銀行員の仕事   (営業係)_5_県外店_6

田中は、A社の企業要録を見ながら、何か突破口が無いか考えた。
A社は、従業員5名程の小規模な家族経営の会社である。

田中は、A社社長の奥様(専務)が、毎月、5万円の定期積立を数年間継続していることに気がついた。
「これだ。A社の業績は、良好とは言えないが、A社とA社社長一家を合わせて考えれば、A社には、毎月5万円以上の余裕があると言える」
 ※ナニワ金融道(青木雄二著)の中で「積立は金融機関への信用になる」と言う話があった気がする

田中は、協議書を作成した。
 •無担保1000万円の長期運転資金
 •回収期間7年(毎月約12万円の返済)
 •A社社長と専務を保証人とする
 •返済原資は、A社の利益では不足するが、専務が毎月5万円の定期積立を行なっており、A社とA社社長一家を合わせて考えれば、回収懸念が少ない

協議書は、その後、融資係に回覧された。
融資チーフは、田中の定期積立を返済原資の根拠にする考えに賛同してくれた。
支店長も決裁してくれ、田中はリベンジを果たしたのであった。

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