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◆月の裏側、銀河鉄道の夜◆



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「月の裏側、銀河鉄道の夜。」公演から1週間が経ちました。一週間前の今頃、公演を終えて楽屋でなんとも言えない安堵を覚えていた頃です。と書いていたのにAmeba Blogの投稿トラブルでこんな時間になってしまいました。
一週間前の今頃は、ルミナと一緒に青山墓地の真ん中を歩いていた頃です。


これを読んでいる方がいるということはやっとブログを完成させ公開に至ったのですね。
大変お待たせしました、そしてお疲れ様僕。



公開に一週間もかかってしまった理由は沢山あるのですが、一つはまぁなかなか上手く言葉が纏まらなかったこと、そしてもう半分は13日(もう明日になってしまった)に行われるHMVでのインストアがバースデーのアフタートークであったためです。



インストアに来てくれた方に、「なーんだ全部ブログに書いてあったじゃん」なんて思わせたくないのです。

「別に重複したっていいじゃん、そんなこと気にせず書きたいことを書きなよ、僕たち私たちは早く読みたいのよ」なんて言葉が聞こえてきそうです。その通りなのかもしれません。いやきっとそうですよね。
でも多分、誰よりもそういうことを気にしてしまう性格なんですよ、えへ、すみません。



これはまぁ個人の感想なのですが、言葉や文字というのはとても奥が深く、そして扱いづらいものです。
言葉や文字にして"伝える"ということは下手に扱うと薄っぺらくもなりますからね、感謝も感動も、悲劇もです。


あの日から毎日生誕ライブのことを思い出しては嬉しくなったり、悔しくなったり、そして幸せな気持ちになったりしてました。
それだけ3年振りに延期なしの生誕公演を開催できたことは僕にとって特別だったのです。改めて、当日に祝ってくれた皆様どうもありがとうございました。主役、とても幸せでしたよ。


さてここからはリラックスしていきましょう、少しだけ、長くなるかもしれません。


脳のリラックスを促すBGMがYouTubeにも沢山あるので、良かったら茶でも啜りながらお供にして下さい。便利な時代になりました。

Lofi Hip hop、α波、528Hz、リラックスなどのワードがおすすめです、さぁレッツ検索!

運動の前にするストレッチと同じで、脳を動かすためにはその準備も必要だと僕は考えます。



準備はいいですか?
ではいきますね



"回帰と離別"
それが「月の裏側、銀河鉄道の夜。」のテーマでした。

重苦しい話だったかもしれません、静かに聞いてくれてありがとうございました。
朗読中に一度、がっつり噛んだことは一生忘れません、今でも思い出すと、あー悔しい。


公演で読んだ物語を掘る前に、このブログを書くにあたってMCでも話したことを割愛しつつ話すと…


あの公演タイトルに至った理由は子供の頃初めて文学というものに触れた作品が、「銀河鉄道の夜」と「星の王子様」だったことによります。同じ人いるかな。

その二作品に共通することは、旅をすること、そして別れがあり、残された者と旅立った者が描かれているというところです。


あの日話した言葉を各幕抜粋しつつ、思ったことを書いていきます。

もしかしたら読みにくいかもしれないし、胸糞悪いと思う方もいるかもしれません。
後者だった場合はバーっと下の方まで飛ばして大丈夫です。多分。嫌だけど。


前置きが長くなってしまいました。
改めて当日のことを振り返っていこうと思います。どうか暫しお付き合いを。



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【プロローグ】

 こんなはずじゃなかったと思うのはきっと傲慢で、僕たちはいつだってそう成った未来で、そう成らなかった未来を眺めながら生きている。
そうやってきっと、足りないまま大人になって、足りないまま朽ちていくんだろう。

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回帰と決別の旅はこのプロローグから始めました。

"あの時ああしておけば良かった" 

"こんな事になるなら別の選択肢を選んでおけば良かった"

