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半導体メモリの種類について簡潔に解説する

○この記事について

 半導体メモリについて調べていたときに,フラッシュメモリの2層構造の素子が絶縁膜を電子がすり抜けてゆく現象に深い興味を持ったため,量子力学とリンクさせて学習したいと思った.それを軽く記事としてまとめてみたのがこの記事である.自分の学習の記録として残しておきたいと思った.専門外なところもあるので間違いがあるかもしれないけど許してほしい.

○トランジスタの種類

○メモリの種類

○PROMの構造と動作原理
 PROMは主に2層ゲート構造のFETを利用しており,制御ゲートと浮遊ゲートがある.浮遊ゲートにある電子は高絶縁膜の$${\rm S_iO_2}$$に囲まれているため閉じ込めることができる.浮遊ゲートの電子の有無によって,しきい値電圧が移動しドレイン・ソース間に電流が流れ始める電圧が変化する仕組みになっている.オン・オフの判断をしたいときには制御ゲートには正の電圧を印加する.制御ゲートには正の電圧が印加されると正の電荷が集まることになるが,浮遊ゲートに電子が無い場合,表面に電荷の偏りができ,p型基板には自由電子が誘発されドレイン・ソース間はオンとなる.浮遊ゲートに電子がある場合は基板の方に正孔が集まってくるので電流が流れずオフとなる.この説明はp型基板を使用しているときにおいての説明でn型基板の場合も同じような仕組みである.(b)の場合は正孔が表面にあるため,さらに高い電圧をゲートにかけなければオンとならない.

○EPROMについて
 EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)は熱い電子によって書き込み,紫外線によって消去するPROMである.浮遊ゲートに電子があるなし関わらず,制御ゲートに電圧を加えなければオンになることは無い.そのためセル選択が必要ない.UV-EPROMなど紫外線を当てて書き込む方法もあるが,一般的にはドレイン・ソース間と制御ゲートに高電圧を印加して発生した高エネルギーの熱い電子を浮遊ゲートに注入して書き込む.通常は電界によって電子が移動しているときは格子散乱のために,エネルギーの大半を失う.そのため,運動エネルギーの大半を失い,電子の温度と原子の振動による温度は等しくなる.しかし,電子を引っ張る力が極端に強くなると,すべてのエネルギーを原子の振動に与えられず電子の温度のみが上昇し,熱い電子を発生させる.この電子は原子の振動による散乱をほとんど受けなかったもので,ゲート酸化膜のエネルギー障壁を超えることが出来る.また,電子なだれ効果によって熱い電子を発生させることが一般的である.これは運動エネルギーの増加の度合いが衝突による損失を超えたとき,電子が原子や分子に衝突し,キャリアを叩き出す現象である.EPROMの消去は紫外線からエネルギーを吸収した電子が浮遊ゲートの外に出てくることで完了する.


○EEPROMについて
 EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)はトンネル現象を利用して書き込みと消去を行う.書き換え時にセル選択をしないフラッシュメモリもEEPROMの一種である.EEPROMの書き込みと消去の電子の流れについて示す.書き込みは制御ゲートに高電圧をかけて,ソース・ドレインを設置することで行う.一方,消去は制御ゲートを接地し,ドレイン側に電子を引き抜くことで行う.

 通り抜けるものの質量が軽く,エネルギー障壁の壁の面積が小さい場合は熱い電子のようにエネルギーが障壁の高さより小さくなくても通り抜けることがある.これをトンネル現象といい,高い電圧で$${\rm S_iO_2}$$の膜を薄くして起こすことが出来る.ただし,この方法だと浮遊ゲートの電子が減り続け正孔が現れてしまい,過消去となってしまう.過消去があると図のように,チャネルがオンしてしまうのでセル選択が必要となる.

○フラッシュメモリについて
 フラッシュメモリの代表的なスタック型では熱い電子で書き込み,トンネル現象でセルアレー単位で消去を行う.まとめて消去を行うため高速で,セル選択の無い単純な2重ゲート構造となっている.したがって,EPROMと同様のセルアレー構成のままでよい.消去用の電圧をいくつかに分けてパルスにして電子を抜く方法がとられており,その度にセルのしきい値電圧を調べて適切な値になってから作業を終了する.

○トランジスタ誕生までの歴史的経緯
 半導体に関する研究はトランジスタが発明される以前から既に行われており,工学的な応用もされていた.その代表的なものは半導体と金属を接触させることによって得られる整流器である.半導体整流器は二極真空管とともに整流や検波に使用されていた.1940年代は第二次世界大戦の影響でレーダ技術の発展に伴い,半導体整流器の発展も盛んであった.当時にも既に二極管だけでなく,三極管や五極管があり,電気信号の増幅に使われていた.ベル研究所では当時三極真空管の代わりに半導体を使った増幅器の研究が始められていた.しかし研究は難航し,半導体表面は敏感であることから表面に関する研究を行うべきであるという結論に達した.そして,1948年,半導体表面の研究を行っている時に,偶然,半導体による増幅作用を発見しトランジスタの発明に成功した.n型半導体の表面に金属の針を立てて半導体と針の間に電圧をかけると半導体の中で金属針の近傍だけ電気抵抗が小さくなることを見つけた.研究者らはこれは金属からn型半導体の中へ正孔が注入されることによると考えた.この過剰少数キャリアの存在が重要なことだった.一つの半導体の中でp型からn型へ移り変わる領域があることは以前から知られていたが,このpn接合を積極的に利用してトランジスタ作用に利用した.

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