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[サスペンス] 不倫プリン

旦那「ただいまー」

妻「おかえりなさい、今日も遅かったわね。ご飯にする?それともお風呂にす」

旦那「風呂」

旦那は食い気味に答えた。目も合わすことなく風呂に向かった。結婚して2年。ここ最近旦那が冷たくなっていると感じた妻。携帯を触る時間が多くなり何か怪しさを感じていた。

旦那「ご飯まだ〜?」

妻「いやそこにあるでしょ。チンして温めて食べて。私はこの子寝かしつけてくるわ」

旦那「温かくない飯かぁ、じゃあいいや、外でラーメンでも食ってくるわ。」

妻「レンジでチンもできないの??」

旦那は妻の問いかけを無視して外でご飯を食べに行った。

次の日も帰りが遅かった。妻は嫌な予感がした。今日は水曜日でノー残業デーのはず、なのに今日も夫の帰りが遅い。妻は夫に探りを入れた。

「最近帰りが遅くない?どうして?」

「仕事に決まっているだろう。疲れているんだからいちいち聞かないでくれ」

そう言うと夫は寝室に向かった。

しかし夫がリビングに携帯を置いてっていた。いつもは肌身離さず持ち歩きトイレに入るときも持っていっていたのに忘れている。お酒を飲んでいるせか。ここで妻は悪いとは思いつつも夫の携帯を見てしまった。

妻「・・・・・・・・」

次の日の夜

夫はいつものように帰宅した。そしてお酒を飲もうと冷蔵庫を開けると夫はその場から固まった。

夫『こ、これは、、、!』

夫は一瞬冷蔵庫から固まったが動揺を隠さぬよう机の上のご飯をレンジで温めた。そしていつもより早く食事を済ませ、風呂場に向かった。そして旦那は湯船に浸かりながらあの一瞬の出来事を思い出した。

冷蔵庫の左上にプリンが一つあった。それもカラメルが上向きになった状態だ!!!!!!!!!!

バ、バレただと!?あれは不倫プリンに違いない!!噂では聞いていたがこんなことが実際に自分に起きるなんて、、、不倫プリン、、。通常プリンを冷蔵庫に入れるときはバランスをとるためにカラメルが下の向きで保存されている。お皿に移す時のみカラメル部分を上にし、プチっとし、綺麗な台形になるもの。俺はめんどくさいからお皿に移さないが、、、ってそんなことはどうでもいい。通常カラメルは下にして商品パッケージが見えるよう逆台形で保存するのも、、、冷蔵庫に一つだけ、カラメルの部分を上にしかつ冷蔵庫の一番左上に置いてある時のみ効果を発揮するといわれる不倫プリン。私の不倫を疑っていると言うことだ!!!。くそおお!!でもどうして会社のエリカとの関係がバレた?昨日も携帯は肌身離さず持っていたし、起きた時もベットにあったはずだ。検討がつかない。そんなことよりもこの不倫プリンの賞味期限はいつだ!?な、なに!?一週間後だと!!!この不倫プリンは賞味期限が一週間後か、つまり一週間以内にエリカとの関係を完全に断ち切り妻のいないところでこっそりと不倫プリンを食べ、妻に「ここに置いておいたプリン食べた?」と言わせ初めて疑いが晴れる。当然早く食べることに越したことはないが、それでは不倫していたこと認めるようなもの。「ごめんね疑って」からの質問攻めがくるに違いない。そこで何か不自然さがでてしまえばますます疑われ、再度不倫プリンが置かれることになる。そうなれば俺は不倫プリン呪縛に陥ってしまう。かといってこの不倫プリンの期限一週間が経ってしまうと、次の日妻から「このプリン一緒に食べよう」と言われ、全てを認め謝らなければ再度妻からプリンを一緒に食べる誘いがくる間全ての家事の決定権を妻が持つことになってしまう。そうなれば俺の毎月のお小遣いがキツくなる可能性がある。どうしたらいいんだ

ああああああああああああぁぁあああああぁぁあああああああああああゴボゴボゴボウゴボゴボゴボウゴボゴボゴボウゴボゴボゴボウゴボゴボゴボウゴボゴボゴボウ(水の中に入った音)

夫は一夜考えに考え就寝した。

不倫プリン

1、カラメルの部分を上向きにし、冷蔵庫の一番上の左奥に置いてある時のみ効果を発揮する。
2、不倫プリンが置いてある期間は一切の不倫、浮気等についての話し合い、質問等はできない。
3、賞味期限内に不倫プリンを食べた場合、試したものは「ここに置いておいたプリン食べた?」と速やかに言わなければならない。
4、賞味期限内に不倫プリンを食べなかった場合、試したものは「このプリン一緒に食べよう」と試したものと食べ、以降家庭での全ての決定権を得る。

4日後夫はまだプリンを食べれていなかった。エリカとの関係がまだ断ち切れていなかった。

俺はどうしたらいいんだ。俺はああああああああ

1週間後

俺は6日目にプリンを食べた。頭の中が不倫プリンで埋まり仕事に手がつかなくなった。差し入れのプリンもコンビニのプリンも全て不倫プリンとリンクすることに疲れ切った。エリカとの関係を断ち切った。不倫プリンを冷蔵庫に置いた妻の気持ちを考え、自分の軽率な行動を深く反省した。何よりもこの不倫プリンが冷蔵庫にあるのが嫌だった。

それから一夜明けた夜

夫「ただいま〜」

妻「おかえりなさい。今日は唐揚げとナスの田楽だよ」

夫「お、いいねえ!じゃあ先にご飯にするかな」

妻「はーい。あ、そうだあなた。」

妻「ここに置いておいたプリン食べた?

夫「なんか賞味期限近いかったしお腹空いてたから食べたよ」

妻「も〜私が食べようと思ってたのに!!、、次は三個入りのやつ買うわ!」

妻は少し嬉しそうな表情だった。


ーー終わりーー


*この作品はフィクションです。実際の人物・団体・事件には一切関係ありません。

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