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生理学 基礎

こんにちは。

本日も記事をご覧いただきありがとうございます。


さて今回は生理学の基礎についてをまとめていきたいと思います。

★生理機能の特徴

生理学は生物が示す生理現象の機序を明らかにすることを目的とした学問である。生命現象の特徴や体を構成する細胞の構造と働き、細胞内での物質代謝、細胞内外を満たす体液の組成や働きなど生理学を学ぶ上での基礎が重要になる。

1)細胞の構造

ヒトを初めとする多細胞生物には生殖のために特別に分化した生殖細胞と身体を構成する体細胞とがある。
体細胞は生後分裂・増殖を続けることのできるもの(皮膚や肝臓の細胞)とできないもの(神経細胞や心筋細胞)とに分けられる。

細胞を構成する主な分子は、水・タンパク質・脂質・糖質・核酸などでありい、これらの分子を構成する主な原子は、水素・酸素・炭素・窒素などである。
細胞が発揮する機能はこれらの物質の物理的・科学的特性に基づいている。


a. 細胞膜の構造と機能

細胞膜は細胞内に存在するすべての物質を外界と隔てており、必要なものを取り込み、不要なものを排出している。

・細胞膜の構造
細胞膜はタンパク質と脂質(主にリン脂質)より成る厚さ約7.5nmの膜である。細胞膜にはリン脂質分子が規則正しく配列している。リン脂質分子は二重層を作り、おのおの疎水基を内側にして並ぶ。
リン脂質の二重層膜に種々の形をしたタンパク質の分子がモザイク状に分布する。タンパク質分子は物質の輸送に関与したり受容体や酵素として働く。
・細胞膜の機能
細胞膜には半透性の性質があり、水、酸素や二酸化炭素、アミノ酸などは通りやすいが、タンパク質のように大きな分子は通りにくい。またイオンに対しては選択的な透過性を持つ。細胞膜が脂質によって構成されているため、脂質に溶けやすい物質は比較的膜を通りやすく、水溶性物質は通りにくい。


b. 細胞質と細胞小器官

細胞質は液状の細胞質基質で満たされている。細胞質基質は細胞の形を作っているタンパク質(細胞骨格)で構成され、その間にミトコンドリアや細胞小器官・電解質、酵素などが存在する。

①ミトコンドリア
内外2枚の膜からなる棒状の小器官で内膜は所々で内側に向かってクリステと呼ばれる突起を作る。ミトコンドリアは細胞の様々な活動のエネルギー源となるATPを大量に合成・供給する装置である。ATPは高エネルギーで結合しているリン酸基を持っており、これが分解される時に遊離させるエネルギーが細胞の活動に利用される。
②小胞体とリボソーム
小胞体は細胞質内で網状に広がって存在する膜様の小器官である。表面にリボソームという小顆粒が並ぶ粗面小胞体と、これを持たない滑面小胞体とがある。
粗面小胞体のリボソームはタンパク質合成の場である。リボソームはrRNAとタンパク質からなる。滑面小胞体の作用は細胞によって異なる。例えば肝細胞では物質の合成や分解に、筋細胞ではCa+貯蔵に関与する。
③ゴルジ装置
扁平な袋が重なった形の小器官で小胞体の近くにある。ゴルジ装置は小胞体から出るタンパク質などを受け取って濃縮する働きや細胞外に分泌する働きを持つ。
④リソソーム
膜で包まれた袋状のの小顆粒で、細胞質内に散在している。加水分解酵素を多く含んでおり不要な物質を分解処理する。
⑤中心体
1対の円筒状の小体よりなる。細胞分裂に際して働く。


c. 核・DNA・RNA・タンパク質合成


核は一般に球形で核膜で覆われている。核膜には核膜孔がありここを物質が出入りする。核は通常1個または数個の核小体を含んでいる。核には個体の形質に関するすべての遺伝情報をもったDNAが存在する。DNAはタンパク質と複合した染色質の形で核内に存在しているが、細胞分裂の際に凝集して染色体を形成する。ヒトには46本の染色体がある。

・DNAの構造
DNAはリン酸と糖(デオキシリボース)と塩基からなるヌクレオチドが鎖状に繋がった高分子化合物である。ヌクレオチドの鎖が2本向き合い、互いの塩基同士で結合して二重らせん構造を形成している。DNAを構成する塩基には、アデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)、シトシン(C)の4種類があり二重らせん構造を形成する際、対になる2個の塩基の結合は決まった組み合わせ(CとG、AとT)でのみ行われる。これを相補性という。
・RNA(リボ核酸)の構造
核内にはDNAに加えてRNAも存在する。RNA分子はDNA分子に比べて著しく小さい。RNAを構成する糖はリボースで、塩基はDNAの4種類のうちチミンの代わりにウラシルが使われ、アデニン(A)、グアニン(G)、ウラシル(U)、シトシン(C)である。RNAではヌクレオチドが1本の鎖状に配列している。
またRNAには、伝令RNA(mRNA)、運搬RNA(tRNA)、リボソームRNA(rRNA)などがある。RNAは細胞特有のタンパク質合成に重要な役割を持つ。
・タンパク質合成
細胞はDNAの働きにより自己を複製することができるばかりでなく、細胞特有のタンパク質を合成する。核のDNAには細胞が作り出すタンパク質合成に関するすべての情報が含まれる。
★タンパク質合成の流れ
核内でDNAの二重らせんの一部がほどけて一本鎖となりその部分の塩基配列を写し取ったmRNAが合成される(転写)
→mRNAは核膜孔より細胞質へ出て粗面小胞体上にあるリボソームと結合し、リボソーム上で転写した遺伝情報通りのアミノ酸配列を指令する。
→tRNAが細胞質内から必要なアミノ酸をリボソーム上へ運び、アミノ酸相互が連結して指令通りのタンパク質が合成される(翻訳)

