見出し画像

ギリシャ神話の話3 ギガントマキア1

前書き

オリュンポス十二神とティタン神族の闘い『ティタノマキア』はまさに死闘と呼ばれるほど長く続いたが、新たな力を得たゼウス・ポセイドン(・ハデス)の活躍により幕を閉じた。
オリュンポス十二神はクロノスに与するティタン神族を地底の奥地タルタロスに追いやり封じ込め、地上には平和が戻った。
ゼウスは季節の神を生むことで永遠に春だった季節は四季に分かれ、黄金の時代は終わりを告げ白銀の時代がやってきた。

白銀の時代は長く続くかに思えたが、人々はいつしか神への感謝を忘れ怠惰に暮らすようになった。
ゼウスはそんな人々に怒り雷霆を振るい、地上の人々を焼き尽くし滅ぼした。
やがて神へ感謝を捧げる新たな人々が生まれはしたが、人々は神同士の争いを経験したことで争うことを覚え、地上は戦乱の世へと移っていった。
白銀の時代は終わり、戦乱の中で各地にて英雄が生まれ世は『青銅の時代』へと突入していった。

地上の人々を時には見守り、時にはちょっかいを出していたゼウスオリュンポスの神々だったが、それを憎々しく見つめる神がいた。

それは白銀の時代とともに孫かわいい期が終わったゼウスの祖母ガイアであった。

ギガス軍誕生

ガイアはゼウスの父クロノスの母なのでゼウスから見ると祖母であるが、ガイアにはクロノスの系譜(ティタン神族)とは別の子供もいた、巨大な体を持つギガス達だ。(ギガンテスとも呼ばれる)

クロノスが父の男性器を鎌で切り飛ばした際に飛び散った血から誕生した巨人たちだ。

*ちなみに飛んでった男性器が落ちた池の泡から誕生したのが美の女神アフロディテ

ボッティチェリ作 「ヴィーナスの誕生」
これ飛んでったチ〇コが池に落ちた泡から女神が誕生した絵

ギガスはウラノスとクロノスの恨みの力によって生まれたためか、憎悪の念が強くその思いを上手く利用したガイアは、ゼウス達オリュンポス十二神の治世を終わらせようとオリュンポスへ侵攻しました。

山登るなら山作ればええ

オリュンポス山は標高は3000m近くある雲よりも高くそびえている山だった。
ギガス軍はオリュンポスに登るために近くの山に山を投げつけ、重ね足場とした。

何の意味があるんじゃ普通に登れやって気もしないでもないが、たぶん戦いの高揚で盛り上がっちゃったんだと思う。

ギガスA「オリュンポス山高くね?」
ギガスB「そのまま行くんじゃおもしろくないっしょ」
ギガスC「31のアイスみたいに山の上に山乗せれば同じくらいの高さになるんじゃね?」
ギガスAB「おまwww天才wwwww」
みたいなノリがきっとあったんだろう。そう思うことにする。

苦戦

ギガス軍はオリュンポスの神々やティタン神族らと違って、決して不死の軍団ではなかった。
そのままぶつかれば不死身のオリュンポス軍にいつかはやられてしまうことは明らかだ。
それもあってかゼウス達は目の前に唐突に重なった山が出ようが、敵が攻めてこようがどこ吹く風であった。

しかしガイア率いるギガス達にはゼウス達も知らない秘策があった。
ウラノス・クロノスそしてガイアの恨みの力で、ギガス達は『オリュンポス神には決して負けない』という予言が為されていたのだ。

オリュンポス山での開戦後ゼウスはいつも通り余裕の顔で雷霆を振るう。
「はいはいこれで終わり」
とまた昼寝に戻ろうとした。

立ち上る雷が発した煙の中からはお互いに顔を見合わせ「?」とでも言いたげなギガス達。
その時のゼウスの驚きは計り知れないほどだっただろう。

尾田栄一郎作 ONE PIECE 30巻
多分ゼウスもこんな感じ

ティタン神族達やどんな強敵相手でも、ゼウスがひとたび雷霆を振るえば倒れなかった相手などいなかったのだ。
しかしギガス達はゴムだから予言の力によってオリュンポス側の攻撃によって死ぬことは決してなかった。

