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ぼったくり脳

ここはスキルを売る病院。どんなスキルもお金で手に入れることができる。ほしい能力は時間と金をかけるものから時間が消されお金で得ることができるようになった。ただしその力は時にスキルとしての効果がなくなる。そのわけは、、、

ある町外れの人気もない民家

黒服姿で黒マスク、奥二重な院長と思わしき者が男に向かって問いかけた。

「何が欲しいんだ?」

「僕は生まれてからずっと25年間彼女がいません。恋愛経験もゼロで女の人と目を見て話すことすらもできません。もうこんな生活は嫌なので自分を変えたいのです。今までの働いてきた貯金で理想の自分を手に入れたいです!」

「俺はどんなスキルを探しているか聞いたのだ。貴様の人生に興味はない。そーゆーところがモテないところなんじゃないのか。」

「、、、、、女にモテモテになるスキルが欲しいです!」

「わかった。」

というとそっと男は注射ばりの液体を準備し始めた。

「本当に効果があるんですか?」

「信じないならやらなくていい。俺はただ必要な客に対し金を対価に施術しているだけだ。そして術後のクレームは一切受け付けない。」

「、、、、わかりました。」

「この利用規約を読んで同意の後に”します。”とひらがなで書くんだ、その下にサインをする。そして支払いだ」

男は同意書にサインをし、お金を何かを願うように支払った。

「では始める。」

「もうですか!?ちょっと待ってください!心の準備が!!」

男が焦った口調で言った。

「うるさい。ここにきた時点でお前はもう準備できているはずだ。じっとしていろ。」

そういうと注射針を男の頭頂部に向けて刺した。その時間わずか1分。

「終わりだ。」

「え、もう!?」

痛みが全くなかったことに驚き終わったことすら気づかなかった。

「終わりだ。帰宅していいぞ」

「わ、わかりました。」

そういうと男は不安そうに店を出た。そして入れ替わるようにまた別の客がやってくる。

「後輩に好かれるスキルがほしいです。」

「英語が完璧にできるようになるスキルがほしいです。」

「お金を稼げるようになるスキルがほしいです。」、、、、

三日後

女性にモテたいと施術にきた客がニヤニヤしながら嬉しそうにやってきた。

「先日はありがとうございます!ここでスキルを買ってからすぐ何人もの女性から声をかけられました!職場の若い子、高校の同級生、本屋でも声をかけられましたしもう入れ食い状態です!明日は別の女の子とデートです!!人生が180度変わりました!ほんとありがとうございます!!!僕の人生がようやく動き出しました!ヒャッホーーーーイ!!!!」

「それは良かったな。」

「はい!ホントありがとうございました!!」

男はそう言うとスキップ調で帰っていった。

ここで施術を受けた人の多くが感謝を伝えに来る。まるで人助けをしてもらったかのようだ。できることが増えると自然と自身がつくようだ。

しかし簡単に手に入れたスキルにはリスクもあって、、

一週間後

男がまたやってきた。今度はあまり嬉しそうな感じではなかった。何か落ち込んだ感じでやってきた。

「あの、、すみません。このスキルもう無くしたいんですけれども、、、」

「それはできない。俺は初めに行ったように一度受けたスキルはなくならないとな。」

「そんなの聞いてないですよ!!こんなに高いお金出してるんですよ!これじゃぼったくりと変わんないです!」

そう言うと院長はすぐに利用規約に同意の文字と男のサインが書いてあるを机の上にバンと勢いよく出した。

「ここを見ろ、同意書に書いてある。そしてクレームは一切受け付けないとな」

「うぅ・・正直モテすぎて困ってるんですよ!!僕の中でもう本命の人がもうできたんです!本屋でたまたま同じ漫画をとってそこから出会えたメイちゃん!あの子がいいんです!でもこのスキルのせいで毎日のように女の人から声をかけられるんです!彼女に嫉妬されて困ります。これ以上来て欲しくなくて3日間風呂に入らないようにしても、変な匂いフェチの人が来たりするんです、、。全然タイプじゃない人からも来るし、関わっためんどくさそうな人からも、、、もう嫌なんです。」

男は疲れ切った口調で語りかけるように話した。それを聞いた院長はすぐさま言った。

「お前がここに来て、お前がスキルをほしくて来て、俺はその通りにやった。それだけだ。俺は商売としてやってるんだ。金と引き換えにこの仕事をしているんだ。そこから先は俺の問題じゃない。お前の問題だ。」

続けて院長が話した。

俺はここでスキルを売っているんだ。通常スキルを得るのを10として1から2、3、4、と時間をかけて10を目指すがここでの施術はその工程を全て飛ばし0から10になるわけだ。階段ではなくエレベーター式でスキルを得るのだ。だがしかし時と使い用によっては過程の方が大事のなことがあることだ。英語ができるようになってもそれを活かすためのスキルがなければ意味がない。外国人との会話に慣れずに苦戦したりする人もいる。それは過程で身につくものである。だが逆に英語ができるようになってコミニュケーションに自身がつく人もいる。ただそれはその本人によって異なる。だから俺はこれをいちいち説明したりしない。それを乗り越えられるやつもいる。そしてお前のようなやつも来る。そしてお前みたいなやつはぼったくりだのと言ってくる。少なくてもお前は自分の意思でここに来てるんだ。俺は一切責任は取らない。」

「もういいですわかりました、、もう帰ります。」

お前の場合階段式の方が良かったようだな

男は院長の言葉に返答はせずに帰っていった。



そして入れ替わるようにさっきの男にどことなく似た客がやってきた。

何が欲しいんだ?

男はすぐに言った。

「スキルを得るためのスキルが欲しいです」

お前さっきの会話聞いてたのか?

「え、なにがですか」

頭のいいアホがきたな

院長はマスク越しに少しだけ微笑んで針を刺した。

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