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F1バーレーンGP 〈レビュー〉

フェルスタッペンとハミルトンの一騎打ち。マクラーレンの躍動。角田くんの鮮烈なF1デビュー。実に見どころたくさんのレースとなったF1 2021年シーズンの開幕戦。このレビューでは、各チームのレースパフォーマンスに評点をつけてみたい。

1. メルセデスAMG

評点: 9 / 10  ルイス・ハミルトン: 1位 バロテリ・ボッタス: 3位
さすが王者、である。シーズン前のプレテストではトラブルで十分に走り込むことが出来ず、今年のメルセデスは危ういのではないかという見方も出ていた。しかし、初戦を終えてみれば、ルイス・ハミルトンが優勝、チームメイトのバロテリ・ボッタスが3位に入り、昨シーズンから変わらぬ強さを見せた。週末を通じて、マシンの純粋な速さではレッドブルにやや劣っているように見えたが、巧みな戦略とタイヤマネジメントが光った。
ハミルトンはアンダーカットによってフェルスタッペンを逆転することに成功し、その後チェッカーまで何とかポジションを維持し続けた。ボッタスはピットイン時のタイムロスがなければ、フェルスタッペンに対してさらにプレッシャーをかけることができたはずである。

2. レッドブル

評点: 8 / 10 マックス・フェルスタッペン: 2位 セルジオ・ペレス: 5位
開幕戦から予選でポールポジションを獲得し、優勝が目されたマックス・フェルスタッペン。スタートをうまく決め、序盤は後続に対して少しずつマージンを築きながらレースを進めた。ハミルトンのアンダーカットによって2位に後退するが、その後ハミルトンとの距離をぐんぐん縮め、オーバーテイクをしかけた。これによってフェルスタッペンは一時トップに立つが、オーバーテイク時にコースアウトしていたことからハミルトンにポジションを譲るようチームから無線で伝えられ、その指示に従った。その後、再度ハミルトンに勝負を仕掛ける余力はなく、フェルスタッペンは結果的に2位でレースを終えることとなった。
勝てるレースを取りこぼした、との印象もあるが、一方で今シーズンはメルセデスに対して戦いを挑める、と感じさせてくれるレースであった。
今季から新加入のセルジオ・ペレスはフォーメーションラップ時にマシンがシャットダウンし、まさかのピットレーンスタートになるも、そこから粘り強く挽回し、5位でフィニッシュ。タイヤマネジメントに気を遣いながら、前のマシンを次々にオーバーテイクする姿はさすがベテランである。予選でもっと良いポジションにつくことができれば、フェルスタッペンとともに、他チームを脅かす存在となりそうだ。

3. マクラーレン

評点: 8 / 10 ランド・ノリス: 4位 ダニエル・リカルド: 7位
今季からメルセデス製パワーユニットを搭載
するマクラーレン。フリープラクティスから良いタイムを連発していたことから、マシン開発は順調に進んでいるようだ。特にチーム3年目のランド・ノリスは、マシンにかなり”乗れている”印象がある。
予選順位はノリスが4位、ダニエル・リカルドが5位。Q2もミディアムで突破したことから自信の程がうかがえる。決勝でも堅実な走りを見せ、ノリス4位、リカルドが7位でそれぞれフィニッシュ。リカルドは序盤のガスリーとの接触でフロアを損傷したため、本来の速さを発揮できなかったと見られるが、マシン自体のポテンシャルはかなり高そうだ。
予選、決勝ペースとも、メルセデスやレッドブルほどの速さはないものの、中団勢トップの最有力候補といえそう。今後のレースも非常に楽しみである。

4. フェラーリ

評点: 7 / 10  シャルル・ルクレール: 6位 カルロス・サインツ: 8位
エンジン・マシンともに昨年から大幅な改善を遂げたとされるフェラーリ。その噂は確かなようで、予選では二人そろってQ3に進出した。決勝では両ドライバーがそろってポイント圏内でフィニッシュ
しかし、あのフェラーリがこれで満足、とはいかないだろう。ポールポジション争いや表彰台争いに絡むようになるまでにはまだ少し時間がかかりそうではあるが、フェラーリが上位に食い込む走りを見せてくれれば、それだけバトルも白熱するはずだ。

5. アルファタウリ

評点: 6 / 10  角田裕毅: 9位 ピエール・ガスリー: DNF
レッドブルと同じくホンダPUを搭載するアルファタウリ。昨年には優勝も経験し大きく成長したチームは、今季もミッドフィールドで力強い走りを見せてくれそうだ。今回のグランプリではその真の実力が垣間見えた。
予選ではガスリーがマクラーレンやフェラーリのサインツを押しのけて5番手を獲得。Q2もミディアムで乗り切った。今回がF1での初予選となった角田は、Q1でハミルトンを上回る2番手タイムを記録。早速グリッド上で鮮烈な印象を与えたに違いない。続くQ2ではミディアムをうまく使いきれず、残念ながらQ3には進めなかったのだが、ルーキーとしては上出来ではないだろうか。
決勝レースでは表彰台争いに絡むことも期待されたが、ガスリーに関しては序盤の接触でフロントウィングを失ったことによりピットインを余儀なくされ、後退。週末を通じてかなり調子が良かっただけに、やや不用意なミスだったという気もする。
一方の角田は、スタートで慎重になり過ぎたようで、最初の数ラップでポジションを落としてしまった。しかし、そこからの挽回が素晴らしかった。およそルーキーとは思えぬパフォーマンスを披露し、アロンソやライコネン、ベッテルといった歴代チャンピオン経験者をオーバーテイク。終盤にはランス・ストロールをパスし、2ポイントをチームに持ち帰った。
全てがうまくいった、とはいえないレースであったが、今後のレースでもマクラーレンやフェラーリとともに中団勢最上位を巡る熱いバトルを展開してくれることだろう。

以下、各チームの評点である。

6. アルファロメオ 6点

7. アストンマーティン 5点

8. アルピーヌ 5点

9. ウィリアムズ 4点

10. ハース 3点






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