一気に不利になるオリュンポス十二神。
ギガス軍の侵攻を止めることはできるが、撃ち滅ぼすことは決してできなかった。

バイェウ・イ・スビアス作 ギガントマキア
壮大な闘いを描いてるせいか誰が誰だかよく分からん

不死の薬草

ガイアにはもう一つ秘策があった。
ギガス達は不死ではなかったが、食すと不死になれる薬草があると予言を受けていたのだ。
ギガス軍とオリュンポス軍が争っている間、その予言を頼りにガイアはこっそりと薬草を探しに行った。

天界からマントラでその様子を見ていたゼウスはビックリ。慌てて太陽の神ヘリアスと曙の女神エオスを呼び出し「太陽を出すな!真っ暗闇にしてくれ!」と申しつけました。
二柱の神は言いつけに従い太陽を隠しました。
薬草を探していたガイアは暗い中を手探りで薬草を探したが、なかなか見つけることが出来なかった。
手間取っている間にゼウスは薬草の場所まで先回りして、薬草を全て引っこ抜きました。

雷で焼きゃいいのにと思うけど、丁寧な仕事を心がけだしたでしょう。きっと。
ガイアは薬草が全てダメになっていることに気付くと、苦み走った顔で憎々しげに天を睨みつけながら戻っていきました。

英雄の召喚

オリュンポス軍とギガスの激闘は続いていた、しかし少しづつオリュンポス軍は押されはじめてきた。

『オリュンパスの神はギガスを殺すことはできない』

オリュンポスの神々は予言の力でギガスを攻撃することはできても、止めをさすことはできない。
頭を悩ませるゼウスたちオリュンポス十二神。
「ギガスが不死になることは阻止した、しかしこのままだと我々は負けだ」
ゼウスがそう嘆くと皆も頭を抱えた。
時間だけが過ぎていく中、ゼウスの息子のヘルメスは良案が閃いた。

「親父!兄弟の力を借りようぜ!」

ウバルド・ガンドルフィ作 アルゴスの首をとるヘルメス
ピースに失敗した瞬間みたいな羽帽子がヘルメス。
神と人間を繋ぐ使者の役目を多く担った

「兄弟?だがポセイドンはすでに参戦してもらってるぞ」
ゼウスはポセイドンの方を見る。ポセイドンは腕を組み俺だけじゃどうしようもないと首を振った。
「その兄弟じゃなくて」
ヘルメスはゼウスの言葉を遮る。ゼウスは「ああ!」と相槌を打つと。
「ハデスのことか!確かにあいつでも何かの役には立つかもしれない。すぐ連絡しよう!」
ゼウスはそういうとハデスへ参戦を促すDMを送った。
「いやハデスの叔父貴の方でもなくて、親父の兄弟じゃなくて俺の兄弟!」
「お前の兄弟?」
ゼウスは手元の通信端末から視線を外し、ヘルメスの方を見る。
「ああ、俺の兄弟に人間だけど最強の男がいるじゃねえか」
そういい笑むヘルメスの言葉を聞き、納得するようにゼウスも首を少し縦に動かした。
「ヘラクレスか」
一同は思い出した。
オリュンパス軍にも神ではないが頼もしすぎる人間の味方がいたことを。

後書き

山を引き裂き進軍するギガス軍って手元の資料にはあるんだけど、そんなデカイんならそもそも山重ねる必要なかったんじゃ・・・?とか思ったりするんだけどとにかくスケールの大きさをアピりたいのかなぁって思う。
不死の薬草探す際に辺りが急に真っ暗になったのって、日食を指してるのかも。何も知らなかったら急に辺りが真っ暗になったらビビるよね。
日食についても各地で神話逸話が残ってる。日本神話でも天岩戸にアマテラスが隠れちゃうのは日食のこといってるって説あったりする。

さて次回は人間界どころか神界も含んで最強のギリシャ神話最大の英雄ヘラクレスが登場。
多分そのヘラクレスの活躍と各神様の闘いの様子で終わりそうだから、中編後編の三部作になりそう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?