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情けなさ

 背の丸まった黒い影に向かって、僕は言う。

「君はどうして存在しているんだい」

 背をますます丸めた彼は、情けなさ。

「価値がないのに」

 彼の身が震える。

「意味もないのに」

 彼は両手で顔を覆った。

「君なんて必要ない」

 彼の頬から涙が落ちた。
 それでも僕は、立て続けに彼を非難した。

 彼は子どものように癇癪を起し始めた。
 顔が見えた。声が聞こえた。

 彼は僕自身だった。

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