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初めて参加したスタートアップW杯のフィリピン予選で特別賞をとった話

そもそも、優勝してシリコンバレーへの切符を手にしているわけでもないので、偉そうなことは言えませんが、自分たちのための振り返りも兼ねて、あとはこれから初めてピッチに出るような起業家のためにも残しておければいいなと思って書いてます。

アジェンダ
言いたいことを結論でまとめました。

・前日の最後まで、というよりもピッチ直前まで調整
・”ネガティブ要素をなくす”は大事
・ピッチは一人ではなく、チーム力の結晶
・トラクションないと勝てないけど、トラクションなくても上位には食い込める
・Q&Aは思っているより大事だし、逆転できるチャンス
・振れ幅見せれると効果大、つまりいろんなところでピッチしておくといい
・質疑応答は大事なマイクパフォーマンス

まず前提として、ピッチは、「自信持ってハキハキ話して、時間通りにちゃんとまとめればそれだけで上位入賞できる」とStartpassの小原さんが数年前に言われていたアドバイスがいつも頭にあります。

この言葉通りだったかはちょっと忘れてしまってますが、内容はその通りです。当時、「え?そんなことあるの?」と思いつつも、自身もほぼアイデアベースで挑んだ最初のピッチで、既にトラクションがある起業を差し置いて特別賞を受賞したばかりだったので、妙に納得感がありました。

小原さんが、「この基本ができていない人が多すぎるから、ちゃんと練習して挑めば賞が取れる」と言われていた言葉をまさに実感しました。
それ以来いつもピッチの時は、その言葉を思い浮かべます。


・前日の最後まで、というよりもピッチ直前まで調整

どなたのアドバイスか忘れてしまったのですが、「ピッチの時は、自分の順番まで他のピッチは一切見ない。」というスタンスで今回も参加したました。正確には、実際にピッチするメンバーをMimi一人に絞ったので(自分はQ&Aから参加)Mimiが最後まで練習、自分はQ&Aはちょこちょこ見るという感じでした。
ピッチ始まってからも、誰もいない控室でMimi練習ピッチして自分がコメント、そのあとは、チームメンバーも呼んで仮想ジャッジになってもらって、練習とギリギリまでやってました。会場に入ったのは、手前の九番目のピッチの途中。
これは個人のスタイルにもよると思いますが、他のピッチを見ちゃうと「ああ、こうすればいいかも」とか隣の芝生は青く見えがちなので、見たくても見ない、自分のことに集中!がいいなと思ってますし、これは確かReproの平田さんも言っていた気がします(違うかも。。)

・”ネガティブ要素をなくす”は大事
今回の特別賞に繋がっているかは、結果論なので分かりませんが、実は前日、というよりも既に日づけを超えた当日、二人でピッチするこれまでのスタイルから、一人ピッチに切り替えました。
これは結構大きな決断で、なぜならそもそも二人か一人かでリズムも間合いもぜんぜん変わってくるので、正直めちゃくちゃ迷いました。
ちなみにきっかけは、これまでもYCのアプリケーション見てもらったりしていた、YC 2022 summerバッチのNextpay COO Artieに、「Can’t pitch two people」とアドバイスもらったため。

正直、起業してからは、二人のピッチで勝ち取ってきたものが大きかったので、「アドバイス聞かない方がよかったかも」とか思いました。笑
アドバイス聞いたのに、無視する感じになるのかあ、と。笑

まあ、でも最後はちゃんと自分たちで決めるべきなので、受け取った上で、最終決断どうするかはMimiと夜中のディスカッション。
前日Mimiは2時間くらいしか寝てなかったので、死にそうな顔してましたが、叩き起こして最終的には「よし、一人で行こう。Mimiで行こう」ということにしました。

理由はシンプルで、「二人でのピッチではタイトルをとったことがなかった」からです。逆に一人でのピッチは一番最初のまだ起業する前のタイミングで参加した日本でのピッチで、特別賞を取ってました。
確かに、コンペティションの”ピッチ”で二人ピッチだと、聞き手によっては内容が”入ってきにくい”問題があるかもしれず、そのリスクは慎重に捉えた方がいい。
さらに、二人ピッチが成功しているのは、あくまで”資金調達”時のピッチであり、そのピッチの後、フォローアップのミーティングもちゃんとした上での投資なので、ちょっとイベントとは違うなと。

