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かっこいいディフェンスだった!(vs清水エスパルス)

 ミヒャエル・スキッベという監督は、こちらがほしい言葉をかけてくれる。おなじみのYouTubeのINSIDEでスキッベさんのドイツ語を松尾コーチが、いつものようにニュアンスをとりこぼさないよう声色に気をくばりながら通訳した。

「すごくいいディフェンスだった!」
「"全員が"よかったんだよ!」

 ぼくは清水エスパルス戦がおわってひと晩たってもまだ、チャジさんのクロスのことをかんがえていた。インサイドですくいあげてピエロスさんの頭をこえていったクロスのことを。もっとつよいクロスはけれなかったのかな。そもそももうちょい内側でパスをもらっとけばよかったんじゃ……などなど。もうずっとクヨクヨしていた。

 でもスキッベさんのメッセージ、とくに"全員が"よかった、というのをINSIDEでみて、目がさめた。そうか。いいディフェンスで、しかも全員がよかった、ということは、チャジさんのディフェンスもよかったということでいいんだよな、と。スキッベさんのいうことはいちいち真にうけたほうがいいというのは、選手をみていればわかる。ぼくはすぐにミスしたクロスのことを脇においた。おいて、前半2発きれいにきまったスライディングタックルのことをおもいかえした。9分10秒と12分56秒のやつだ。

 スライディングは2発ともクリーンできもちよかった。相手を傷つけることなく、しっかりボールをとらえてかきだした。2発目のチアゴ・サンタナ選手とのシーンは一瞬まにあわないかとおもったけれど、ギリギリのところですべって、足の甲で正確にボールをつかまえた。間一髪。たちあがったチャジさんは、頬から首すじにかけてを芝生とどろまみれにしていた。ちょっとした勲章。やりきった表情もあわせて色っぽかった。

 ほかにディフェンスのときの話でいえば、名手・乾選手との対決もアツかった。しっかり集中してケア、いくつかミスもさせた。10分50秒、ボールをうしなった直後に乾選手をつぶしたシーンがぼくのお気に入り。バチンと音のしそうなチャージで、結果ファウルになったんだけど、そのあと乾選手はあやまるチャジさんに「OKOK、だいじょうぶ」「いいチャージだった」とジェスチャーでかえしていた。なんとまきもちいい”やりとり”。

 塩谷さんが退場してからはすこし、頬をさわったり髪をかきあげたりして動揺していたけれど、でもすぐに集中しなおしたみたいだった。首をふる回数もふえて、すきあらばうばいにいこうと前のめり気味にかまえた。前半よりもむしろボールをもっている相手選手にせまっているようにもみえた。拓夢さんのあの劇的な2ゴール目の直後も、ボールもっている選手にガツンとチャージ。われらが背番号25はベンチにさがるまで、集中したおした。

 エルゴラッソの採点によるとチャジさんは6.0。ディフェンスに穴をつくらなかったという評価。そう、穴をつくらなかったのだチャジさんは。ずっと60分70分で足つって交代していたヒトが、90分オーバーそれをやりきったのだ。それだけでしびれるというもの。

 具体的にどういいか評価できるようなぼくではないので、スキッベさんみたいにはいえないけれど、すごくかっこいいディフェンスだったとはいえる。ディフェンスするチャジさんはかっこよかった! そうおもったら、エスパルス戦でのクヨクヨからは、いつのまにかぬけられた。

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