知らないおばあさんに席を譲ってもらった話

東京で働いていた時の話。
毎日毎日朝早くから遅くまで働いてヘトヘトだった。
会社に行けば上司に詰められ、
営業ノルマに追い立てられ…

体力的にも精神的にもギリギリ。

金曜の夜。
10時前くらいにやっと電車に乗る。
飲み会が終わった楽しそうな人たちで電車はいっぱい。

座れないな…

いつもどおりイヤフォンを指して、
つり革につかまってぼーっとしてた。

電車が止まる。
降りる駅はまだまだ。
前の席の人、降りなさそうだな…

とんとん


後ろから肩をたたかれた。
あ、邪魔だったかな?
少し焦る。

振り向くと小柄で笑顔がかわいいおばあさんが

ここどうぞ!

と。
まるで少女のようなイタズラ笑顔で電車を降りた。

え、私?って戸惑い。
そんなにひどい顔してたかな…

そんなことを考えながら座席に座る。
一息つくと、じわじわとおばあさんの笑顔が蘇ってくる。
ニコッとはにかんで座席を譲ってくれた。
わざわざ後ろを向いてる若い女に。
他にも人はいたのに。

なんでかわからないけど、素敵はおばあさんだな…
じわじわ温かい気持ちが広がっていく。

私、ありがとうってちゃんと言えたっけ?

東京で1人で毎日辛かったから、
知らない人の優しさが本当にしみた。
生きてれば良いことあるんだなって。

また会って今度はお礼をちゃんと言いたい。
あのおばあさんみたいに素敵に歳を重ねていきたい。
温かい気持ちをありがとう。

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