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文系のためのAIコミュニティを作ってみた

ファミコン版ドラクエIVでクリフトがザラキを唱えまくるのを見て、「人工知能、なんだよ! もう!」と思っていた小学生時代。

ドラクエIV:『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』、1990年2月11日にエニックスより発売されたファミリーコンピュータ用ロールプレイングゲーム。勇者以外操作できず、作戦で仲間キャラが自律して行動する画期的なシステムを導入した。
クリフト: 回復・防御魔法系の男性キャラクターで、おてんば姫アリーナの冒険を手助けする。
ザラキ: 複数モンスターを即死させる呪文。あんまり効かない。ボス戦とかでクリフトが使い始めると(ノ∀`)アチャーとなる。

【クリフトがラスボス戦で見事にザラキを唱える場面】
「クリフトの効かないザラキ連発に隠された秘密と真実」より借用

ゲームがどのように作られているかも知らず、知ろうともせず、その後順調にゲームボーイ、スーファミ、プレステ1・2、PCゲームで遊ぶ日々(今思い出したけど小さい頃に家にあったPC-9801で三国志をやってた)。

大学では文系に行って、ITとは無縁の教育を経て卒業。でも、何となくパソコンとかケータイの操作方法には長けてて、ゲームも相変わらず好きで。

30を過ぎたくらいから徐々にAIのニュースを目にする機会が増えてきて、将棋電王戦を観て「あのクリフトが、まさか・・・!」という思いを禁じ得ませんでした。

つまり、僕の中では「人工知能(AI)=クリフト」の偏った見方であるという前提で・・・

文系AIコミュニティをつくったおっさん

ファミコンに胸をときめかせていた少年も、令和を迎える前に36歳のおっさん(個人の見解です)に成り果てました。

数年前から、仕事柄、色々な企業の方々や、高校・大学の先生、主宰しているインターンの大学生とよく会って話をしていると、なんつーか、ITとかってまだまだなんだな、福岡ってやっぱり遅れてる所もあるよなと思わされます(福岡に限らないとは思います)。

自分の仕事ではITツールを駆使して業務効率化を図り、「地球環境にやさしい会社」を目指してとりあえず紙を使わないことを目標に仕事のやり方を考えなおし、ムダなコミュニケーションや移動時間を極力なくすために、使えるものを使っていく(公的関係も電子申請を利用)。

そうこうしているうちに、僕のやり方はかなり進んでる方なのだと(え?そう?と思った方はきっと僕より進んでます)、福岡だけでなく東京の人と話してても気付かされました。もちろん、もっと進んだやり方もあるのはわかっていますが、自分一人でやるくらいなら十分かなと。一応、新しいツールも簡単にチェックしつつ、プログラミングもProgateで学習しつつ(別に仕事には活かせてない)。

かたわら、お金にはならないけどコツコツとAIについて調べて、実践したり。でも、独学なのでさっぱりわからない。SONYのNeural Network Console(CPU版)が出始めたときにインストールして、操作はできるし、ディープ・ラーニングもできるけど、結局何やってんだっけこれ、とわからない。ダメだこりゃ。

そんなある日、世界最高峰の知性といわれるユヴァル・ノア・ハラリさんが書いた『ホモ・デウス』を読んで、「なんじゃこりゃぁ!」と衝撃を受けます。

本の中でAI(厳密にいうとアルゴリズムですが)について言及があり、僕の中で最も印象的だったのは、カリフォルニア大学の音楽学教授デイヴィッド・コープさんが7年かけて開発した作曲アルゴリズム「EMI(エミー)=Experiments in Musical Intelligence」でした。音楽の父・バッハ風の作品をAIが作り出したのがこちら。

そうこうするうちに、やっぱりちゃんとAIについて勉強してみようと思い、簡単な、しかし、体系的にまとめられている本を何冊か買ったり、AIに詳しい人の話をラジオで聞いたりして、ようやく全体像がつかめてきました。

Neural Network ConsoleやPython×Tensorflowも、細かい所まではわからないまでも、AIが機能を発揮する一連の流れについては理解し始めました。AIの正体と現段階における限界も、なぜ「いわゆるAI人材」が足りないのかも、見えてきました。ここまでで、独学であったため数年を要しています。我ながら、遅い。

そして、最近になって周りにAIのことを話したり聞いてもピンとこない。なんとなく、な感じ。しかし、ふと背後を見るとビジネスの世界にAIのビッグ・ウェーブが押し寄せていることに気付きます。もちろん、一部の業界や企業ではそれが当たり前になってることも理解しています。

あー、いかんわ、これ。
もう文系とか波にさらわれてカオスだろうな。何とかせんとな。AIブームの中で何が優れていて、そうでないのか、見極められるようにせんとね。さすがに資本主義の限界突破までは無理でも、ちっちゃいボート浮かべて波にさらわれないようにぷかぷか浮いてられるかな、と。

そんな妙な使命感を抱いて、今年に入ってお会いした大学の先生にそんなことをお話したら共感してくださり、そのつながりで数十年前から人工知能を研究していた先生もご紹介いただき、なんかやれるかもなーと思って「文系のためのコミュニティ」を構想しました。

