行動経済学の魅力:バナナマンCMが教える「ナッジ」の秘密
住友生命のCMで、お笑い芸人バナナマンの設楽さんが「ナッジという言葉を知っていますか?」と問いかけます。「ナッジ」という言葉の由来は、肘で軽く押すように相手に気づかせることだそうです。CMでは、エレベーターの前で、紳士服を着た日村さんに「いい時計ですね」と声をかけ、日村さんが自分の万歩計の数字に気づく場面が描かれています。
その後、日村さんは「あ、もうすぐ一万歩だ!」と気づき、階段を使って歩き始めます。「ナッジ」とは、このように自然に気づかせて、行動を誘導することを指します。これは「人間の行動を考える行動経済学の重要なキーワード」だそうです。
私は以前、行動経済学の本を買おうかどうか、迷ったことがありましたが、ついにアマゾンで那須耕介さんと橋本努さんが編集した『ナッジ?!-自由でおせっかいがリバタリアン・パターナリズム』(勁草書房・2020年)という本を購入しました。この本には、9本の論文が収められており、その中でも「カフェテリアデザインをする-あなたは何派?」(橋本努著)が特に面白かったです。
この論文では、大学の学食で料理の並べ方を少し変えるだけで、売り上げが25%も変わるという事例が紹介されています。とはいえ、大学の食堂なので、単に利益を追求するわけにはいきません。そこで、著者は「12の経営指針」の中からどのような経営方針を選ぶかを学生に問います。
学生たちは「アドバイスをもらえる情報があるのがいい」や「惰性的な習慣を意識させる方法が良い」という選択肢を好む傾向があると述べています。著者の橋本さんは、そこで「人気のスポーツ選手やアーティストがどのような食事をしているかを提示し、学生たちの選択に影響を与える」【アスリート・モデル】を提案しています。
人は何を本当に望んでいるのかを自分で探るのは難しいことがあります。そんな時に「あこがれの人」を参考にすることが、行動のヒントになるかもしれません。もちろん、その人を真似しても同じ結果が得られるわけではありませんが、自分の中にある「願望」について考えるきっかけにはなります。
この【アスリート・モデル】は、さまざまな「あこがれの人」から学ぶことで、自分の中に「理想への願望」を持つことができるとしています。この「あこがれの人」が最も重要ではなく、「理想への願望」を持つことが大切だと述べている点に、とても納得できました。(2020/12/28)*再投稿
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