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procreate/インパストチャレンジ(無料ブラシあり)

インパストというのは、絵の具の盛り上がりで凹凸を作る、アナログならではの厚塗り。それをiPad用ペイントアプリ、procreate(プロクリエイト)のブラシをカスタムして表現しようと試みました。
そのきっかけや、試行錯誤のようすなど。

と、その前にブラシデータを置いときます。
きっかけだのなんだのは読まずに使ってOKです。
*商用利用・可
*ブラシデータの再配布・可
*ブラシデータの販売・不可

こんな塗りになる

きっかけ

procreateの公式コミュニティ、procreate folioでは、ユーザーが絵を投稿したり、掲示板でブラシの公開や質問、相談をしているのだが、「こんなブラシが欲しい!」という投稿がよくある。その中に、

塗装されている厚い塗料のテクスチャ効果を作成するために、標準ブラシをカスタマイズするにはどうすればよいですか?  ※(ブラウザの機能で翻訳)

https://folio.procreate.com/discussions/7/25/59302

という投稿があり、返答で紹介された過去の同じような投稿では「procreateじゃなくて他のアプリ使いなさい、Art rageとか Art setとか」などと返答されている。
自分もこれには同意見で、そういう機能はprocreateには求めていないし、 それを強みとしているアプリを買うべきと思う。
procreateには絵の具の厚さを表現する機能はなく、開発側にも今後の搭載予定はないらしい。

左が Art rage、右がArt set。
他にもAdobe frescoなど、インパスト表現を搭載したアプリがある

つまりprocreateでは、インパストは仕様上不可能であり、それはそれで済む話のはずだったんですが…
自分はこの投稿を見る前に、ほとんどインパストを実現しているように見えるブラシが販売されているのを見かけていたせいで、やりようがあるのでは?とうっかり思ってしまった。

それが Eldar Zakirov氏 が作成、販売している「The Perfect Oils for Procreate 」。

これ出来るんだ?!と初見でもびっくりしたが、procreate開発側で出来ないことが公言されているようなものと後から知ってさらに謎の技術に見えるこのブラシ、さすがにいい値段で販売されているし、たぶんとても研究されて作られているのだろう。
これ買ってパラメータ覗きてえなーと思う反面、答えを知る前に自分で考えて作ってみたい、という欲求も出てきてしまい、まあものは試しと挑戦してみたわけです。

ついでに、「標準ブラシをカスタマイズするにはどうすればよいか」という問いが発端だったので
・デフォルトのブラシをアプリ内のソースライブラリ(付属の素材集)を使ってカスタムする
という縛りでやることにした。
ブラシ作りは素材まで作りだすと底なし沼だし、制限があればできたモノがしょうもなくてもまあいいか、と思えて気が楽なはず。

パラメータの何を変えたか

カスタム元は、ペイントカテゴリの油彩。

絵の具の厚みをどうやって出すか。
他のアプリであれば、ピクセルの色以外に厚みというか高さの情報もブラシやファイル自体に持っているわけで、はなからそういう情報を持たないprocreateでは、筆跡に光沢に見えるような色の変化を持たせて擬似的に表現することになる。
まずは、ストロークのフチを暗くする「焦げたエッジ」のパラメータを、フチが明るくなるよう設定して、絵の具のハイライトのようにならないかと考えた。

焦げたエッジの値を最大に、モードは左から乗算(これがデフォルト)、スクリーン、分割

焦げたエッジのフチを明るくするには、モードをスクリーンか分割にするのがよさそうだが、どちらも立体感を出すには主張が控えめ。
これを際立たせるにはどうしたらいいかと、シェイプ、グレイン、ウェットミックスなどを色々と変えてみる。

シェイプソースはOil Dab、グレインソースはCanvas

その他、カラーオプションでストロークカラーの色相、彩度、明るさ、暗さにばらつきが出るように設定して、ひと筆ごとの筆跡が目立つようにしている。

色々したあと。焦げたエッジモードは左がスクリーン、右が分割

普通にブラシとしてはこってり塗れるものにはなってきたが、絵の具の盛り上がり感は無し、むしろ減ったくらいか?
焦げたエッジのモード変更では明るさに限度があるようなので、ここで次の手を考える。
デュアルブラシはどうだろうか?
デュアルブラシとは、2つのブラシを組み合わせて、パラメータを合わせもった1つのブラシにする機能。
ただ、自分にとっては組み合わせ後の効果がどうなるのか把握できず、procreateの中でも特に理解できていない機能であり、具体的にこれがどう作用するか分からないままでいた。

適当なブラシを組み合わせてみた。何がどうなっているのかよく分からない…

下のブラシの形に型抜きされたり、重なった部分が透過されたりと、モードによって色々な効果が得られるらしい…が、とりあえず今回は、エッジを強調したいのだから、同じブラシ形状の重ねがけでエッジの効果も重なって強く出るのでは?と当てずっぽうで、カスタムしたブラシを複製し、同じブラシ同士を組み合わせてみる。

なんか分からないけどなんとかなったようなよく分かんないですけど…
上がスクリーン、下が分割

思惑どおり?組み合わせモード標準で、エッジがギラギラしました。今度はキツすぎるくらいだ。
あとは重ねた色によっては派手なノイズみたいな色も入るが、これはEldar Zakirov氏のブラシにも見られたのでこれは正解に近いのかもしれない。
ここから、焦げたエッジの値をちょっと下げ、細々とパラメータを調整していき、ここらでいいか、と思ったところで一旦この挑戦は終了ということにした。
…といいながらうっかりペインティングナイフバージョンも作ってみようとしたので、配布しているブラシが2つあるわけです。

作ったブラシで描いた絵

できたブラシでざっくり描いてみた
このブラシが案外楽しいので、調子のってさらに描いた絵

あとがき

作ってみて思ったのはEldar Zakirov氏の「The Perfect Oils for Procreate」を購入して答え合わせをしたい、です。
これを知ってたからやってやれない事ではない、と思えたので恩があるようなものだし、参考にしながらもお金を払っていないことに申し訳なさも感じるので…。

しかし、けっこう面白いブラシが作れたので、バリエーション増やして自分もちょっとしたブラシセットを作って販売してみたいとも思ったが、Perfect Oils を買ってパラメータを知ってしまうと盗作を販売することになってしまう…
…購入はあとでちゃんとするから、パラメータを見ちゃう前に自作ブラシセットを販売するのはどうだろうか…。
きっと自分のは競合するような出来にはならないはず。
ていうか、興味持った人は Perfect Oils を買えばいい話なので、そちらをどうぞよろしくおねがいします。

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