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日常にあるなにげない感覚を大事にしたい。

9月になった。世間は夏休みが終わったと言っている。

今年の夏も暑かった。でも僕は全く夏らしいことをしなかった。海に行ったり、花火を見たり、お祭りに行ったり、みたいなことをしなかった。

7月に新しい会社に転職をし、仕事を覚えること、職場に慣れること、新しい環境に慣れることでいっぱいだった。

一か月が経って、ようやく仕事に慣れてきた。もう少し頑張ればお盆休みがくる。お盆は久しぶりな友達と一緒に会う予定だった。その思いで仕事をしていた。

そしてお盆休み前の出勤。今日が終わればと思い、仕事に励んだ。

「よし、定時だ。上がろう。」そう思っていたとき。母から電話がきた。でもまだ会社にいたため出れなかった。

するとすぐにメッセージが届いた。

「○○(犬)が倒れちゃって○○病院にいるから仕事が終わったらきて!!」

僕はその時一瞬時が止まった。すぐに会社を出て全速力で急いで病院に向かった。

病院に着くと待合室に母と父がいた。

「大丈夫なの?」と聞いた

「ううん、危ないかもしれない」と母が言った。

獣医さんから○○(犬)の状況を説明してもらい懸命な処置をしてもらったが

約1時間後○○(犬)は天国へと旅立った。

僕は人目を気にせず泣いた。アシスタントだと思われる若い子が泣いていたのと僕が待合室で泣いているのを外の道路沿いにいた若い女子集団に窓ガラス越しに見られたのをはっきりと覚えている。

その後○○(犬)をリビングへと運び布団の上に寝かせた。綺麗な顔で眠っていた。

本当に大好きだった。どんな時でもいつもそばにいた存在だった。ありがとうの気持ちでいっぱいだった。

後少しの限られた時間を少しでも一緒に居たかった。お盆の予定を全て断った。少しでも長く○○(犬)と居たいという思いの方が強かった。

寝ていた○○(犬)の左の前足を僕は右手で握った。これまでの思い出がたくさん頭の中をよぎった。なんだか安心した気持ちになった

そして僕はそのまま眠っていた。

しばらくしてはっと目が覚めた。そしてまた○○(犬)をみた。

その時僕は○○(犬)の足を握っている感覚がなくなっていたことに気づいた。ずっと握っていた感覚があったのに目が覚めると感覚がなくなっている。

握った手の感覚がなくなっていることに気がつくのは不思議だった。

その時に僕はあたりまえのことがあたりまえに出来るこの環境にもっと感謝しなければいけないんだと思った。

でも不思議なことに人って嬉しいことも悲しいことも忘れられるようにできていて、悲しい出来事が起きてもこうして9月、僕は自分の感じたこの感覚をnoteとして書き残すことができた。

自分の不幸をここに残すことはどうなのかとも思うけれど、こうしてnoteとして残すことで今またあの時の感覚を思い出せてくれる。僕が握ったあの感覚をまた思い出させてくれる。

日々様々なことをする上でずっと同じ感覚を思い続けるのは難しい。たまにでもいい。ふとしたときでもあの時の感覚を思い出したい。

日常生活で起きた何気ない感覚、特別な出来事があった時の感覚というもをを大事にこれからも頑張ろうと思う。

ご愛読いただけた方、ありがとうございます。

久しぶりに長文を書いた、この感覚も久しぶりだ。

#エッセイ















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