過去選んできた選択肢は、いつだって後悔したものばかりが記憶に残るもので。

「いつも上手くいかないな」なんて思ってる方がもしいたら、決してそうではないとお伝えしておきますね。
正しい選択もしてきたんだよ、僕らはそれに気付けなかった、それだけです。きっと。
そして間違ったかに見えた選択肢が、あらゆる選択肢の中で一番マシなものだったかもしれないでしょう。

悲しいことだけれど僕らは結局、そう成らなかった未来を眺めながら生きています。


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【第一幕】

 夜ごと見上げ、見知ってきたそれとは何もかもが違って見えた。散りばめた宝石でも、煌びやかなイルミネーションでもない。またたき、ゆるやかな明滅を繰り返す散雑な光に、気後れしそうになる。
ありものの言葉でこの景色を言い表すことは、この星のどの言語でも、不可能だと思った。

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1.ミッドエンドナイト
2.踏切の街

夜空を描くミッドエンドナイト
そして死を暗喩で描いた踏切の街
物語は宇宙へ、そして踏切を越え電車に乗り込んだというストーリーを、楽曲を交え展開していきます。


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【第二幕】

 辺りを見渡すと、ここが列車の中だということが分かった。昔何かの本で読んだことがある。漠然と、僕は死んだのだろうと思った。
時間という概念の外側、朝か夜かも分からない宇宙の中、星々を掻き分け列車は静かに走っている。

「また君に会えて嬉しい」

願っても叶わなかった再会を、僕はやっと口にすることができた。

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3.華
4.平行線

「昔何かの本で読んだことがある。」
これは銀河鉄道の夜のことですね、引用です。ちなみに銀河鉄道の夜はタイタニック号の沈没事故にも影響を受けたとされ、実際に引用もされています。
残された者と逝ってしまった者、様々な分野で描かれてきたストーリーを、セットリスト3曲目に据えた華で歌いました。

4曲目の平行線ですが、次幕冒頭に書かれる

 「私もまた君に会えて嬉しいよ」
エルはそう言うと、少しだけ寂しそうに笑った。

という文章に続く曲としてこの場所に置きました。

"会えて嬉しい"

という両者同文の中にある想いのズレを平行線に込めて。


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【第三幕】

 到着したホームには「こぐま座のしっぽ」と書かれていた。
辺りを見渡すために立ちあがろうとしたその時、エルは僕の裾を掴んで静止した。
「外へ出てはだめ、ここでは硫酸の雨が降るからね。」

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何も知らなかった子供の頃「これをしたら危ないよ」と教えてくれた人があなたにもいましたか。僕にも居ました、もう居ないけれど。
ちゃんと覚えてます、だから今日も生きています。

ここは"雨"にかけて
5.あの日の僕の君と雨
6.夕立ララバイ
と続けましたが
歌詞だけ見ると色恋要素がちらつくこの2曲も単文で見るとちゃんと物語の流れを汲んでいる言葉があります、これかな?と思ったらこっそり教えてね。


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【第四幕】

 「どこで降りるか、乗り続けるか、それは君が決めなきゃいけないよ。私も永遠を信じていたいけど、そう願うほど、永遠の存在を否定している自分に気がつくものよ。」

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7.シャボン玉
「今 何よりも綺麗なままで
君を割ろう」

永遠を願う、祈るという行為が、矛盾を孕んで日々僕を責め立てる。

出歩くことが大好きだった祖母は入院し、次第に寝たきりになり沢山のチューブで雁字搦めになっていった。
コロナ禍で面会も叶わず、家族のいないところで何度も発作を起こし苦しんでは延命措置を繰り返す。
担当医師からされた何度目かのそんな話に、延命措置を止めようと言ったのは誰でもない僕で、その選択が正しかったのか今でも悩み続けています。
永遠、という言葉を見ると、真っ先に離別が思い浮かんでしまうのは昔からですが、以前よりもずっと、永遠という言葉が裏切り者に見えてしまうようになりました。


