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F1 2021 スペインGP <レビュー>

ハミルトン VS フェルスタッペンのバトル

5/7〜5/9に行われたスペインGP。
今回も優勝争いはハミルトンとフェルスタッペンの熱い一騎打ちとなった。

予選ポールはハミルトン。自身100回目のポールでまた一つ偉大な記録を打ち立てた。

迎えた日曜のレース。予選で2番手につけたフェルスタッペンは、開始早々1ラップ目でハミルトンをオーバーテイクする。


その後もハミルトンをDRS圏内に入れないように上手くペースをコントロールしながら周回を重ねていった。

先にピットに動いたのはフェルスタッペン。25周目でピットし、ソフトからミディアムに履き替えた。ただこの際、タイヤ交換にやや時間 (4.2秒) がかかってしまった (後に無線のやり取りで誤解があったことが分かる)。

フェルスタッペンがピットインした後も、ハミルトンは第1スティントを引っ張り、29周目でピットイン。だが、フェルスタッペンをアンダーカットすることはできず、フェルスタッペンの6秒後方でコースに復帰する。

この時点で、今回はフェルスタッペンが勝ったと思われた。タイヤ履歴に4周の差があるとはいえ、フェルスタッペンならば最後まで逃げおおせられるはずだった。

ところが、ハミルトンが42周目に再度ピットインしたことで、事態は急転する。メルセデスはここでハミルトンにミディアムを履かせてコースに送り出したのだ。

タイヤの面で圧倒的なアドバンテージを得たハミルトンは、フェルスタッペンとの差をすぐに詰め、60周目でフェルスタッペンをパスして首位に返り咲き、そのままトップチェッカーを受ける。見事と言うほかない完璧な走り・戦略だった。


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📸: Mercedes AMG F1

レッドブルの敗因

レッドブルは今回のレースで計29ポイント (フェルスタッペン: 19pt / ペレス: 10pt) を獲得した。しかし、対メルセデスという意味では完全に負けたと言わざるをえない。

ただ今回のレースに関しては「レッドブルが失敗した」というよりも「メルセデス&ハミルトンがあまりに完璧過ぎた」という方が適切かと思う。スタートでのマックスのオーバーテイクは見事だったし、レッドブルのピット戦略も決して悪くなかったと思う。フェルスタッペンのピットストップは少し時間がかかったが、たとえそれがなくてもハミルトンの逆転を防ぐことは容易でなかっただろう。フェルスタッペンやレッドブルチーム代表のクリスチャン・ホーナーがレース後語っていたように、純粋にレースペースが不足していたのが大きな原因と考えられる。

また、レース前にはレッドブル含め多くのチームが、1ストップ戦略が最も有効だと認識していたと考えられる。一方で、メルセデスは早い段階から2ストップを視野に入れていたと見られ、レースに向けて他チームよりミディアムタイヤを1セット多く残していた。このあたりはもう流石と言うしかない。

これではもう、レッドブルはメルセデスに太刀打ちできないかのようにも感じられる。しかし、今年のレッドブルはトップに返り咲くための武器がある。それは今季加入のセルジオ・ペレスの存在だ。

ペレスはまだ100%のコンディションではなさそうで、特に予選でマクラーレンやフェラーリに先行を許すことがある。しかしひとたびレースとなれば、持ち前のドライビングで、コンスタントに4位や5位を持ち帰っている。

そのうえで、ペレスにはもっと多くを期待したい。ホーナーが語るように、ペレスがレースでもう少し前を走っており、ハミルトンのピットウィンドウ内に入っていれば、メルセデスの2ストップ作戦を阻止できただろう。もしそうであれば、今回のレースでも勝機は俄然フェルスタッペンに傾いたに違いない。

次のモナコもコース上でのオーバーテイクは著しく困難なため、予選はもちろんのこと、ピット戦略の重みも増すだろう。だからこそ、次戦ではフェルスタッペンとペレスの2台で戦えるよう、大いに期待したいところだ。

フェラーリが中団勢のなかで躍動

今回のスペインGPでは、フェラーリがいよいよ本調子を見せ始めたという印象を受けた。前回のポルトガルGPでは、予選順位は良かったもののレースペースにやや苦しんでいた感があったし、今回もレース前に、サインツがタイヤのグレイニングを心配していると発言していた。

ところが、カタロニアではフェラーリのレースペースは良く、ルクレールが4位、サインツが7位でそれぞれレースを終えた。ビノット代表もレースペースは弱点ではなくなったと言っており、チームが問題を解決しつつあることを伺わせた。

なお、現時点でフェラーリのコンストラクター選手権順位はまだ4位だが、3位マクラーレンとはたったの5ポイント差に詰め寄っている。

今後、3番手争いの主役はこの2チームになっていくだろう。ただ、恐らくどちらのチームもそれ以上を目指してはいない、というのもまた現実だ。実際、フェラーリは既に開発リソースの9割以上を2022年型マシンの開発に投じていると報じられている。

したがって、各チームがどのように今季/ 来季にリソースを振り分けるかによっては、あるチームが急に躍進を遂げる可能性も残っている。いずれにしても、Best of the restをめぐるバトルもまた、優勝争いと同じくらい面白いものになると期待している。

ガスリーが見せた粘り

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📸: AlphaTauri Honda

今季初めて予選でQ2落ちを経験したガスリーは、ポイント圏内への挽回を期してレースに臨んだ。その気持ちがやや前に出過ぎてしまったか、スタート前にグリッドボックスを超えるというミスを犯し、5秒ペナルティを食らってしまう。

ガスリーはレース20周目のピットイン時にこのペナルティを消化した結果、一時19位まで転落。角田もリタイアし、今週はノーポイントに終わるかと思われたが、ガスリーはここから粘りの走りを見せ、前のマシンを次々にオーバーテイク。最後には9位のオコンとコンマ数秒まで差を詰め、追い越さんばかりの勢いを見せた。

最終的に10位でレースを終えたガスリー。ペナルティがなければもっと前の順位でレースを終えていただろうと思うと悔やしい部分もあるが、よくあれほど挽回できたと思う。まさに "FULLGAS" の走りであった。

一方、ガスリーの僚友である角田は、燃料圧力の低下でレース序盤でリタイアとなった。土曜の予選ではQ1落ちしてしまい、無線で苛立ちを隠さなかったが、その中にチームに対するネガティブな発言があり、SNSを通じて謝罪。日曜のレースでは本人曰くペースは良かったとのことなので、リタイアは非常に残念だ。特に、ルーキーである角田にとってレース経験を積むことは重要なので、次戦モナコではトラブルフリーで過ごせることを願いたい。


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