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出場時間がみじかいときこそコッチの腕のみせどころ

 茶島雄介さん、FC東京戦の出場時間は6分+追加タイムということで、なにかをなすにはあまりにもみじかく、でもそのみじかい時間のなかで自分の価値を証明しなければいけないっていうんだから、サッカー選手ってのはナンギなもんです。

 いっぽうコッチはコッチで、そのみじかい時間のなかで"いかに茶島雄介をたのしめるか"がためされているわけでして。それもまたナンギっちゃナンギなんですが、ファンとしては腕のみせどころであったりもするんですよね。

 84分。集音マイクがかすかに「サンフレッチェ、交代」という声をひろって、DAZNのカットがきりかわるとタッチワイン際で交代をまつチャジさんが。ひさしぶりの背番号25ですよ。否が応でも期待がたかまります。ふりかえってコーチングスタッフから指示をもらってるときの「委細承知」みたいな表情がまたイイんです。さらに期待感をあおられます。

 ファーストプレーは、相手のミスパスをそのままタテにワンタッチパス。チームに前進をうながすタイミングの速いパス。テンポをだいじにするスキッベさんの大好物ですよ。よくまわりが見えている証拠。テンポといえばスローインもすばやくなげていて、そういうところをだいじにするチャジさんはやっぱりいいですね。

 柴崎晃誠先生との連携もばっちりだったんじゃないですか。対面のバングーナガンデ選手とかけひきしながらも、スムーズにこなしていたかと。というかシバコー先生はだれとやっても相性がいいのがすごい。すこし和田ちゃんとのコンビをおもいだしましたね。最高の右サイドでした。

 87分28秒。こんどはチャジさん、今津さんと柴崎先生がつくったスペースでボールをもらいます。その位置の高さがまた絶妙で、そっからかけひきも駆使してFC東京をサイドにおしみました。このシーンではいまをときめく高卒ルーキー・松木選手を後手にまわらせたのがもうなによりたまらん! 大学サッカーそだちの意地、見させていただきました。

 91分15秒。チャジさんのパスカットがひかりましたね。シバコー先生とバングーナガンデ選手の1on1、その大外からかけあがってくるFC東京の選手に気づいたチャジさん。気づいたことをさとられないよう、先生のカバーをするテイでゆっくりとちかづいて、バングーナガンデ選手がうしろむいてパスをだそうとしたその瞬間、パッとコースをつぶしてクリア!

 ぼくはサッカー経験者じゃないんで、あれがいいプレーだったかどうかはわかんない。わかんないですけど、すくなくともバングーナガンデ選手はアタマをかかえていたし、なによりもチャジさんのあの満面のしたり顔ですよ、まさに絶品だったんで、いいプレーだったんでしょう。というわけであのパスカットが問答無用でこの日イチの茶島雄介認定。

 ほかにもジュニオール・サントスさんの"暴走"直前、相手のほっそいすきまにススーっとボールをはこんで、右のアウトでつないだシーンなんてのは、まさに茶島雄介の真骨頂。せまいところでボールをはこぶ姿勢のなんてきれいなことか。まあそのあと失点しちゃうんですけど。

 こうやってふりかえってみると、チャジさんの出場した6分が妙に濃密にかんじられて、ふしぎ。失点シーンもふくめて何度も何度も見返したからなんですかね。トータルの再生時間は90分はこえているんじゃないかしら。

 つまり出場時間こそみじかかったけれど、ぼくはフルタイムぶん以上、茶島雄介を満喫したってことです。これはいちファンとしての腕を見せられたんじゃないんですかね。もう6分だろうが何分だろうがどんとこいよ。おそらくぼくはいま、オーバーラップをふせいだときのチャジさんみたいなしたり顔をしているんだろうなあ。あんな顔、ととのってませんけどね。

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