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ワールドカップ観たら茶島さんのプレーを観たくなった

 ワールドカップもあっ(!)という間におわって、あんなハイペースでサッカー観るなんてそうそうないから、なんだかホッとしたような、でもちょっとだけさびしいような。そんなふわふわしたかんじですごしていたら、ある日とつぜん、すごく茶島雄介さんのプレーを観たくなった。

 こういうときにDAZNさんは不親切だ。フル尺のゲーム映像をのこしておいてくれない。ハイライトに高確率でうつりこむようなタイプの選手でもないので、リーグ戦はアウト。となるとたよれるのは、ルヴァンカップを放送していたスカパー!オンデマンド、ウチの視聴環境でいえばAmazonのプライム・ビデオ、サッカーLIVEしかない。ちなみに天皇杯決勝は録画してあったけど、けしました。

 それにしても勝手な話だなあとおもう。以前死ぬほど世話になっておいて、いざDAZNが出てきたら見向きもしなくなったスカパーさんに、恥も外聞なくすがりつこうっていうのだから。でもスカパーさんはやさしかった。そんなぼくをイヤな顔ひとつ見せずに、こころよくむかえれてくれた。そしてルヴァンカップを、グループリーグから全節まるごとふるまってくれたのだ。なんて都合のいいヤツなんだ。茶島不足でおなかがぺこぺこだったぼくは、目のまえにひろがるごちそうにとびついた。スカパーさんへの罪悪感なんてどこへやら、茶島雄介さんがちりばめられた皿だけをひきよせて、むさぼる。行儀わるい? 気にしてるばあいじゃない。

 お皿にちりばめられた茶島雄介さんのプレーは、ていねいにボールとスペースをあつかう、やさしい家庭料理の味がした。「おもいきってプレーしといで」という味方へのパス。ボールのながれをじゃましないコントロール。投げ損じのない正確なスローイン。ときどき徳島ヴォルティスの川上選手や名古屋グランパス・相馬選手にぶっちぎられたシーンが、まるでハンバーグのクレソン、ハムエッグのパセリやトマトのように彩りをそえている。目もあきさせない。いくらでもたべられちゃう。

 とはいえしばらくいただいていると、茶島雄介さん以外のことも箸がのびる。たとえば住吉ジェラニレショーンさん。左足のパスを、まるでうまれつきのレフティですよみたいな顔して通すもんだから、おもわず箸がとまった。そこからたたみかけるように、タテパス何回もとおしたり、ケアしている目のまえの相手をドリブルでちぎったりしてくれたもんだから、味にさらに深みとフクザツさがくわわった。やりおる。今度はジェラさんをメインにいただこうかしらと、ついついキモチがうわついてしまった。そういえば、ルヴァンカップ初戦を担当したアナウンサーさん、「住吉ジェラニレショーン」の発声がきれいだったな。

 ほかにも、いまは在庫切れ・入荷待ちの状態だけれど、仙波大志さんのプレーなんかもいい味だしてた。お肉とかお魚みたいなメインディッシュではないものの、ぬか漬けとかひじきとか、小皿でだされるもののような。相手チームのすきまにスッとはいりこんでパスをうけたり、ウラにぬけだした選手へのボールの中継地点になったり。彼の得意な、前にクルッと向くターンも健在。味のしみたいいプレー。白飯にもよく合う。おかわり希望です。

 しめをかざるのはルヴァンカップ決勝の追加タイムの茶島さん。「コレどうやってゲームに入るんだ」ってとまどってるのがすぐにわかった。タッチおおきくなったシーンもあった。でもはじめのパスはていねいにピタっとあわせたのはさすがです。ともかくやったねルヴァンあらためて! 新国立のスタンドで、感情を共有する知り合いなんていないから、ひとりでうずくまって、ぷるぷるふるえながら半べそかいていたこと、まるで1秒まえのことのようにおもいだせます。ありがとうスカパー!オンデマンド。DAZNもすこしは見習いなさい。

 しかしワールドカップでさんざんサッカー観たから、さすがにウンザリするかとおもったけれど、あんがいあきないものである、サッカー。自分でもビックリ。まあぼくの見方がサッカーを観ると定義されるのかどうかは、すこし議論が必要かもしれないけど。

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