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ギリシャ神話の話3 ギガントマキア4

前書き

神話の世界で一番ヤバイ怪物は誰だ?
数多くいる中で私が選ぶなら今回登場するこいつだ。

FINAL FANTASY Ⅵ テュポーン
鼻息ですべてを吹き飛ばす大先生

最大の悪夢

ガイア率いるギガス軍を撃退し勝利に沸くオリュンポス軍。
ゼウスはネクタルを呷り、ポセイドンは大声を張り上げ歓声を上げた。
戦神は返り血を拭い口元には笑みを浮かべ、人間界最大の英雄ヘラクレスもその場に腰をドッカと音を立てて下ろし余韻に浸るように彼方を見つめる。

だがそんな喜びの明かりを吹き消すように太陽が隠れ辺りが暗くなる。
もう夜か?と辺りを伺う神々。

「グアアアァァァァ!!」

突如響いた轟音は突風を生み衝撃波となって辺り一面を吹き飛ばした。
音の発した方向を一同は見つめる。
水平線の彼方から山が生まれ、その山は徐々に徐々に高さを増していった。
「なンだァ、ありゃ」
ヘラクレスがそう呟くと生まれ出でた山はその全貌を晒した。
その大きさは星々に届くほどの巨躯、広げた両の腕は世界全てを包む程の長さ。
下半身は山のような大蛇がとぐろを巻き、肩には百を超える蛇の頭が這い、炎のように燃え上がりマグマのように赤くぎらついた両の眼はオリュンポスを見つめていた。

怪物が世界の果てから現れた。

怪物の姿を捉えたヘルメスは背中に嫌な汗をかく自分に気付いた。
「あんなのどうにか出来るわけがねぇ」

「グアアアァァァァ!!」
再度響いた怪物の声は山々を吹き飛ばし、海は大地を飲み込むほど荒れた。

オリュンポスの栄光を終焉に導く怪物、その名は『テュポーン』
世界を終わらす為に大地の神と混沌の神から生まれた怪物であった。

逃亡

「退け!!」
ゼウスがそう叫ぶと余りの凶悪さに放心していた神々は一斉にオリュンポスから逃げ出した。
ゼウスは逃げる神々を見ると、テュポーンの方に再度目線を向け雷霆を掲げた。

「親父殿!俺も残るぜ!」
「ならん!無双の豪傑といえどお前は人間だ!ここは・・・」
ゼウスは雷霆を振るいテュポンへ全力の雷を放つ。
「私が一人で引き受ける!!」
テュポーンへ向かった雷は天地を焼き雲をなぎ払った。
向かってくる雷に対しテュポーンは大きく口を開け炎を吐き出した。
雷と炎はぶつかりあい、海水が蒸発するほどの熱が広がった。
その衝撃にヘラクレスは耐えきれず吹き飛ばされてしまう。
「親父殿ォ!!」
ヘラクレスの叫びはゼウスに届いたのか、強気にゼウスは笑んだ。
「貴様は私が、倒す!雷よ怪物の全てを薙ぎ払えぃ!」

ドイツの州立古代美術博物館所蔵 ゼウスとテュポーンの戦い
テュポーンめっちゃ笑ってる

ゼウスは高く飛び上がり再度の雷霆を解き放ち、暴れ回る雷は一筋の光となりテュポーンを貫いた。

貫いたかに見えた光はテュポンに弾かれ、上空の星々の間に消えていった。

ゼウスは顔をしかめ口元だけ笑うと、苦々しく呟いた。
「これはちょいと厳しそうだ」

一方逃げた神々はこのままではすぐにテュポーンに見つかってしまうと思い、動物に化けることにした。
軍神アレスは海を一刻も早くわたるために大魚に変身し、弓の名手アポロンはより早く逃げれるように鷹に、ヘルメスも自身が飛ぶよりもより早く飛ぶためにコウノトリに変身した。
アルテミスは何故か少しでもか可愛いこぶろうと猫に変化し、ディオニュソスは近隣の多くいる動物に紛れ込もうとヤギに変化した。
他の神々も鹿だったりネズミだったり牛だったりに変身し、少しでもガイアとテュポーンにバレないように身を隠すことにした。

