老人

爛れるような太陽の午後
肋の浮いた半身を熱風に晒して老人は
おそらく私がいる間だけ
クーラーをつけてくれたのだろう
二日後に少し硬くなって
自室で発見されたと聞いたとき
面識もない無自覚なマスクが
「残念でした」というのを
ただ、黙れとおもう

移ろう季節が肌を掠める夕暮れ
振り向けば薄海原 秋の風

画像1

※黙読のための作品 20aug

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?