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d. 物質代謝

・同化と異化
細胞はその一部を日々更新している。また、細胞の成長・増殖に際してタンパク質などが新しく合成される。これらのために細胞はたえず材料となる物質を取り入れ、細胞内で新しい物質を合成している。これを同化という。
また細胞内ではこれとは逆に、物質の分解もさかんに行われている。その中には不要になったものを分解処理するだけでなく、エネルギーを取り出す反応もある。この過程を異化という。異化作用の結果生じた不要物質は細胞外に排出される。
同化や異化の過程で様々の物質を作り出し、またエネルギーを放出することを代謝という。

異化作用によってエネルギーを取り出す材料に使われるのは、主として糖質脂質である。タンパク質からもエネルギーを取り出すことはできるがタンパク質は身体の主要な構成成分であり、これが大量に使われるのは飢餓などの異常な場合のみである。

・解糖と内呼吸
細胞がグルコース(ブドウ糖)を分解してエネルギーを取り出す過程は、細胞がO2を取り入れてCO2を出すので内呼吸という。
まずグルコースは細胞質内で酵素の働きによってピルビン酸となる。このO2を必要としない過程を解糖という。ピルビン酸はミトコンドリアの中に取り込まれ、酵素の働きによってO2と反応する。細胞質内で起こる解糖とミトコンドリア内でのO2の供給下で起こる反応系(クエン酸回路電子伝達回路)を合わせて内呼吸という。

内呼吸の過程で生じたエネルギーの一部はATPの形で保存され、残りは熱に変わる。内呼吸では1モルのグルコースから解糖系で2モルのATP、クエン酸回路で2モル、電子伝達系で32または34モルのATPが生じ、合計36または38モルのATPが得られる。

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e. 体液の組成と働き

身体を構成している水分を体液という。体液の量は個人差はあるが体重の約60%を占める。

①体液の区分
・細胞内液と細胞外液
体液の約3分の2は(体重の約40%)細胞の中
にあり、残りは細胞の外にあって両者は細胞膜によって隔てられる。細胞内の体液を細胞内液、細胞外の体液を細胞外液という。細胞外液には細胞を取り囲む間質液(体重の約15%)血液中の血漿(体重の約5%)があり、両者は血管によって隔てられている。

・体液の移動
細胞内液と細胞外液を隔てている細胞膜や、間質液と血漿を隔てている血管(毛細血管)は半透性を備えている。このため、水や体液に溶けている物質の一部はこれらの膜を通って移動することができる。

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②体液のイオン組成
体内でのイオン組成は細胞内液と細胞外液で大きく異なるが、細胞外液の血漿と間質液ではイオン組成はほぼ等しい。細胞外液では陽イオンとしてはNa+が約90%を占め、陰イオンではCl-が大部分を占める。これに対して、細胞内液では陽イオンとしてはK+、陰イオンとしてはHPO42-タンパク質イオンが多い。

③体液のph
体液のpHは7.35〜7.45と非常に狭い範囲に一定に保たれている。pHは水素イオン濃度の逆数の対数である。pHが7より低い溶液は酸性であり、pHが7より高い溶液はアルカリ性である。
体内で酸性物質やアルカリ性物質が作り出されたり、またそうした物質が体外から入ることがある。この場合、体液(主として血液)中の緩衝系が働いて体液のpHを7.4付近に維持する精妙な機構がある。この仕組みを生体の酸塩基平衡という。

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④体液の浸透圧
体液の浸透圧は約290mOsm/ℓに保たれている。これは体液に溶けている物質分子の総和が一定に保たれているからである。

⑤体液の異常ー脱水、浮腫
多量の発汗や下痢などで細胞外液量が急に不足すると脱水(症)を起こす。塩分よりも水分損失の度合いが多い場合を高張性脱水、逆の場合を低調性脱水、同程度に損失する場合を等張性脱水という。

f. 物質移動

生体内では体液中の物質が細胞膜の中から外へ、あるいは外から中へと移動している。また、血漿と間質液の間の物質移動は毛細血管壁を介して行われる。この様な物質の移動は、拡散浸透、能動輸送、膜動輸送濾過のいずれかにより行われる。

①拡散
物質(溶質分子)が濃度の高い方から低い方へ移動する現象を拡散という。細胞膜がある物質に対して透過性を持つ場合、その物質は拡散によって移動する。その際、物質は細胞膜である脂質二重層膜を透過する場合と膜輸送タンパク質を介する場合がある。
②浸透
細胞膜はある物質に対してのみ透過性を持つ半透膜としての性質を持つ。半透膜によって溶質濃度の異なる溶液を隔てると、膜を透過できない溶質分子は拡散できないので、代わりに水の分子が溶液濃度の高いと方へ移動する。この現象を浸透、この時に生じる圧力を浸透圧という。
③能動輸送
細胞には物質の濃度勾配に逆らって物質を細胞内に取り組んだり、細胞外に運び出したりする仕組みがある。この現象はエネルギーを使って行われるので能動輸送という。細胞膜にはナトリウムポンプがあり、常時エネルギーを使って細胞内のNa+を細胞外にくみ出している。
④濾過
濾紙を通すと水や小分子は通り抜けるが、大きい粒子は通ることができないので残る。これを濾過という。濾過には圧力が必要である。体内では例えば腎臓の中の毛細血管の壁が濾紙の役割をしており、血漿中の水や小分子は濾過されるが、血球や大きな分子は濾過されない。これに加わる圧力は血圧である。


以上、今回は生理学の基礎についてまとめました。

間違っている点や、気になる点があれば気軽にコメントしてください。

本日もご覧いただきありがとうございました。


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