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【第五幕】

 「悲しみは時間が癒してくれると言うけど、心にポッカリ空いた穴は、一生塞ぐことなんてできないんだ。空いた穴は雨風に曝されて形が変わるのを待つしかない、時間の問題じゃないんだ。時折悲しみは君の耳を支配するだろう。でも耳を貸し続けるのは良くないな。悲しみは気付きであって、拒絶でも許容でもあってはいけないんだ。人はずっと悲しみと共に生きてきた生き物なんだから。」

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8.僕たちは真っすぐに歪んでゆく

第五幕は説明するのが難しい、難しいです。
悲しみは時間が癒してくれるのではなく、状況の変化によって形を変えて受け入れていくものだと僕は思います。
雨風に曝されて、地形が形を変えていくように、石ころの角が削れていくように、ゆっくりと、悲しみは形を変えていくものだと。
そう分かっていても、分かっているのに、きっとこれからも僕たちは傷付き続けるのでしょうけど。


長い、既に長いね。
読みづらくないですか、独りよがりか駄文になっていませんか、僕は心配です。
もう少し、いやもう暫く、どうかお付き合い下さい。

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【第六幕】

自分は何のために生まれてきたのか、生まれてきて良かったのかと悩んだ日々を救ってくれた人たちに、結局僕は何をしてあげられたのだろう。という後悔が浮かんだ。

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目標を追いかけることでしか報いることが出来ない現状に、半ば強迫観念のようなジレンマを感じています。
後悔はしない、報いたい、出来ることなら追いかけることでではなく結果で報いたい、そして報われたい。自分が何のために生まれてきたのか、理由が欲しい。できるだけ沢山。そしてそれを叶えて、必ず自分にも訪れる今際の際でひときわ明るくこの瞬間を思い出したいのです。


9.自我の水槽
10.優しい世界の終わり方

物語も終盤です。
月の裏側とは、僕らが普段目にすることが出来ない場所です。
見に行きましょう。

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【第七幕】

 「これからもきっと君は、大切な人の生き死にを何度も経験するでしょう。その度に沢山後悔して、そして忘れていくの。」

『忘れたりなんかしない、できないよ。』

「いいの、忘れて欲しいの。雨風に曝されて風化して、私を思い出す時悲しみだけ忘れた状態でいてほしいの。」

『それは…できるかわからない。』

「できるよ、そうやって人は命を繋いできたんだもの。それに私が降りなくてもきっと君はまた別の後悔をするわ。」

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冒頭で話したテーマ、離別へと至ります。

別れというものは大まかに二つ種類があって、一つは肉体的な別れ、そしてもう一つは精神的な別れがあります。

そして残念ながらそれらは大抵同時には訪れてくれません、肉体的な別れは強い強制力を持ち残された者には決定権がないものであるのに対して、精神的な別れは残された者や環境に委ねられるからだと僕は考えます。

生きていく中で沢山の悲しみに直面し、歴史の中で人々はそれを乗り越えて来ました。
そして乗り越えることが美徳という風潮です。しかし僕は乗り越えられない悲しみは確かに存在すると思っていますし、無理に乗り越える必要もないのかなと思っています、現時点では。

写真をめくって、時に文字にして、自分なりのやり方で悲しみに寄り添っています。
乗り越えたくはない、という表現が一番近いのかもしれません。
全てを忘れることは不可能ですし、それは自己の否定にもなってしまいます。
きっと人それぞれに悲しみの忘れ方があるんだと思います。見つかるかな。見つかるといいね。

11.真っ赤な嘘

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【エピローグ】

 こんなはずじゃなかったと思うのはきっと傲慢で、僕たちはいつだってそう成った未来で、そう成らなかった未来を眺めながら生きている。
そうやってきっと、足りないまま大人になって、足りないまま朽ちていくんだろう。
起き抜けのぼんやりとした頭で、あの日見た夢のことを思い出している。
ずっと忘れないように、忘れるように。

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エピローグはプロローグとほぼ同文でありながら、旅をする前とした後では受け取り方が変わるようになっています。