余談ではあるが、オリュンポスの神々が逃げ出した先はエジプトであり、エジプトでは動物の姿のオリュンポスの神々を見てエジプト神話の神になったといわれている。

太陽の神ホルス
半分動物

私見を言わせてもらえば、紀元前30世紀のエジプト初期王朝時代には既に多くのエジプト神話の神々がいたそうなので、紀元前15世紀ごろから口伝にて語られていたギリシャ神話のが成立は後となるため、後乗せでパクっただけなのではないかと考えている。
他国の文化に対して「もともとはウチの○○だったんだぜ」的な話は、自国だけで言えば浪漫あふれる話かもしれないが、他国側から見たら自国の誇りを踏みにじる文化の盗用行為とみなされる場合もあるため「あくまでそういう笑い話もあるよ」程度に収めておいてほしい。

これは日本でもよく見られる言説で、トンデモ論として語られることが多いが、笑えない笑い話にしかならない場合も多いのでよく調べてから言説に触れるのが望ましい。
*トンデモ論がwikipediaで真実として語られてたりするからビビる。

義経がモンゴルに行き元帝国を作ったとか
シュメール文化は日本の皇(すめらぎ)に発音似てることから、日本人はバビロニアの末裔とか

よく考えりゃんなわきゃないな説ではあるが、本当に信じちゃってる方もいるので「それは(今のところ)嘘だよ」と優しく伝えてあげてください。

一方その頃

地底にいたハデスは突如鳴り響くテュポーンの轟音と地震で館が崩れ慌てふためいていた。
「いったいぜんたい地上では何が起こっているのだ!?」
「戦場に行かなくて良かったな親父」
「・・・うむ」
ハデスは息子のザグレウスを見つめあい深く頷いた。

捕縛

ゼウスを残し神々は散り散りに逃げていったのを横目にテュポーンはゼウスを掴み、彼方へと投げ飛ばした。
投げられたゼウスは勢いにのって飛んでいき東方へと消えていった。
ゼウスはシリアのカシオス山に打ち付けられ勢いを止めることはできたが、余りの衝撃に起き上がることは出来なかった。
テュポーンは長大な腕を伸ばし、ゼウスを掴み引き寄せる。
ガイアは引き寄せられたゼウスから雷霆と大鎌を取り上げると。
「貴様にも祖父と同じ苦しみを与えてやろう」
と言い、ゼウスの持っていた金剛の大鎌でゼウスの男性器を切り飛ばした。
「デルピュネ!」
「御身のお側に」
デルピュネと呼ばれたものの姿は上半身は女性だったが、下半身は竜の姿をした半身半竜の獣であった。
「こやつは死なぬ。だがこのままという訳にもいかぬ。」
「委細承知いたしました」
そういうとデルピュネはゼウスを縛り上げ、コリュキオン洞窟へ向かった。
去っていくゼウスを見やり、勝利を確信したガイアは高らかに声を上げ笑った。
「お前の仇はとったぞ!クロノス!」
そう言い放つと、傍らにいるテュポーンを見て誰にともなく一人ごちた。
「・・・さて、コイツどうしよう」
世界をそして宇宙を簡単に破滅させ得る怪物の後処理のことを考え、ガイアは大きく溜息をついた。

今回の舞台
ギリシャ周り全土に渡っての戦い
ギリシャらへんからカシオス山まで手が届くのヤバイ

後書き

ガイアの後先考えない刹那的生き方は、現代人みたいじゃない?
これ手元のメモに「ゼウスは腱を切り落とされ~」って書いてあって、「腱って何?アキレウスみたいな腱ってこと?話の流れ的にはガイアの旦那のウラノスみたいにチ〇コの暗喩やろ」ってずっと思ってたんですが、実際どうなの?

宇宙最強の生物にチ〇コ切り落とされたゼウスは果たしてどうなるのか!?
次回、ゼウスの腱ってチ〇コだとずっと思ってる。デュエルスタンバイ!

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