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定理

届かないのなら
空も天井も同じだと
君は見上げた
少しだけ寒い春だった
闇と夜の違いを
伝えそびれたばかりに
僕たちはいつしか
何もかもが白黒であれば良い
と願っている

耳にまとわりついた風の
煩わしさったら
ここは草原で無くて
屋上でも無くって
真白な病室だっていうのに
望まずとも動く心臓が
いつか
その日が来れば
皆一様に
望んでも動いてくれなくなるの定理
燃えるほど紅い紅い頬
透けそうな瞼に銀河は流れる

届かないと知って
伸ばした手の先で
青と一緒に
きっと君は朗ら
ここよりずっと良い場所だなんて
信じてやらない
全部僕だったなら良かったのに
なんて無責任な祈り

車輪の上の僕の
上の上の
天井と空の間で
桜はまた落ちるばかり
あれほど伸ばした手のひらに
はらはらと落ちるばかり

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