータイムのひとときだけ
魔法をかけてあげる、
相手の心を軽くしてあげる、
そんな存在になりたい。

私に関わってくれるひと、
一人一人の人生の悩みに
全て大きくガッツリ関わって
一緒に傷ついてあげることは
とても出来ないけど、
アフターヌーンティーの間だけ
心をこめて
お付き合い致します。

それを目指して、
お客様が求める花を
きちんと!ささっと!
提供出来るようになりたい。
そう思いながら、
日々、勉強させてもらっている。

一年前はぐうたら、
のびのびしていたのに、
今は毎日が目まぐるしく、
眩しくて、愛おしい。
かけがえのない日々を送っている。



ちなみに、紅茶王子は

アールグレイと紅牡丹が最推し♡
(サムネイルの2人です)

2人とも優しくて誠実。
そして、なんというか、
立ち姿が兎に角かっこいい。

ふふふ。


それでは、また。
Thank you.

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