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不幸を吸う

今から2年以上前の話。妊娠8ヶ月が過ぎた頃。
仕事中に、学生の頃の友人から唐突に連絡がきた。「会いたい!」というだけの端的な連絡だった。いつも脈絡なく唐突な提案をしてくるタイプの子だったので、その文面自体には驚かなかった。お、なんだ久しぶりだなぁ。と言う感じ。
ただ、その頃の私は産休に入る1週間前であった。初めての出産であったから、産休中は実家に帰り、いわゆる里帰り出産をする予定だった。故に、現実的にすぐその子と会える時間があるかというと、なかなか難しかったのだ。
私は「久しぶり!元気?」というような返事をし、その子からの返信もすぐに返ってきた。私たちは短いメッセージを何度かポンポンとやりとりし、私は頃合いを見て「実は妊娠してて、来週から里帰りするんだ」と送った。

すると返事は来なくなった。 

その頃、旧友の間で何が話題だったかといえば、私の元カレが共通の友人と結婚したことだった。メールを送ってきたその子も、元カレともその奥さんとも仲が良かった。だから私は、こう仮説した。その子は、私の不幸を確認したかったのではないか、と。元カレが結婚したことを知って、なんとなくちょっと意気消沈している私を見たかったのではないか、と。

こんなこと言うと、自意識過剰だと言われるかもしれないが、私はそんなふうに思えて仕方がなかったのだ。私がまだ結婚もしておらず、彼氏もおらず、安い給料で働いていて、いい出会いないかな〜とぼやいていたら、その子は私と会ったのかもしれない。私が結婚し、妊娠し、幸せのど真ん中であったから、その子は私との連絡を絶ったのでないか。
もちろんすべて、私の推測でしかないのだけれど。私はその子の連絡先をブロックしたし、恐らくもう二度と関わることはない。

世の中には「不幸を吸う」ことを生きがいにしてる人種が一定数いる。要は噂話を好み、不幸の話をきいて「まだ私は大丈夫だ」と思いたいタイプの人間である。正直言って私が関わり合いたくないタイプの人間だ。その子にそんなつもりはもちろんなかったのかもしれないけど、私は自分から連絡してきたのに、一方的に連絡を絶つことは失礼だと感じた。不幸を吸いたかったのかな、と思われてもしょうがないだろう、とさえ思っている。
自分が幸せであると、正直言って他人のことはどうでもいいのである。それはいい意味で。他人の生活にちょっかいを出したり、闇雲に踏み入ったりしようとは、普通思わない。そんなことし出した奴は、多かれ少なかれ、何かが上手くいっていないのだ。上手くいっていないことを、客観的に見れるかどうかも、重要なポイントである。上手くいっていないなぁ、と正直に自分の現状を認められたら、他人の不幸を覗こう、という思考にはならないはずである。多分。

不幸を吸いにきた奴がいたら、おもいっきり幸せの風を吹きかけてやればいい。私はすっごい幸せですよ、と伝えてやればいい。そうすれば大体は退散する。それでもしつこくしてくるやつは200%やばい奴だから、話は1mmだって聞かなくていいと思う。
みんながそれぞれ幸せならそれでいいのに。なぜこうも人と比べたがるのか。私のことは構わなくていいから、勝手に幸せになってくれ、と個人的には思う。遠いどこかで、あなたはあなたの幸せを追い求めてくれたらいい。あなたがどんな風に生きていこうが、私には関係のないことなのだから。

2022/6/7 小林ハレ

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