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『わたしのイチオシきらら』企画応募文 《GA芸術科アートデザインクラス》

これなに?

まんがタイムきらら20周年企画 | わたしのイチオシきらら (dokidokivisual.com)
きらら系列のめでたい節目なので、好きな作品の感想文を送ってくれよな! っていう企画らしいです。そんでこれに応募したけど特に本誌には載らなかったやつを原型そのままで載せています。
要はこれ気合い入れたファンレターなので、どこにも載せずひっそり心に留めておきたい気持ちと、純粋に読み返すのが恥ずかしい気持ちもあるわけですが……まぁなんか最近はnoteの更新全然だし、せっかくこの世に生まれた文なのにひっそりパソコンの奥底に埋もれていくだけなのも少し悲しいので、ここに残しておきます。
自分が良いと思った物をおろかな埋葬しておくのがここの意義だって、ふと思い出したってのもある。

ちなみにスロウスタートでも1本投稿してるので、そちらも良ければよろしくね。

応募文

どうしてそれを手に取ったのかは、もう覚えていません。

ただ記憶に有る限り、『GA芸術家アートデザインクラス』は、自分が初めて買った4コマ漫画でした。そして、初めて大好きになった4コマ漫画でもありました。

この漫画が描く表情が好きです。

ころころと変わる顔の表情だけではなく、小さな一コマの中を所狭しと動き回る手足から。柔らかなタッチで細かく描き込まれた背景や小物から。あらゆるところから活き活きとした表情が、豊かな感情が伝わってくるのが好きです。

この漫画が描く物語が好きです。

基本1話完結で、どの回からでも読みやすいから気軽に本を開けるところが好きです。キャラクターの台詞回しが気持ち良く、4コマ1本毎に付いているタイトルの言葉遊びも面白くて、文字を追っているだけでも楽しい漫画です。先生や美術部など、主役5人以外に焦点を当てた話が多いのも賑やかで、飽きなくて、色んな視点から映し出される学園生活そのものがいつの間にか愛おしくなっていました。

たまに挟まれる夢の話や不思議な出来事が素敵です。キャラクターのディフォルメ感が超キュートです。カラーページがいつも綺麗で、ページを捲るのが楽しみになります。この漫画が描く青空に影響されて、自分も青空が好きになって……。

好きなところは挙げればきりがありません。けれど結局のところ、自分はこの漫画のどこが一番好きなんだろう?

今回の感想文を描くに当たって、そんな疑問を考えながらこの漫画を読み返していうるちに、ふと1つのセリフが目に留まりました。GA7巻より主役の1人である如月が、幼少期の回想で発した一言です。

「”クリスマス”のぜんぶがほしい!」

この漫画はキャラクターが持つ感性を、時に目が覚めるほど鮮やかに引き出してくれる。そんな瞬間が何度もあって、そういうところが一番好きなのかもしれません。

この漫画は芸術を学ぶ学校の漫画だから『自分の感性を芸術で表現する』というくだりが何度も出てくるけれど、そこで繰り返し色鮮やかに表わされる、それぞれの感性が大好きなんです。

彼女たちが芸術をあの手この手で学んでいくそのたびに「自分だけの物の見方、感じ方を大事にしていい」そんな芸術の優しさ、寛容さをこっちも教えて貰っている気がします。

その一方で、何もかもが変わらないわけじゃない。ひとつひとつ芸術を学ぶことで、自分の感性を研ぎ澄ますことができる。新たな発見をすることも、懐かしきを振り返ることもできる。芸術を通して成長していくという営みを、とても楽しそうに描いてくれるのが大好きです。

自分を大事にすることを、毎日少しずつ学んでいくことを、この漫画はいつも前向きに、爽やかに描いてくれました。

だからこそ辛いとき、落ちこんだとき。なにも読みたくなくなったとき、唯一この漫画だけは手に取れる。そんな時間が何度もあって、その度に何度も癒やされて、元気と笑顔を分けて貰って。

そしてまた自分もなにか創りたくなって、本を閉じるのです。

GA芸術科アートデザインクラスという漫画は私にとって宝物みたいな漫画なんだ。ということに、こうして文章を書いている最中に気がつきました。

読み直すたびに新しい発見があるし、どこか懐かしい気持ちにも浸れる。今こうして”宝物みたい”だと例えたのもまた、新たな発見のひとつです。

「まんがタイムきらら」という雑誌がこの世にあってくれたから、20年も続いてくれたから、こんなにも好きになれる漫画と出会うことができました。ゆっくりと流れる日常を読み続ける楽しさを知ることができました。本当にありがとうございます。これからもこの雑誌で生み出されるものを、楽しみにしています。

そしてきゆづきさとこ先生へ。GA芸術科アートデザインクラスという最高の漫画を描いてくれて、最後まで描ききってくださって、ありがとうございます。貴方の描く絵が、人が、物語が、色彩が、ずっと大好きです。ずっと憧れです。ずっとずっと、応援しています。


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