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年下の男の子

おいでませ。玻璃です。

中学を卒業した洋平は、父の吉忠の元で左官の見習いを始めた。
高校に行きたかった思いは、心の奥深くにしまい込んで、新しい生活を送っていた。

時は過ぎて、洋平20歳。
仕事を始めて5年。多くはないが給料が貰える。
そのお金で流行りの遊びを片っ端からやった。
その頃、萩の街で流行っていたのがダンスホールだ。

洋平は給料を貰うと洋服屋へ行き、あの街では最新のビシッとしたスーツやラフなシャツやパンツを買い込んだ。
もちろんダンスホールに着ていく服だ。
日に焼けた健康的な肌、左官業で鍛えた身体にスッキリと着こなす。
若い男子がモテたいと思うのはあの頃も同じだ。
ダンスホールでは飲んで踊ってナンパして、青春を謳歌していた。

そんなある日、楽しそうに踊る女子グループに声をかけた。

「一緒に踊らん?こっちで一緒に飲もう!」

「ええよ〜!」

声のかけ方は慣れたもので、応じる女子達もサラリと慣れている。
その中でも洋平が気に入ったのはダンスが上手で会話も楽しい、少し年上に見える女性。

その日を境に何度かその女性に会った。
どこか母のような安心感がある女性だった。洋平は本当の母親を早くに亡くしている事もあって甘えたい願望があったのかもしれない。
会う度に洋平は惹かれる…それは昭子だった。

一方、毎回ダンスホールで会う男性が気になる昭子。
若くてやんちゃそうに見える彼は趣味も多く一緒にいると楽しい。
昭子は清潔感のあるおしゃれな男性に好感を持つ。
元夫は不潔ではないが、ズボンからシャツが出ていたり、昭子がだらしないと思う、そういう姿を見るのがもっともストレスだったという。

おしゃれでキッチリとしたやんちゃな彼はどう見てもだいぶ年下のようだ。
昭子は半分遊びのつもりで付き合っていたのだった。

ところが、本気の洋平は昭子と一緒になりたいと両親に話してしまった。
本当の年齢がわかっても洋平の気持ちは変わらない。
だが、両親としては13歳年上で3人の子持ちというのはどうしても納得できない。もちろん大反対だ。洋平は何度も何度も説得した。
一向に聞き入れてもらえない事がわかると、ある日洋平は家を飛び出した。昭子の元へ行くために。

「オレ、家を出てきた。」

「は?ちゃんと帰って話し合った方がええよ。」

「いや、絶対に帰らん。仕事も辞める。ここで働かしてもらえんやろうか?」

・・・ということで、洋平は昭子の実家の牧場を住み込みで手伝うことになった。
この続きはまた次回。

ではまたお会いしましょう。

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