生前祖母は入院先の病院で僕が歌を歌っていることを色んな看護師さんに話していたそうです。それは嬉しそうに。
バンドをやっていなかったら、言葉を扱うパートじゃなかったら、この生誕公演は生まれていなかったと思う。

祖母との離別から1年、物語を書き終わって改めて読み返すと、ずっとモヤモヤしていたものが少しだけ、ほんの少しだけ晴れた気がしました。吐き出すことはきっと大切です。
ちゃんと吐き出せていますか。


これにて、僕の回帰と離別の物語「月の裏側、銀河鉄道の夜。」はおしまいです。

公演時間の都合で物語の色々な部分をカットしてしまったので、いつか完全版を書こうかな、気が向いたら。上手く纏まれば。
そんな未来がもし来たら、また聞いてくれますか。


とまぁここまで書いてきて、ライブの話だけで随分長くなってしまったなぁ、と思ってます。大丈夫ですか?大丈夫と言ってくれよ。


あと少し、ほんの少しだけ書きます、もう一杯だけお茶を淹れてきてください。

生誕グッズについて。

今年の生誕グッズはコインケースにしました。手に入らなかった方もいたみたいでもう少し強気に作っていればよかったなぁと思っています。これは完全に僕の落ち度です。ごめんね。

でも、完売と聞いて嬉しかった僕もいます。
手に入れてくれた方、入れようとしてくれた方、改めてどうもありがとう。

ちなみに最初の構想では、ラーメン用のどんぶりを作ろうかと本気で思ってました、ハ郎のロゴ入りで。(本気です)
まぁ割れ物なのと、買っても持ち帰るの大変だろうなと思ってやめました。
きっとやめて良かった、きっと余りまくってメンバーの家がラーメンどんぶりだらけになるところでした。


あとはもうとにかく会場の"月見ル君想フ"
雰囲気が最高に好きでした。
綺麗だったよね。
リハから脳汁どっばどば出た。
またいつかやれたらいいな。

終演後の撮影会は沢山待たせてしまって申し訳なかったね、待っててくれて、そして直接おめでとうを伝えてくれてありがとう。

そして今年も綺麗なスタンド花
ケーキ、そしてプレゼントや手紙の数々
お祝いの気持ちを本当にありがとうございました、宝物が沢山増えました。
プレゼントを一つ一つ開封しながら、きっと子供みたいな顔になっていたと思います。
大切にしますね。


終演後には周年ツアーの詳細も発表になりました。

以前から、うちの曲や歌詞は映画的な映え方をする楽曲が多いと思っていて、いつか映画をコンセプトに据えたツアーをしてみたいなと思ってました。

今年のタイトルは
「シネマティックシアター」
ツアーファイナルは初のホールライブ
浅草花劇場です
今からわくわくしませんか

移動式映画館、シネマティックシアター。
今年はどんなツアーになるんだろう。
どんな景色が見られるんだろう。
どんな景色を見せられるんだろう。
どんな景色を一緒に作れるんだろう。
こうやってずっと、未来を楽しみにしていられたらいいな。と今これを書きながら願うように思っています。

8周年ツアー、どうぞよろしくお願いします。



最後になります、
ここまで読んでくれたあなたへ。

お疲れ様でした、きっとブログの長さから何度か心が折れそうになったでしょう。
読破です、おめでとう、そしてありがとう。


改めて振り返っても、あの時間、あの場所はやっぱり特別でした。幸せでした。
もっとスケールの大きいこと、頭の中で描いてるやりたいこと、全部全部未来でできたらいいな、そのためにも頑張らなくちゃ。

今月はイベントツアーや対バンが多くあります、一本一本ベルの魅力を伝えられるよう尽力していきます。どうか、君たちの力を貸してくれると嬉しいです。


では本当に、長時間活字に、散文にお付き合い頂きありがとうございました。

また会える日を心から楽しみにしています。

明日、HMVに来られる方はまたあした。

今度こそ、おやすみなさい。

ぐんない。

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