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シーグラス Strandglas

艱難汝を玉にす 
Adversity makes a man wise
 
困難は自分を磨くものだという
 
 
ドイツ語にも似たような意味の諺がある
Durch Schaden wird man klug
直訳すると
損害を通じ人は賢明になる
 
ダイヤモンドの原石も
磨かれて初めて輝く

(写真:イスラエル ダイヤモンド研磨産業)
 
でも
私が最近思うこと
 
できることなら
困難は少ない方がいい
 
できることなら
自分を助けてくれる人が
側にいる方がいい
 
できることなら
大変な時に
大変だと 
声を上げられる環境がいい
 
 
困難は人を強くするかもしれないが
時には自分を傷付け
周りまでもを傷付けてしまう
 
ダイヤモンドのように
硬く強くなくてもいい
 
君は強いから大丈夫だという
周りの期待に応えようとしなくてもいい
 
遠回りをして
困難を回避してもいい
それが卑怯なことだとは
誰も言わないだろう
 
当たって砕けるのは男前だけれど
わざわざ怪我をしに行く必要はない
 
こうあるべきだという
自分が作った理想に
がんじがらめにされる必要などない
 
苦労をすることも
楽しむことも
私の人生
 
私はダイヤモンドなどではなく
ただの脆いガラス
 
ガラスが割れた後に
長い時間をかけ
波に揉まれ
いつの間にか
角が取れ丸くなり
小さく砂浜に転がっている
シーグラス
 
ドイツ語では
StrandglasやMeerglasだろうか
 
ダイヤモンドが
ダイヤモンドによって
謂わば強引に削られるようなものではなく
もっともっと長い時間をかけて
ゆっくりと波に揉まれ
その形を変える
 
その波は
時には嵐のようなものかもしれないし
穏やかで波さえもない日もあるだろう
 
シーグラスは
ダイヤモンドのようには輝いてはいない
ショーケースに綺麗に並べられることもない
人目を引くこともない
 
しかし
決して誰の事も傷付けない
すべすべとした肌触りだけ持っている
 
そんな私を見つけ
手に取り
こんなガラスも綺麗だねと
ポケットに入れて
家に持って帰ってくれる人がいたら
それがどんなに幸せなことかと
静かに感謝したい

(写真:Pixabay)

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