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クローン病ではじめて手術するときに知っておきたかったこと

これはなにか?

クローン病で初めて手術する方に向けて、手術の体験談をお伝えすることを目的としたものです。

私自身、2022年春にクローン病の手術を初めて経験しました。術前、クローン病の手術についてインターネットで様々な情報を調べようと試みましたが、思っていたよりも自分が欲しい情報が網羅的にまとまっているものはありませんでした。

そこで、私自身の手術・入院の体験を通じて、事前に知っておきたったことをまとめたものが本稿です。将来的に、再度自分も手術を経験する可能性が高いので、その際に向けての備忘録として書き下ろしています。同じようにクローン病の手術を控える方々の助けに少しでもなれば幸いです。

本文はQ&A形式で記載しておりますので、目次から気になる章をピックアップしてお読みいただくのが良いかと思います。

※ 本稿はあくまで、一個人の体験談となります。クローン病の症状はかなり個人差が大きいため、全てが参考になるとは限りません。また、私自身医師ではないため、詳細は主治医を頼るようお願い致します。

前提 / 私の症状・手術について

本題に入る前に、私自身がどのような症状を抱えており、手術を行ったのか記載します。私と似たような症状の方もいれば、そうでない方もいらっしゃるかと思います。この前提を踏まえた上で、ご自身の参考になるかどうかをご判断いただけると幸いです。

私は2020年秋にクローン病の確定診断を受けました。当時は月に数回腹痛がある程度で、そこまで自覚症状はなく、食事も普通に摂取することが可能でした。

しかし、2021年末より体調が急激に悪化してしまい、まともな食事を摂取することができなくなりました。半年間で体重は10kgほど落ちてしまい、ほぼ毎日腹痛に悩まされ、仕事にも大きな支障がでるようになってしまいました。この時期はほとんど固形物は摂取できず、エレンタールのみで生活を送っていました。

小腸の複数箇所に狭窄と瘻孔が見られ、これらを切除することを目的に手術を行うことになりました。

手術・入院の費用はどのくらいかかるのか?

基本的には、「自己負担上限管理票に記載の金額 + 病院食代」がかかることになります。

クローン病は難病に指定されているため、医療費助成制度の対象となります。医療費助成制度では所得に応じて月間の自己負担上限額が定められています。クローン病の入院費・手術費もこの助成の対象となるため、自己負担上限額以上の治療費を請求されることはありません。

入院中は治療費に加えて、病院食代がかかります。病院食代は公的医療保険適用対象外であり、全額自己負担となるためです。一般の方であれば、原則全国一律で1食につき460円と定められています。ただし、所得などに応じて異なるため、詳細はこちらの記事などを別途参照ください。

上記の治療費・病院食代に加えて、差額ベッド代がかかることもあります。差額ベット代とは、入院した際に大部屋と呼ばれる一般病棟ではなく、希望によって4床以下の病室を選ぶとかかる費用のことです。これは、全額自己負担となり、病室の区分(特別個室、一般個室、2人~4人部屋など)によって料金が異なります。

また、入院中にパジャマやタオルなどの消耗品をレンタルする場合には別途費用がかかります。私の場合はレンタルを利用せず、私物のパジャマやタオルを利用しましたが、大きく問題はありませんでした。病院によっては洗濯機・乾燥機が設置されていることもあるため、費用を抑えたい方はご自身でお持ちいただくのが良いかと思います。

私の場合、入院・手術にかかった総額は1万円程度でした。入院・手術を行った当時は新卒であったため、住民税非課税であり、自己負担上限額は2,500円/月でした。入院が月を跨いだため、2ヶ月分の自己負担上限額 + 病院食代がかかった形になります。

自己負担上限額にも依りますが、難病申請を行っており、差額ベット代のかからない通常の大部屋を希望し、消耗品などのレンタルを使用しなければ、この程度に抑えられるかと思います。

入院期間はどのくらいか?

私の場合は「検査のための入院で7日間」 + 「手術のための入院で2週間」の合計3週間でした。検査入院の後、一時的に退院し、手術の日程が決まった後に再度入院しました。

3月頭に検査入院を開始し、同月の中旬に一度退院。4月頭に再度手術のために入院し、4月中旬に退院したため、最初の入院開始から最後の退院までの期間は1ヶ月半程でした。

入院期間中のスケジュールは?