ということで、最後の最後にピッチ自体のやり方を変えてしまいました!
前日絶対運営で寝てないのに、深夜のピッチを見てくれて感謝してます。

・ピッチは一人ではなく、チーム力の結晶


次。

「ピッチの時は、自分の順番まで他のピッチは一切見ない。」というスタンスと言いつつ、正確には、実際にピッチするメンバーをMimi一人に絞ったので、自分は自分たちの前の9社のうち4社くらいは質疑応答を見てました。理由はどんな感じの質問がくるかある程度掴んでおきたかったからです。結果、自分たちの場合は全然違う変化球の質問が来てちょっと内心あたふたしましたが、一人が質問を想定しておく役割に回れて結果よかったです。
あと、個人的にはミソだと思っていたことが会場の場づくりです(実際にはどうか分からない)。今年からまたオフラインのイベントに戻ってくる中で、オンラインとの一番の違いは”会場の雰囲気”という要素が入ること。いや、もちろん、審査員の手元には、Maket Validation 20%, Business model 15%とか採点基準があって、そこに会場の雰囲気なんてものはないですが、サッカーで審判がホームチームにジャッジがよっちゃうのと一緒で、審判もAIではないんだから影響されるだろうというのが持論です。完全に仮説です。
それでも2022年のIVSのShe Likesのピッチの時も、チームメンバーか受講生が黄色の声援を送っていたのは画面越しでも伝わってきたように、優勝しているチームと会場の盛り上がりは相関関係があると思ってます。
今回運良く10チーム中、大トリの順番だったので、これはちゃんとチームも呼んでクリエイターも呼んで、”場づくり”しておけば、結構自分たちの番で盛り上げられるぞ、と思ってました。
それが効いたのかどうかは分かりませんが、質疑応答含めてトータルで確実に一番盛り上げれたとは思います。逆に明確に勝てるところで行くと、「会場を味方にする」つまり「共感してもらって巻き込む」であり、ピッチのハイライトも含めて結構意図した通りにできたなと思います。


・トラクションないと勝てないけど、トラクションなくても上位には食い込める


これは事前に結構話していて、「ぶっちゃけリアリスティックになったら、まあ優勝はないだろう」と。これは諦めていわけでなく、客観的に分析した結果。
ただ勝負事で、必ずワンチャンあるわけで、そこを狙っていくにはどうするかは徹底的に考えました。そしてそのプロセスは改めて自分たちの何に価値があるのかを見直すきっかけにもなりました。
自分たちの場合、マーケットプレイスなので他社が真似しようと思えばすぐにできるはず、その上で何がすごいのかを突き詰めました。
そうなると、このクリエイターサイドのコミュニティへの粘着性は特筆すべきものが多くて、一度卒業したクリエイターが頭下げてもた戻ってくるような仕組みを提供してあげれていることにこそ価値があります。

ただ、一方ですごくシビアかもしれませんが、トラクションなければ優勝はできないのも事実。まあ、これは当然ですよね。
今回実際に思い知ったところです。優勝したところはトラクションが圧倒的にありました。ただ、逆に我々が特別賞をもらったにも関わらず、我々よりもトラクションあったのに賞を手にしていないスタートアップも数多くあったのも事実。
トラクションは必須だけど、なくても戦えることは戦える。


・Q&Aは思っているより大事だし、逆転できるチャンス

これも誰のアドバイスか忘れてしまったのですが、質疑応答でちょっと難しい質問が来ても「簡潔に答えて自信ありげに振る舞えば、次の質問はそんなに返ってこない」という裏技を教えてもらったことがあります。
妙にそのアドバイスを覚えていて、それ以来質疑応答はこわくなくなりました。だって、確かに2度3度も詰められて質問される場を見たことがない。笑
ジャッジ側もツッコミどころあっても、ディスカッションではないので、そんなに突っ込めないし、逆に突っ込んできたら印象悪くなるので突っ込めないと思います。笑

今回5分ピッチと3分Q&Aだったので、「これはピッチが五番目くらいでもQ&Aで二つくらい順位はあげれるぞ」と思ってました。そして当日いきなり5分になったので、結構僕らにとっては優位に働きました。
やっているチームをたまに見かけますが、Q&Aで二人目入れるなら絶対に入った方がいいです。理由はシンプルに、①ピッチ担当とQ&A担当と分けれる②一人目の回答がちょっと微妙な時に二人目が補足して回答をまとめれる、です。
①が結構大事で、サッカーで前後半一人で走り切るのと、後半途中からでも交代でフレッシュな選手が入ってくるのではどっちがいいかという話です。我々の場合は、Mimiはピッチだけ完璧にしておけばよくて、Q&Aは僕がメインで行くので、Mimiは最初の5分だけまず集中すればいい(もちろんその流れでQ&A答えていければ問題なし)という状況にして、
あと、やってみて感じたのは、横でピッチを見ていると審査員がどこでメモを取っているか分かるので、「あ、多分レベニューモデルについてFrancoは聞いて来そうだな」とか準備できるわけです。
ただ、その予想は全部外れたんですが。笑
そう、うまくいかないっす。

