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12日で36歳になるらしいけれど、まだまだがんばってくださいね

 もう先々週のお話になるのか。味の素スタジアムから帰ってすぐ、DAZNをつけてFC東京戦を見返した。すぐといっても、シャワーあびたり着替えたり、カラのペットボトルのラベルはいだり、つかった汗拭きシートを捨てたりもしたから、正確にはすぐではない。だけど心もちとしてはすぐだった。単純に勝ったから、1秒でも早く観なおしたかった。

 ヘッドフォンを装着し、PCで、大音量にしてウキウキで見逃し再生。すると前半8分「ムツキィ!」という怒声がイヤーパッドのなかにひびいた。おーおー集音マイクにバッチリひろわれてらあ。血相をかえていたのはドウグラス・ヴィエイラさん。どフリーなのを加藤陸次樹さんにしらんぷりされたのが原因だった。ケガ人の治療で中断してるあいだずっと怒鳴っていた。その剣幕に陸次樹さんは、手のひらをちょいっとむけて、応えてるか応えてないかのギリギリのリアクション。おそらくそれも、ヴィエイラさんの逆鱗にふれたんだとおもわれる「ムツキ、おい聞いてんのかムツキ!」。

 現地で観てて、なんとなーく状況は察していた。陸次樹さん「ここはオレが撃ちます」ってモードに入っちゃったんだろうなっていうのと、ヴィエイラさんがなんかキレてんなーくらいは。実際DAZNで見返すと、おもってたのの数倍、9番さんはキレていた。

 でもそのすぐあとのカウンターで、ヴィエイラさんが出したタテパスをだれがうけたかっていえば、陸次樹さんだったわけで。なんだよ仲いいじゃんか。走るタイミングもスピードも、パスも息ぴったりだった。ケンカするほどなんとやらである。その後もふたりはいい関係性を築いてるように見えた。

 ここにきてヴィエイラさんがよくなった。気品あるたたずまいがもどった。役割をちゃんと理解してるようだった。そこにたどりつくまでにはけっしてかんたんではなかった経緯がある。それにぼくは胸をうたれた。

 たびかさなるケガをのりこえ、たてつづけにゴールをきめた今年のヴィエイラさん。でもなかなかスタメンにはえらばれない。イライラして、いちいちレフェリーにかみついたり、コーナーフラッグたたきおったこともあった。やっとこさスタートから出てみれば、今度はチームが低調、自身も役割を徹底できず、そのうちにいいところも出せなくなったりもした。

 そんなかれが、チームメイトとときに密に、ときにはげしく交渉しながら、誠実にプレーするようになった。その事実だけでしみる。あの日ウキウキでかえってこられたのも、そんなかれの変化のおかげだ。ありがたや。

 TransferMarcktのスキッベ監督のインタビューを読んで気づいた、ヴィエイラさんさん、36歳なのね。でもあんなプレーっぷりを見せられちゃうと「若い若い」「まだまだがんばってくださいね?」とムリをさせたくなってしまう。9番だし、なにかとひきずりまわされて、からだもタイヘンかもしれないけれど。そこはもうサンフレッチェに関わっちゃったあなたがワルい、ということであらきらめていただいて。ね。

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