全体のスケジュールとしては、各種検査 → 手術 → リハビリという流れで進んでいきました。

入院前にも外来で内視鏡検査やCTなど様々な検査を行っていましたが、手術に向けて入院後に再度検査を行いました。具体的には、レントゲン、心電図、造影CT、造影MRI、内視鏡検査を行いました。術前のこの期間は絶食で過ごし、点滴で栄養を摂っていました。

手術当日は朝から手術を行いました。全身麻酔を行い、お昼過ぎに手術が終わり、目を覚ましました。手術翌日の朝まではベット上で安静にして過ごしました。

手術翌日のお昼ごろからはリハビリを開始し、癒着を防ぐために病棟内を少し歩いたりして過ごしました。

手術後3日目あたりから痛みも落ち着きはじめ、お手洗いなどにも自分で行くことができ、一通りのことを自分で行えるようになりました。手術後4日目のお昼から流動食(重湯など)の食事が始まり、退院に向けて3分粥、5分粥、全粥と徐々にしっかりとしたご飯を食べていきました。

手術後、初めて食べた食事。重湯やスープが中心の献立。

体調に問題がなく、しっかりとご飯を食べられる状態になったところで退院が決まり、無事に退院日を迎えました。

退院前の食事。ご飯は全粥で、鶏肉なども食べることができた。

手術に向けて事前に準備しておかなければならない書類は?

難病の医療費助成制度への申請傷病手当金申請に向けての準備を行いました。

入院前から難病申請は行っておりましたが、更新する必要があったため、更新手続きを行いました。難病申請は年に一度更新の手続きが必要であり、その際には主治医の調査書や課税証明書など各種書類が必要なります。また、更新申請が完了してから新しい認定証が届くまでに数ヶ月かかることもあるので、早めに更新手続きを済ませておくようにすると安心です。

また、傷病手当金を申請するための書類の準備も行いました。会社で加入している社会保険の会社に問い合わせ、傷病手当金の申請に必要な書類を入手しました。

退院後の申請でも問題はないかと思いますが、傷病手当金の申請には主治医に記載してもらう項目もあるため、入院前に書類を揃えておくと、退院後スムーズに申請できるかと思います。

手術後の痛みはどの程度か?

想定していたよりも、痛みはひどくありませんでした。私の場合は腹部を5cmほど切開しましたが、痛み止めのおかげもあり、腹部の痛みに苦しむことはあまりありませんでした。とはいえ、体を起こしたり、くしゃみをするなどの腹筋を使う運動をすると少し痛みがあります。

腹部の痛みよりも苦しんだのが尿道カテーテルです。術後しばらくは自分でお手洗いに行くことができず、そのため、尿道カテーテルを入れる必要があります。私は男性ですが、この痛みに少し苦しみました。術後3日程でこの尿道カテーテルは抜くことができ、痛みが楽になりました。

退院後はどのように生活できるか?

私の場合は、手術によりかなり食事を食べられるようになりました。手術前はお粥やうどんを食べるだけで、激しい腹痛に襲われていましたが、手術後はほとんど普通に食事を摂ることができるようになりました。

もちろん、手術後も食事の量と質には気をつけなければいけません。脂質が多いものや食物繊維、刺激物などは避けたほうが良いですが、普通にご飯を食べられるようにまで回復することができました。

また、退院日時点ではまだ手術による傷の痛みは若干ありますが、日常生活に大きな支障はありません。腹筋を使うものや激しい運動は少し厳しいですが、普通に歩く程度の運動は問題なくできます。

入院中に必要なものは?

人によって必要なものは異なりますが、私が入院生活を振り返り、持っていってよかったものは以下です。

入院中に必要なほとんどのものは病院の売店でも購入することができると思うので、慌てて準備する必要はないと思いますが、参考程度にご覧下さい。

入院中持って行ってよかったモノ

  • 小さいバック

    • 売店に行くときや、シャワーを浴びるとき、洗濯をするときなどに役立ちました。

  • 洗濯用洗剤

  • 洗濯物を入れる袋

  • ボディーシート

    • 手術後、数日はシャワーを浴びられないため、ボディーシートで体を拭いていました。

  • ドライシャンプー

    • 手術後、数日はシャワーを浴びられないため、ドライシャンプーで髪をさっぱりさせていました。

  • 髭剃り

  • くし

  • シャンプー

  • コンディショナー

  • ボディーソープ

  • 洗顔

  • 化粧水

  • 歯ブラシ

  • タオル

  • 爪切り

  • リセッシュ

    • 毎日パジャマを着替えるわけではないので、リセッシュを利用していました。

  • パジャマ

  • 下着

  • おむつ

    • 下剤を飲む検査がいくつかあったため、念の為に準備しておきました。

  • 靴下

    • 入院中はほとんど素足で過ごしたので、数枚だけあれば良いと思いました。

  • 財布

  • 診察券

  • 保険証

  • 特定医療費受給者証

  • 自己負担上限管理表

  • 傷病手当金の書類

  • 入院関連の書類

  • 普段飲んでいる薬 (1週間分程度)

  • マスク

  • 筆記用具

  • イヤホン

  • PC、タブレット

  • スマートフォンの充電器

  • PCの充電器

終わりに

改めてにはなりますが、本稿はあくまで私個人の体験談を備忘録としてまとめたものになります。クローン病の症状は人それぞれであり、それに伴って入院や手術についても一概には語ることができないかと思います。そのため、入院や手術についての詳細は当たり前ですが主治医に確認するのが吉です。

あくまで一個人の体験談には留まりますが、本稿が少しでも同じようにクローン病を抱える誰かの参考になれば幸いです。

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