それでも気持ち的には結構余裕できます。
②は、これはちょっとせこいなとも思ってますが、例えばMimiが答えたときに、「なんかこの回答はしっくりこんぞ」という時に、”Okay, let me add one more thing.”みたいに「あと一点付け加えさせてください」みたいな、後出しジャンケン的な回答が二人だとできます。
これは自分でもちょっとせこいかもと思ってるのでひょっとしたら審査員からすると好きでない人も”いるかもしれない”前提で、でも結局は話術の問題だとも思っているので、そこも含めて問題はない認識なのですが、”ちゃんとチームの最適解の回答を導きやすい”のがQ&Aを二人にする理由。

あと、すごく大事なのはユーモア。これは、どの審査ポイントに関わるか、分かりませんが、シンプルに効果は色々あると思ってて、印象に残る、質疑応答が和やかになる、その後の回答が映えやすいなどあると思ってます。
「性格によるだろ!」って意見はもちろんあるとは思いますが、いろんな方を見てくる中で結局は「ジョークの一つも言えないようだと起業家なんてつとまらん」ものだなと思います。
確実に笑わせられるネタくらいは誰しもあるとは思うので、それを質疑応答で持ってこらるような流れは最低限持ち合わせておくべきだろうと思ってます。
特に我々のようなトラクションもないようなスタートアップが爪痕残すには、マストだと思ってます。

それからこれは個人の好みですが、ジャッジからの質問に対して「いい質問ですね」とかいう”いらない相槌”というか”時間稼ぎ回答”は、やらない方がいいかもなあと他のピッチを見て思いました。時間作りたいのは分かるんですが、ジャッジ目線でその返答されても下手したらイラッとこないかなとか思ってしまいました。これは完全に主観です!笑


・振れ幅見せれると効果大、つまりいろんなところでピッチしておくといい


「成長の振れ幅が大きかった」というのが今回特別賞をもらった方からのコメントです。

よく投資家の方や、身近で見ていただいている方に言われることの一つに「検証スピードが早い」というコメントがあります。
実は3ヶ月ほど前にManila Angel Clubというところでピッチしてました。当時はトラクションもぐんぐん登り調子で、行くところ敵なし感だったのに対して、今回はそこから事業の伸び率は下がっているし、そんなにいいことはない、と思っていた手前、逆に成長を感じてもらっていたというのはある意味、一番嬉しいことだったかもしれない。

スタートアップの創業者は進化し続けないといけない。ファウンダーの成長率=会社の成長率と言っても過言ではないと思います。特に初期は。
トラクションとかは頑張ってもコントロールできなものなのに対して、”成長”はコントロールできるもの。事業が成長していなかったとしても、チームとして個人としては確実に成長できるわけで。
そこが評価してもらえた、しかも3ヶ月くらいの比較的短い中での振れ幅を感じてもらえたのは、すごく意義があるし自信になった。

つまり、その振れ幅を見てもらうには、結局いろんなところに”露出”し続けていないといけない。改めて、やっぱり結局は”行動量”だと再認識しました。


・質疑応答は大事なマイクパフォーマンス


YCのMichel Serveyがで語ってますが、いいファウンダーはコミュニケーション能力が高いと。どういうことかというと、ステークホルダーに自分たちのやっていることをしっかり伝えられる。これができないファウンダーが実はすごく多いと。

その動画から、いかに簡潔に分かりやすく自分たちのやっていることを伝えられるかは、これも大事な”スキル”なのだと理解し始めました。
質疑応答は、日頃からどれだけシンプルに誰にとっても分かりやすく話せられるかが問われていて、そういう意味ではある意味起業家にとって一番大事な部分が問われていると言っても過言ではないと思います。

以前、Reproの平田さんがスタートアップなら三大ピッチでの優勝は絶対と言われていたので、それは必ず達成したいと思ってます。起業して1.5年なので、通常起業して3年まで出れることを考えると、あと2,3回×3イベントつまり、6~9回ほどはチャンスあるので、必ずどこかでタイトルを取りに行きたいと思ってます。

これまで事業をほぼフィリピンのみ(他英語圏や東南アジアの顧客あり)で進めてきましたが、これから日本への事業展開も進めていきます。

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日本語動画サンプル ⇒ https://www.instagram.com/reel/CzSV8NePtdI/?utm_source=ig_web_copy_link&igshid=MzRlODBiNWFlZA==

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