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改めて、新型コロナ対策を考える①

私たちの体に備わる免疫のメカニズムや最新免疫学の視点から分析した新型コロナウイルスの特徴について、おさらいしてみます。

※本記事は、日本慢性期医療協会との連載企画「慢性期ドットコム」を参考にしています

◇体を守るメカニズム―「自然免疫」とは?
私たちの体には、ウイルスなどの病原体を含めて外部からの侵入を防ぐためのメカニズムが2種類備わっています。それが、自然免疫と獲得免疫です。その仕組みと特徴をご説明しましょう。

 まずは「自然免疫」から。病原体が体の外から内側へ侵入しようとすると、最初に物理的・化学的バリアーが立ちはだかります。皮膚や粘膜などに存在する殺菌性物質が病原体の侵入を防いでいるのです。ただし、ここに穴が空いていると病原体は内部に侵入してきます。
 そこで次に、白血球の一種である食細胞が病原体を食べたり殺菌したりして病原体を排除する、細胞性バリアーがはたらきます。この2段階のバリアーは通常、生まれつき自然に備わっている免疫機構であることから「自然免疫」と呼ばれます。
 自然免疫の特徴は、病原体の侵入に反応するスピードは速いけれど、一度経験した病原体を覚える(免疫記憶といいます)仕組みがないので、再び同じ病原体が入ってきたときに同じ反応を一から繰り返さなければならない点です。

→疲れてたり、睡眠不足や栄養不足が重なってるとこの第一のバリアは呆気なく突発されます。


◇病原体を覚える「獲得免疫」

もう1つの免疫機構が、「獲得免疫」です。病原体が自然免疫の2つのバリアーを突破してしまったら、白血球のうちBリンパ球(B細胞)とTリンパ球(T細胞)の出番です。これが2つ目の細胞性バリアーとして機能します。Bリンパ球は抗体をつくって病原体を排除し、Tリンパ球は感染した細胞を見つけ出して退治します。この免疫機構は生まれてから獲得し発達するため、「獲得免疫」と呼ばれます。

獲得免疫の特徴は初めて出合う病原体の侵入に反応するスピードが遅く(侵入を認めてからリンパ球が増殖し、一定程度まで増えないと撃退できない)、一方で免疫記憶によって一度経験した病原体を覚え、同じ病原体が再び侵入してきたとき速やかに防御できる点です。

◇新型コロナウイルスの厄介な点
重要なポイントは、自然免疫と獲得免疫のメカニズムが備わっているため、私たちの体はそう簡単にウイルスに感染しないということ。たとえば「新型コロナウイルスに感染した人の隣を通っただけで感染する」と怖がる方がいますが、それは違います。

ただし、新型コロナウイルスの場合、人によってはインターフェロン(ウイルスに感染すると生体内でリンパ球などから産生されるタンパク質)が十分に産生されません。そのためウイルスの増殖を止めることができず、結果として重症化し、さらに他人にも感染させる可能性があるのです。これがCOVID-19のとても厄介な点です。

◇獲得免疫は加齢とともに低下する
実は、獲得免疫は加齢とともに弱まります。たとえばリンパ球に関わる免疫系は生まれてから急激に発達し、思春期にピークを迎えます。そして20歳を過ぎると獲得免疫のはたらきは低下し始め、40歳代でピーク時の50%ほどに、70歳代で10%前後にまで低下することが多いのです(ただし個人差は大きい)。

自然免疫と獲得免疫は、年齢と共に衰えますが、様々な形で補充することが可能です。

その最もポピュラーな方法が、ワクチン接種でしょう。しかし、それだけでは完璧とは言えません。 ワクチンは必ず副作用が存在します。それを分かった上で接種して、自身の本質的な免疫力を上げる生活をしなければいけません。
 では、その生活のやり方を次回、紹介したいと思います。

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