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そんなんなるまで戦ってくれるのか加藤陸次樹(vs湘南ベルマーレ)

 ウォーミングアップ中ずっと黄色いビブスを着ていた"彼"は、やわらかいフォームでシュート練習をしていた。まずは左足から。キレイにゴールのスミをねらって蹴る。中央大学のときとか、もうちょいごつごつしたイメージだったからちょっとおどろいた。

 ビブスを着てるおかげで、ほかの選手とごちゃごちゃってなっても彼のことはすぐに見つけられた。あれはたすかった。この日のお目当ては彼だったから。でもあのビブ、わざと着てた説あるな~とこっそりおもってる。オレを見ろ、期待してくれってアピールしてるみたいだったし。よし。そっちのほうがカッコいいからそういうことにしちゃおう。はいカッコいい。

 そんなカッコいい彼の、サンフレッチェ移籍後はじめてのゲームとなった湘南ベルマーレ戦。しょうじきいうと、帰りの電車のトラブルもあって、肝心のゲーム内容の記憶がまぁうすいことうすいこと。"東海道線運行の見込みなし"という事実に右往左往させられてるあいだに、その日の印象の大半をどこかでおとしてしまったみたいだった。厚木駅あたりかな~。走ったし。

 それでも唯一手もとに残ってたものがある。それが試合後の彼のすがた。ゴールの脇にすわりこんでうつむき、まるでなにかに耐えるみたいにじっととしていて。そのあと、疲労でぎしぎしときしむカラダをなんとかもちあげて、整列した仲間のもとにむかっていく(INSIDEのカメラもとらえてた)、そのすがたはいまでもはっきりとおもいだせる。

 そんなんなるまで戦ってくれるんだなあ、加藤陸次樹さんは。素直にうれしかった。がんばる選手なのは中央大学時代だったり、ツェーゲン金沢・セレッソ大阪時代をこそこそ観ていてわかってはいた。でもそのがんばりの価値は味方になってこそわかるものだと、はじめてそこでちゃんと理解した。帰ってきてくれてホントによかった……。

 帰りの電車がうごかないって聞いたときは「なんだよこの仕打ち」「来るんじゃなかった」と恨み節だったけれど「陸次樹さんの出し切ったすがたを目の当たりにできたんだよな」とおもうと考えをあらためざるを得なかった。いいもの見せてもらえたもの。スタジアム行って大正解。

 ご本人責任を感じてるみたいだけれど、そのチームに全力をささげるスタイルはまちがいなくぼくの心をうった。あらためてサンフレッチェに帰ってきてくれてありがとう。期待したほうが燃えてくれそうなので、今後も容赦なく期待させていただきます。

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