実際には、「文系の学生による実社会のためのAIコミュニティ」ですので、大学生主体でとりあえずやります。大学では文系でAIをとりあげている所は福岡でもほとんどないので、中途半端なところですが僕がこれまで培ってきた知識やノウハウを短期間でシェアすれば将来的に彼・彼女らが社会に出て何かしらがんばってくれるでしょう。いまだに企業の重要な意思決定権を握るのは文系出身者が多いですから、別に技術はわからなくても、新しい事に理解を示せる人材になればいいんじゃないかな、と。

ちなみに裏(どっかからお金もらってるとか、この後怪しげなツボが勧められるとか、何かにつながってるとか)も何もないので、完全に僕の個人的チャレンジです。ご協力くださる先生方のお時間をいただいて恐縮ではありますが、前向きに臨んでくださって大変感謝しています。

で、第一回目やってみた

前置きが長くなりましたが、昨日コミュニティの第1回目の会合を行いました。

AIに興味のある学生を中心に10名超が集まり、大学の先生お二方に経済やトレンドの観点、そして技術・理論的な観点からお話いただき、僕からはコミュニティの全体像や海外の事例を話しました。コミュニティは約1年をかけて、負荷があまりない程度で進めていきます。次回は、参加メンバーがそれぞれ興味・関心の高い分野のAI活用や可能性についてリサーチし、発表してもらいます。

基本的に、コミュニティは集団学習を柱に据えています。AIがどのように学習するか、その仕組みは、人工知能という名前どおり人間の脳の学習プロセスを模倣しています。人間は脳の中で学習の花火が同時多発的に発火するほど学習が進み、学習内容が強化されます(人の話を記憶する時、何もせずに聞いているときよりも、落書きしながら聞く方がより記憶されるのは、脳の様々な部分を活性化させているからでしょうね)。僕は、これを集団に応用しようと考えました。

初回の詳しい内容については、僕がつらつら書くよりも、参加メンバーが早速書いてくれたブログを引用する方が伝わりやすいかなと思います。

初回の内容はAI、ロボットの現状や発展の経緯、問題点の整理といったものだった。
現状と問題点の要約はこんな感じ。
過去に大きな社会変革があってそれによって失業やらはあった。
けど動力革命では新たな職業が生まれたり生産性向上による賃金上昇でなんとかなってた。
問題は情報革命からまた違う傾向になっていて、そんな中でAI・ロボット等の台頭による変革が起こったらどないなるのかなって話。
既に非定型的な仕事もできつつあるAI。もう猶予はねえぜ。
ってのが現状らしい。
で、そっから浮き彫りになってきた問題点はと言うと次のような感じ。
1つ、富の再分配せなあかんよなあ。
2つ、誤解を恐れずに言えば、弱者の雇用の受け皿どうすんの。
3つ、資本主義限界ちがうか。
4つ、あんたらクリエイティブであれクリエイティブであれ言うけどみんながみんなは無理やで。
ってな感じ。
3K労働が弱者の受け皿になってたのに、そこをAIに取って代わられたらどないしようかね。
といった3つ目の問題やら、どうしようもねえ感結構漂ってるなあ。
そんな話を聞いての感想は主に2つある。
1つは、お金もらうために仕事やるって現在の社会から、やりたいことやってたらお金ももらえるって社会に変わるチャンスやないかなあと感じたこと。
もう1つは、AI搭載囲碁のアプリでじいちゃんとコミュニケーション取ったり、Google翻訳で留学生と気軽に話せたり、AI等の技術を活用・共生することで今までにないコミュニティやコミュニケーションが生まれたらええ世界やんなあってこと。
自分はこのコミュニティを使って後者について調べていきたいな。変わるかもしれんけど。
もともと優しい世界や感情の揺れ動き、人間の可能性を美しいと感じてきたから、ぴったりや。
調べ方はどうするかなあ。
AIが考えたもんの出力を人間がする事例やらをまずは探していくかなあ。
アートなんかの「感動」体験について、香りからアプローチするつもりの卒論とからめられたらまたええけどなあ。
まあええや。とりあえず、キングコング始まってるしそっち見よ。

他のメンバーのブログから。

AIって私はどちらかというと
マイナスイメージの方が大きかったです。
仕事が奪われる、
AIが人間を超えてしまう、、、
しかし、今回先生方の話を聞いて、
AIが当たり前になるであろう未来に対して
前向きに捉えることができ、
AIはこわい<AIっておもしろい
に変わりました。
〈知る、理解することで
不安や恐れを克服することができる
今後の方向性が見えてくる〉
池田さんのことばの通りでした。

AIは
人間と同じことができても
感情はない
感情がある人間ってやばくない?

ちなみに、リサーチしたい分野について尋ねたところ、次のような答えが返ってきました。

・自動運転
・ゲームとAI
・警備と治安(オリンピックを見据えて)での活用
・お笑い
・スポーツ
・金融
・AIとの共生のあり方について
・宗教

・・・など、次回が楽しみになる反応でした。

コミュニティがどのように進化していくかは僕にもわかりません。
が、それなりに手応えのあった初回でした。

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